貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.60
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本棚登録 : 742
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643551

感想・レビュー・書評

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  • 剥製の動物達に見つめられながら、自分をロマノフ王朝最後の皇女アナスタシアであると言い続けた老女の、静かな生活、Aの刺繍、死。

    ニコと主人公の、真夜中の剥製屋敷探検が好きだ。
    清らかな静寂にニコの朗読が響いて、世界には3人しかいない。どうしようもなく羨ましい気持ちになる。

  • どうしても言っておきたいのは、小川洋子の書く男女が好きだということ。関係性が。人柄が。特にこの作品の「私」とニコの関係が凄く好き。互いを尊重し合いながら支えあっている姿は尊敬。

    後半にあるレストランのシーンが凄く良い。愛する人が側にいないとき、形のあるものにその姿を移して想うこと、よくあります。

  • この物語に出てくる主要人物は4人であるが、「私」以外の人物はみな非常に変=個性的!(笑)である。
    住居である猛獣館を舞台に、義理の伯母さんを「私」を含む3人が優しく取り巻き、物語が進行する。とても温かく不思議な雰囲気の小説である。
    随所にいろいろな動物名が出てくるのもとても楽しい。

  • 小川さんらしく
    妖しくて少しひんやり不気味で
    時折ハッとする淡い美しさが見えて

    そして今回は特に、登場する人物が、魅力的だった
    なんでこんなにも、ひとりひとりが心に刺さるように描けるのか
    素晴らしい…

  • とても奇妙で、でもとても落ち着く作品です。
    亡き夫の残した剥製に囲まれた猛獣館で、剥製たちに刺繍を施すユーリ伯母様が皇女アナスタシアかどうかなんて、重要なことではありませんでした。
    アナスタシアが蘇生という意味だというのは、他の短編集でちらりと目にしていたはずですが、素敵な意味です。
    剥製はちょっと怖いのですが、小川洋子さんに描かれるとなんだか瞬間をとどめたひたすら静かなものに感じられます。
    死で、生を表現する、剥製。
    作品の中心にいる登場人物たちも奇妙で魅力的でした。オハラはちょっと…と思いましたが憎めず、ニコの儀式も奇妙ですが彼の力強さには救われました。
    でも伯母様の魅力が一番です。深い青の目、何を見てきたのだろう。
    面白かったです。朝日文庫の栞のAが、この物語に誂えたようにぴったり。

  • 強迫性障害として描かれているニコがひときわ好きだ。彼のために、わたしもオハラもアナスタシア叔母さんもいるようにわたしは感じた。生と死、過去と未来の狭間で苦しむ象徴的な存在であるニコ。現に彼は社会的には病んでいる。こんなにもがいているのに置いておかれると慟哭する場面は白眉であった。

  • 【一緒に柔らかすぎるオムレツを食べませんか】

    はらはらと桜が散る頃に私は公園でひとりこの本を読み耽っていた。決して生き返らないという一文を読んだ時、ありが足元で死んだ。なんてことの無いことはだった。悲しくもない。ただ、桜が散るのは寂しくて、そっと本に挟んだ。久しぶりに開けば茶色い干からびたなにかがそっと死んでいた。

  • 本当は★3.5
    朝日からでるものは何故かあまり面白いと思えない
    今気づいたのは主人公が女性だった場合
    私の嫌いなタイプが多い

    オハラに剥製を譲渡したくだりは好きだった
    オハラは不快だったが、最後はそんなことも
    忘れてしまった

  • 日本なのにどこか異国めいた感じのする世界。
    文体?登場人物?名前がきちんとないから?

  • いつもそうだけど、小川洋子さんの小説は、どこか外国を舞台にしたような雰囲気を持つ。
    この作品に関しては明らかに現代日本なのだけど、洋館・剥製・貴婦人というワードが強くって…
    「私」とボーイフレンドのニコの会話や日常の過ごし方なんかも、どことなく海外文学の翻訳っぽさがあるのだ。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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