「自分の木」の下で (朝日文庫)

  • 朝日新聞社 (2005年1月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784022643407

みんなの感想まとめ

深いテーマと優しさに満ちた内容が特徴のこの作品は、子供向けに書かれているにもかかわらず、大人にも響くメッセージを持っています。著者の思いが込められた明快な文章は、易しい言葉でありながら、読者の心に深く...

感想・レビュー・書評

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  •  作家は子供に向かって書いていて、言葉遣いや語り口は、まあ、バカ丁寧なのですが、子供たちに未来へ希望を託そうとする姿には、やはり打たれますね。
     ブログにも、あれこれ書いています。覗いてみてください。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202306150000/

  • 先日、好きな河合隼雄さんの本をながめていると、大江健三郎さんのこのエッセイ本を熱く紹介していました。少年少女向けの本なので、とても優しく(易しく)読みやすい。先の大戦のさなかに育った大江さんの幼少のころの話、両親や祖母たちの話、大江ゆかりさんの挿し絵も素晴らしい♪

    少し紹介すると、「シンガポールのゴムマリ」という話は、幼い大江さんとお父さんの日常会話が紹介されています。ゴムマリで遊びたくてうずうずし、それが欲しくてたまらない、なんとも子どもらしい健三郎くん。そんなほのぼのとした会話の中にも、なにやらピリッとした緊張感が漂っています。いや~いいですね。

    『……日本の兵隊さんは勇かんで強く、シンガポールを守るイギリスの軍隊を破られた。そして、日本の兵隊さんは優しく、ゴムマリを集めて送って来てくださったのだ……。
     父は仕事の手を休めると、私をジロリと見ました。そしてこういうことを言ったのです。「どこかの国の勇かんで強い兵隊が、この森の中まで攻めあがってきて(父は裏座敷の、川に面した軒に母が掛け渡している、干し柿の列を見上げました)、そのどこかの国の兵隊も優しくて、干し柿を集めて自分の国の子どもらに送ってしまうとしたら……きみはどう感じるかね?』

    そのゴムマリを集めるために、とめどなく涙を流さなければならなかったアジア・南方戦地の人々、そしてその干し柿は、いまだに涙を流し続けている沖縄の人々から取り上げた思い出深い郷土であり、豊かな青い海なのでしょう……そんなことを考えたりします。

    大江さんの子どもたちに向ける目はとびきり優しく、語りかけるように書いています。本の読み方や勉強の仕方だけでなく、この国のあり方、教育のこと、戦争や暴力といった、なかば大人はくらくらして考えることを放棄してしまいそうな難題についても、忍耐強く愛情こめて書いています。この本を読んでいると、そのひたむきさにハッとし、優しさにうるっとし、明るさに元気をもらい……これはまずもって大人に読んで欲しいものだな~とつよく感じました。

    「……たいていの人にとっては、子どもの時から老人になるまで、自分のなかの「人間」は繋がっている、続いている、と考えていいと思います。そしてそれは自分ひとりのなかの「人間」が、日本人の、そして人類全体の歴史に繋がっている、ということですね」

    自分の中にあるかけがえのない自分と、自分の中に存在する自分という他者を俯瞰するまなざし、そして壮大な時空の繋がりのなかを奔放に飛びまわる詩情……大江さんはまさに世界を股にかけた芸術家ですね♪

  • 大江健三郎の小説は好きだけど、この本は子ども向けに書かれていたせいか?あまり面白いとは思わなかった。

  • Eテレの「理想的本箱」で「勉強したくない時に読む本」として紹介されていたので読んでみた。難解な作品で知られる大江健三郎だが、これは子供向けにわかりやすく明快に書かれている。しかし、文章は易しいが、その内容は非常に深い。次世代の若者達に対する筆者の優しさと期待が満ちあふれている。自分が子供の時にこの本に出会あいたかったと思うが、老年になってからでも出会えてよかった。

  • 自分は大人だけど、たまたま手にとってよかった。
    深い、頼りになりそうなところがいろいろとらえられた。

  • 「ある時間、待ってみてください」
    子供は取り返しつかないことなんてない
    追い詰められたら、少しばかり待てばいい
    必ず取り返しつくように出来ている
    けれども
    自殺と殺人だけは取り返しがつかない
    これだけはよく覚えておきなさい

