玉蘭 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 113
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643261

感想・レビュー・書評

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  • 玉蘭は上海の木だ・・・
    それを題材にしてあるので、よんでみた・・・

    「あんなに抱き合ったのに、
    肝心なことは話してこなかった。」
    というオビに目が惹かれる・・・

    玉蘭の表現が、主人公 有子のその生き方と重なる。

    有子は、上海のH大学に、編集者という職を捨て、
    医者である恋人とも別れ、留学にきた。
    不眠症で悩まされていたが、
    ある若いオトコが、枕元にあらわれる。

    それは、父親からも聞いた大叔父の質だった。
    質は、1920年ころ N汽船の機関士をしていた。
    上海→広州便に乗っていた。

    編集者の有子が、松村のところに、小説を持っていき
    監修を頼んだのだ・・・
    その時、松村は、挑発的に

    「人間は、もっと醜くて、かっこわるいですよ。
    これは綺麗に書きすぎている。」
    と書評をする

    有子の自信のないそぶりが、
    医者である松村のこころを揺さぶり、
    急速に、恋に落ちていく・・・・
    しかし、有子の不安で真摯な状態は、
    松村にとっても負担となっていた。

    有子は、松村に突っかかるが・・・
    有子は、なんでも言葉で分析し、
    言葉でかんがえていこうとする。
    松村は、「有子が好きだ」という・・・

    そして好きだということは、
    「これ以上因数分解できない素の言葉だ。」とおもう。

    有子は、地方からでて、東京に住む女性と闘おうとするが、
    所詮闘うこともできない・・その現実に愕然とする。

    すべてを断ち切り、上海に留学するが・・・
    H大学で広げられる留学生の放埒な生活・・・・
    そこに嫌悪しながらも・・・自分で壊れていこうとする
    ・・・・
    質の緊迫した戦争間際の宮崎浪子の恋愛を織り糸にしながら

    花は、枯れ、朽ち落ちていく時に、甘酸っぱいかおりを出すが・・・
    有子は、壊れながらも・・・
    自分というものを取り戻そうと・・・しても。

  • 某出版社に勤めるGO!さんと会ったときの会話

    GO! 「桐野夏生をもっと読んだら?」
    小生「だって、図書館に無いし、ブックオフの105円コーナーにも、あんまり無いんだもん」
    GO! 「たまには、新しいのも買って下さい」
    小生「でも、面白いのは面白いけど、ヘンなのはヘンだからなあ」
    GO! 「それはそうかも」

    で、たまには買おうか迷っていたら、偶然にも図書館にあったので借りてしまった。

    本書は、面白いかヘンかと聞かれたら…。

    しょうがないから、今度からS社の文庫だけは買うか。

  • 中国、上海などを舞台とした作品です。

  • 主人公と日本で別れた恋人、主人公の幽霊の大叔父と大叔父の妻の人生、それぞれの時代と日本と上海という場所をもとに彼らの恋愛をサスペンス風に書いた作品。
    個人的に戦中の大叔父と病を患った妻の恋愛に感動した点と、主人公の上海での日本人コミュニティの汚さ、それを元に女として力を付けていった主人公の成長という点の2つが特に面白かった。

    戦中の大叔父と妻は、文字や言葉は無意味で実際2人の間にある愛情が大事なんだと悟った。この2人の恋愛が本当にステキであった。
    また主人公はメンタル面で強くなり男を使ってまで生きていこうとする変化がかっこよかった。
    おもしろく、スラスラ読める作品だった。

  • まぁまぁか。2008年

  • 上海が舞台だというから買ったのに、
    絶対いいい小説ではないだろうと決め付けて読み始めた。

    ところが


    ヴォイチンスキーだ
    4・12クーデターだと
    わくわくするようなスパイスが随所に盛り込まれており、
    すっかり世界にはまりこむ。
    最近の恋愛小説の特徴である、
    しつこいくらいの濃い男女のからみには辟易したが
    ある意味仕方がないのかもしれない。

    期待していなかっただけに意外と面白かったが
    すでにテレビドラマ化されていたらしく、
    常盤貴子だという情報が読む前に入ってしまったので
    どうがんばっても有子のイメージが彼女になってしまい、それが残念でならない。
    小説を読むことの醍醐味は
    登場人物が自分のなかに形成される自由さだとおもうから。

  • 海外の、日本人が多すぎたり少なすぎたりする地域に住んでると、人間関係ってすごく大変なんだろうなぁ。
    その点、ドイツのこの小さな田舎街に住めてることってすごい幸せ。周りいい人ばっかりだし。

    エロシーンが生々しい。

  • 081202(n 090102)

  • とっても女臭い、始まりも終わりもなく 良い香りではない爛れ落ちるような香り

  • 華やかな世界は出てこないけれど、汚くて、切なくて、欲望の渦の中で、
    それでも誰かを大事に思って、いとしく思ってることがすごく印象的だった。
    読んだあと、誰かをすごく愛したくなって、切なくなって、
    いつまでもその世界観に浸りたい気持ちになった。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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