平成三十年 (下) (朝日文庫)

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  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643254

感想・レビュー・書評

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  • 朝日新聞での連載が平成9-10年。20年先の“あって欲しくない”予測だったそうだが、一向に実のある改革をせず、なんとなくジリ貧な所、見事に当たってしまったようだ。堺屋氏は’19年に逝去。自分の目でみた平成30年をどう思ったのであろうか。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/721440

  • 織田信長を思わせる人が出てきて改革を断行する、そういう異端の人が出てこないと日本は変わらない、というのが著者の主張です。心の底では変わる意義が理解できない日本人、改革を口にするも実は外国と比較して焦っているだけの人も多いです。もし鎖国に近い政策を取れば、平成300年経っても何も変わらないかもしれませんね。

  • 2002年(平成13年)に単行本で読んだことがありましたが、平成の世が終わるまでにもう一度読み返してみました。もともとは新聞に連載していたそうですが、単行本化することに、経済企画庁長官になったので手直しが遅れたそうです。

    長官時代の功績は色々とあると思いますが、私の印象に残っているのは、通信回線(光回線)の導入を加速したこと、インターネット博覧会を開催したことでしょうか。ISDN回線でなんとか行っていた通信を、光回線に変えて、文章だけでなく、静止画そして動画まで送れるような環境を整備したことは凄いと思います。

    さて、彼の予測した平成30年ですが、資源価格高騰による世界経済危機、少子高齢化の進展、アジア諸国の成長による日本の国際的位置の低下は、予想通りと思われますが、インフレが進んでいない点、中国韓国の製造業が競争力を持っている点は少し違うと思いました。

    小説で紹介されていた、パソエン(カラオケの進化版)
    は近い将来出てくることを期待しました。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本では突飛な新薬は許可されないので、成分の配合を変えた程度の新薬を出して、高い参考薬価を認めてもらうのが一番儲かる仕事(p37)

    ・かつては財政赤字のみであったが、人口高齢化・工場の海外立地により貿易赤字、さらにサービス収支も赤字となる、資本収支の黒字を食いつぶす。ついに、日本中の企業の損益を合計すると赤字になる(p43)

    ・貯金が流行らないのは、若者たちは親譲りの住宅を当てにしているし、中年以降は年金と介護保険を当てにしている、収入の半分近くを税金・社会保険に天引きされ、消費税が12%もあるので(p80)

    ・外務省、財務省、警察が最要職をしめるのが常である、国防外交、財政徴収、治安警備が大事なので(p82)

    ・アルゼンチンは第一次世界大戦、第二次世界大戦でも戦火を浴びなかったので、社会改革が進まず、非効率的な利権構造が残った(p90)

    ・役所の意に反する医療施設には、健康保険医の資格を与えない(p181)

    ・高齢者には、数が多く、金持ち、時間(余命)がある(p224)

    ・日本の高齢者も、自分が本当に欲しいものや好きなことにお金を使うべき、このほうがずっと子孫のためになる(p227)

    ・ハイテク兵器が極度に進んだ今日では、陸軍、海軍、空軍は時代遅れ、国土防衛、シーレーン護送・在留邦人の救出、災害救助・治安維持にあたる、三種類の軍にわける(p246)

    ・日本の歴史は、奈良・平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸、そして東京時代、すべて首都機能の所在地で呼ばれている。江戸から東京に変わった時は、その間5年間は、徳川将軍・有力諸大名は京都にいた(p281)

    ・世界の冷戦構造が消滅してから、日本の政界にもイデオロギーによる政党の色分けは無くなった、今の与野党は、支持母体・伝統的人脈・最初に立候補したときの選挙区情勢で分かれている(p338)

    ・日本は太平洋戦争後、45年間の努力・幸運で、1990年には冷戦の戦勝国となったが、その後は敗戦続き、それは明治維新からの73年間に似ている、第一次大戦の戦勝から28年目には太平洋戦争の敗戦を迎えている(p424)

    2019年4月27日作成

  • 現状を憂うのでなく、解決策を提示しているのが好感触だったがある意味予想できる衝撃の最後でひっくり返った。

  • 新聞連載小説。

    国家公務員の木下さんが主人公。
    世の中は何度も改革が唱えられながらも、官僚に押さえ込まれて「何もしない」まま平成30年を迎えていた。
    主人公が所属する情報産業省大臣・織田信介が、着々と改革を巻き起こしていくお話。

    明智さんや波多さんやら、戦国大名の名前を戴いた登場人物たちによって平成の世が語られる。
    新聞に掲載された平成9年~10年からは20年後の話であり、現時点で近いことも有れば、全然違うこともある。
    けども、「何もしない」ままでいると決して良い方向には行かないのであり、官僚に任せっぱなしでは日本は倒壊してしまうんだと描かれていた。

    このままだとこの「平成30年」により近づいてしまうんだろうな。
    慣習をひっくり返すような政策であっても、ちゃんと計算して根拠を持って、
    自らの私腹を肥やすことなど眼中になく、真に国民を思って改革を断行しようとする織田大臣のような人は出てきてない。残念だ。

    そしてこの小説は読み物としては読みにくかった。
    小説家じゃないし、しょうがないけども。

  •  将来の日本の高齢化社会と政治の予測小説。いまのところ政治には明るくないのでいまいち理解し切れない部分があった。

  • 下。

    いよいよ改革。

    この辺からは物語っぽくなってくるので、読みやすい。

    今にも通じる色んなアイデアが出てくる。


    政治視点なので、なかなかイメージはつきにくいけれど、こんな風に時代を動かしてくれるリーダーがいればいいなって感じです。


    終わり方はあんまり好きじゃないですが、全体的に楽しく読めました。

  • 新聞連載から13年。平成30年はもう8年後に迫っている。筆者の想定が相当部分あたっていることに驚く。何もしない日本が着々と衰退への道を歩んでいるということか。不連続な飛翔がどこかで必要になる。国家も組織も個人も。今年をそのきっかけの年にしなくてはいけないのかもしれない。

  • 本当にこうなるのだろうか??

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著者プロフィール

堺屋太一

一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。

「2022年 『組織の盛衰 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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