  • この本は愛情でできている、と感じた。手に取ることができてよかった。

  • 理想的本棚より

  • これってあの小説の場面じゃ?あれ、別の本ではこの出来事はちょっと違うように語られてたぞ。
    繰り返し書かれて、考え直されてきた大江健三郎の体験の語りはそれがフィクションかノンフィクションかなんてどうでもいいこととも思える。作家が紛れもなく、瑞々しく分かりやすい言葉で語った素晴らしい作品。

  • ふむ

  • 初めてマトモに読んだ著者の本。
    子ども向けに著された一冊だけに、その語り口は柔らかく穏やかで平易だが、語られている内容、いや、子どもたちに向けて訴えているメッセージは、かなり骨太であり、挑戦的であり、賛否を呼びそうだ。そしてそれがまた、読み終えてみて「やはり著者は『闘う論客』なのだ」と深く頷ける。
    これを機に、彼の著作ももう少し読んでみよう。

  • #木の下で今生きられぬ子らの声聞く我と会う老人の我

  • 優しい気持ちになる本

  • 平和について考えることとか
    子どものことについて考えることとは。
    大江健三郎さんの思想はわかりやすくていい!

    あいまいなものやうわさに対して疑問を持ち、
    自分で調べてみる行動力。

    間違ったものを間違っていると言える勇気。

    そして、相手を諭す語彙力と教養。

    自分のこれまでの生き方と価値観を伝えている本だけど、
    包まれるような文章力を感じた。

    渋い文章書きよるで、ほんま!笑


    あと、挿絵がきれい!

  • 初めて読んだ大江健三郎さんの本。

    御自身の子ども時代の時のエピソードを交えながら、子ども、子育てについて書いている。なんとなく懐かしい感じのする本だった。

  • 2017年9月10日に紹介されました!

  • (2017年3月)
    古本で購入して読み。
    前の持ち主のラインマーカーが引いてあったが、結構気になるところが被ってて少しうれしい気持ちになる。

    米原万里がエッセイで紹介してたり、伊集院光もエッセイで紹介してたりしたので購入したのだった。たまたま子どもの日帰り手術の日に待合室でそわそわした気持ちでこの本を読んだ。斜め読みだったのだけど、子どもについての姿勢みたいなものをなんとなく見つめなおしたりした。


    ・私は、あなたが死なないと思います。死なないようにねがっています。 もしあなたが死んでも、私がもう一度、産んであげるから、大丈夫。 私から生まれて、あなたがいままで見たり聞いたりしたこと、読んだこと、自分でしてきたこと、それを全部新しいあなたに話してあげます。(p15)
     →これは、文章中では触れられなかったけど、ものすごく深い愛情なんではないかと思った。


    ・自分が本当によい本だと思ったなら、しばらく時を置いては繰り返し読んでください。そのたびごとに、色の違う鉛筆で線を引いたり書き込みをしたりしておくと役に立ちます。(p27)

    ・エラボレーションelaboration(p31)と言う言葉について。推敲でも添削でもなく。辞書によると「入念に作り上げること」。文章内では、「他の人の文章でも、自分の文章についてやるように磨き上げていく、しっかりしたものに丹念に作り上げてゆく」とな。

    ・柳田國男という学者が、先生から教えられたことをそのまままねるような勉強の仕方をマナブ――マネブという古い言葉と同じ――、それを自分で活用することもできるようにするのがオボエル――自転車の乗り方をオボエルというでしょう――、そして教えられなくても自分で判断できることをサトルと分けました。マナブからオボエルに進まなくてはならないし、できればサトルようになりたい、といっています。(p113)
     →まなぶ、まねぶ、のあたりは小学生の時に担任の先生から聞いて30代半ばの今でも覚えてる。柳田國男の言葉だったんだなあ。続きがあったとは。

    ・子どもにとって、もう取り返しがつかない、ということはない。いつも、なんとか取り返すことができる、と言うのは、人間の世界の「原則」なのです。(p199)

    ・――もう取り返しがつかないことをしなければならない、と思いつめたら、その時、「ある時間、待ってみる力」をふるい起こすように!(p205)

