ナバホへの旅 たましいの風景

著者 : 河合隼雄
  • 朝日新聞社 (2005年7月15日発売)
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  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643506

ナバホへの旅 たましいの風景の感想・レビュー・書評

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  • すらすら読めるかどうか、という点においては内容が難しくところどころ「んんん??」と頭に入ってこないこともありましたが、読んでいくうちに「わからなくてもとにかく手にする、読む」という作業を行っているうちに、それがどんなに大切だったことか教えてくれます。
    後半にナバホやネイティヴアメリカンの教えとゲド戦記のつながりなどの記述があり、しみじみと他よりもすぐれた能力を持つ者は黙さなければならない、そして、大事なことはその他のつまらないと思えることも大事に受け止め続けると、わかってくる・・・ということがつたわってきました。
    河合先生の本を読むと自然、なぜだか癒されます。

  • ネイティヴアメリカンの話はいくらかは目にしたことがあったが、ナバホのことは全く知らなかった。たまたま、河合先生のケルト文化の本が文庫になって、それを読んでいる中でナバホのことを見つけた。それで、本書は探して買って読んだ。アメリカはアリゾナ州あたりにナバホ・ネーションというのがあるという。いまでも、昔からの文化を引き継いだ人々が住んでいる。そこには近代医学とは違ったかたちで医療にたずさわるメディスンマンという人たちがいる。それはあたかも「ゲド戦記」の魔法使いなのだそうだ。そんな中にも容赦なくアメリカ文化、キリスト教文化、科学技術は押し寄せてくる。テレビを見るようになれば、子どもたちはナバホのことばを忘れていく。日本でも方言というモノはどんどん消えていくのだろうが、本書を読んで一つの文化が消えゆく姿とそれを守ろうとする姿を見ることができた。そしてまたその良さに気付き始めた人たちもいる。宗教についての考え方がおもしろい。ナバホの人々は日常生活が宗教であるので、アメリカ人たちが日曜だけ教会に行ったりするのを見ていて、「あれはパートタイム宗教だ」と言ったりしている。おもしろい。まあ、パートタイムでも宗教性が残っているのは悪いことではないかもしれないが。日本人はどちらかというとアメリカ人よりもこのナバホの人々の考え方のほうに共感することが多いように思う。おわりの方で河合先生は言っている。「曖昧のよさ、イエス・ノーで割り切れないこともあって、それこそが本当の文化なんだということを、もっときちんと言語化して彼らに伝える努力をしていかなくてはならないですね。」もちろんアメリカ社会に対して。なぜだかちょっとほっとする。もともとは2001年「論座」に連載されたもの。9.11をどう受け止めながら書かれていたのだろう。

  • 河合隼雄がナバホを旅した。

    それは、アメリカ先住民のメディスンマン(シャーマン)を訪ね、癒しの文化、実践を掘り下げるためであった。

    深い深い知の世界。

    科学だけではわかりえない大いなる力を辿りますが、アメリカ先住民の文化は日本の文化と通じることも多々あり興味深いです。

    臨床心理士とメディスンマンの実践の共通する部分と違う部分が、一番おもしろかったことです。

    大いなるものを信じることができる社会、共同幻想がある社会とそうでない社会では、アプローチできる深さも範囲もまったく変わってきてしまうのです。

    近代化で失われてきたものの価値や豊かさについて感じられる1冊でもあります。

    “「とりたてて方法はない」と言うと、ジェームズさんは失望したようだ。ひょっとしてよい方法があれば学ぼうと思っていたのかもしれない。「私は話を聞くだけです」。どうもこれもぱっとしない。私が話を聴いているうちに多くの人は自分の力で治ってゆくのであって、私は別に何かをするわけではない、と手短に説明すると、ジェームズさんは、明らかに落胆して、「それでは小メディスンマンではないか」と言った。「もっと偉大なメディスンマンは日本にはいないのか」と、質問は鋭い。まさか、「私は日本臨床心理士会長です」と言うわけにもいかない。「残念ながら、いないようです」と言うと、ジェームズさんは気の毒そうな顔をして黙ってしまった。”

  • 梨木さん繋がりで河合さんの本を手にとっている。
    その河合さんの本の中にルグィンが紹介されている。
    今、私の心に一番、ひっかかっている物語がルグィンの
    作品のひとつ。この結びつきの不思議さに驚く。

    そして今、自分の理想とする生き方を考えているときに、この本を
    手にする縁の不思議さ。この本のテーマは、あとがきに
    河合さんが書いているように「現代日本において深く悩み
    傷ついている人に何ができるのか」ということ。

    「大切なことを論理的、合理的に説明したり伝えたりできないときに、
    文学はそれを可能にしてくれる」p.169
    そうか。どおりで。

    単純に威勢のいい人にパワー負けしない、臆病者になる。
    調和のとれた美しい生活を、蹂躙されないだけの強さを身につける。
    自然と調和すること。
    家族や知人を「しがらみ」といって切り捨てず「つながり」を大切にする。
    などなど。

    ほんとに手に取ったタイミングの良さに感謝です。

  • 日本人の宗教性などについて考えさせられます。

  • ナバホという国がアメリカにある。ナバホの宗教はキリスト教とは全くことなる。ナバホの人にとって、生活がすなわち宗教なのだ。
    ナバホの人たちは自分たちの起源を神話の語るところに従っているようだ。
    ナバホは聖地。アメリカ政府は最近になって先住民との融和政策に急激に熱心になってきた。
    シャーマニズムは、シャーマンと呼ばれる特別な能力を持った人物を中心に行われる宗教現象である。シャーマンは特殊な意識状態において超自然的存在と直接的に接触、あるいは交渉などできるのがその特徴。
    医療の世界でも最近はホリスティックメディスンということが強調され始めた。心と身体をひとつと考えてみることや、人間を自然と共存するものとして見るという考えの重要性も認識されるようになった。
    自分ではバリバリとやっているつもりの人でも、ふと自分の死を思い、自分の存在の根っこに目を向けたとき、いいようのない不安や孤独に襲われる。そこで何かによりすがろうとしてもそれまでに依存を切り捨ててきたので。今更頼れるものもないとすると、多くの人の逃げ込むのは酒や薬物依存。
    すべての人は、人間であり、同じ空気を吸って生きているというところであっさり解決がついている。人によって宗教の違いはあるにしても、要は人間なんだから根本は同じということ。
    人間は一人で生まれ、一人で死んでゆく。しかしその生涯にわたって、何かとつながっていると感じない限り、孤独のために破滅ささられてしまうだろう。

  • 2010/1/16ジュンク堂で購入

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