- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022643315
感想・レビュー・書評
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森の小屋を出て山を散策するうち、
ふと「変性意識」とでもいうような状態に
入っていく著者自身の描写が凄い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の加島祥造は、老子、道(タオ)に関する多数の著書を持つ、詩人・英文学者。
本書は、1995年出版の元版から、茶道美術図書を出版する淡交社の月刊誌『なごみ』に1989年に連載された「谷の四季」(原題は「風と影の時間に」)と、丸善の雑誌『學鐙』に1993年に連載された「伊那谷の『老子』」を収めたもの。
老子(道家)の思想は、「ことさらの事業を興さないこと、しいて発言しないこと、多くの物を持たぬこと。その中にこそ、安らいだ生活と社会の幸せがある」と、儒家と真逆の教えを説くもので、諸子百家の中でも異質で掴みにくい思想と思う。
著者は、老子に馴染むずっと以前に長野県の伊那谷に別宅を作って、そこで暮らした四季の生活を「谷の四季」に綴り、その後編集者の勧めで翻訳した老子と、自らの伊那谷での生活が融けあい始めて、それが「伊那谷の『老子』」となったのだというが、著者の生活のスタンスは老子を語るにまさに相応しく、その教えがすっと入ってくるような気がする。
第8章「上善如水・・・」~「何よりもすすめたいのは 「水のようにあれ」ということだ。 水はあらゆるものに命をあたえる。 養ってくれる、そんな 大変な力をもっているのに 争わないのだ。 人のいやがる低いところにも 流れこんでゆく。そして タオにつながる人もまた、水に似て 低いところを好む。 心を求めるときは 最も深いところを喜ぶ。(中略)こうした人の生き方を貫くのは何か それは、 争わないということだ~水のように。 だから誰の非難もこうむらない」
老子の教えを、加島氏が代って説いてくれているような本である。
(2015年6月了) -
タイトルからは予想していなかった山のエッセイが良かった。
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難しいと敬遠しがちな「老子」だが気軽に読めます。