    (2023年6月)
    ちょっと前に読書の低迷期があって、活字を読むのが辛い、怖いストーリーや悲しいストーリー、厳しい現実に向き合う内容が怖い、と思って、読書だけでなく、ニュースなども少し遠ざけて時期があった。
    ようやく回復(運動、趣味、学びが回復要素だった)してきて、子どものバスの待ち時間に何読もう、と1分ほどの短い時間でパッと本棚を見てパッと手に取った。

    文庫本だったから、と言うのもある。
    著者の、ハンデのある子に前向きに向き合う姿勢にふれたかったから、と言うのもある。
    この本を読んだときの景色、どこでどんな時に読んだかを鮮明に思い出したから、と言うのもある。

    それで手に取って読んだ。
    「なぜ子供は学校に行かねばならないのか」
    前読んだときはうちの子はみな未就学児だったので、そんなに刺さらなかったのだが、
    学校って何だ?先生って何だ?学ぶって何だ?
    みたいなことを子育てしながら考えることがあった。コロナの休校もあったので、なおさらかな。「こうでなければならない」みたいな学校の役割はコロナで一度(よくもわるくも)崩れたと思う。ポストコロナの今、元通りになるのか、別の道を選ぶのかはわからないけど。
    まあそれはさておき。

    p15 著者の母の言葉
    「あなたがいままで見たり聞いたりしたこと、読んだこと、自分でしてきたこと、それを全部新しいあなたに話してあげます。それから、いまのあなたが知っている言葉を、新しいあなたにも話すことになるのだから、ふたりの子どもはすっかり同じですよ。」
    人を育てるという事はこれにつきるのかなあ。うちには子ども三人いてそれぞれ違う。同じように接して教えてきたつもり…いや違うな、でも、どうかな。と自問した。

    p23
    国語だけじゃなく、理科も算数も、体操も音楽も、自分をしっかり理解し、他の人たちとつながってゆくための言葉です。外国語も同じです。そのことを習うために、いつの世の中でも、子どもは学校へ行くのだ、と私は思います。

    言葉は国語だけじゃない、音楽のことだってある。コミュニケーションのツールとしてあらゆることが使える。学校で学んだこと(家庭でも)は人とつながる方策であり、人とつながる喜びを得る方法を学ぶために、学校に行くのだ、というように私は解釈した。

  • 【2015年交換会】子どもと学ぶさちまる⇒TSUNAMI③
    中3の娘のために頂きました。日頃子どもたちと向き合っているさちまるさんによる中3女子必読書?
    ありがとうございました。

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】914.6||O【資料ID】91041586

  • 2014年21冊目「「自分の木」の下で」読了。

    初めての大江健三郎作品。国語の先生がお薦めしていたので読んでみた。こども向けに書かれたということだが、文章は奥が深く、何度も読まないときっと(少なくとも私は)理解できない。しかし、それでも著者の言いたいことがじわじわと伝わってくる。

    私も、自分の木の下でこどもの自分と出会い、「どうして生きてきたのですか?」と聞かれたら、それに対し、しっかり答えられるような生き方をしたい。

    印象に残ったのは、(「私の勉強のやり方」という章の)

    「…そして幾年かたって、実際にその本を読み、思っていたとおり良い本だと、自分で確かめることができた時は嬉しかったものです。野球で、ジャストミートということをいうでしょう?本と、それを読む自分とのジャストミートということがあるのです。本を読む能力と??成長期では、年齢とおおいに関係します??、その本のための準備の読書、そしてそこまで生きてくるうえでの経験が、それを作り出してくれるのです。あなた方が、ある本とジャストミートするためには、それを読むことを急ぎすぎてはなりません。しかも、いつも自分の知らない本に目を光らせていて、これは良い本らしいと思ったら、まず、その実物を本屋なり図書館なりで、見ておくことです。余分のお金があったら、買っておくのがいちばんいい。そしてずっと忘れないでいて、ある日、その本に向かってバッター・ボックスに入って行くのです。」

    という部分。いつか大江作品がジャストミートできるくらい成長できていたら…なんてことを考えてしまった。言葉は難しいが奥が深い。そんな気持ちにさせてくれた一冊。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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