貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)

著者 : 小川洋子
  • 朝日新聞社 (2005年12月1日発売)
3.59
  • (55)
  • (90)
  • (137)
  • (17)
  • (2)
  • 本棚登録 :733
  • レビュー :76
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643551

貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 剥製の動物達に見つめられながら、自分をロマノフ王朝最後の皇女アナスタシアであると言い続けた老女の、静かな生活、Aの刺繍、死。

    ニコと主人公の、真夜中の剥製屋敷探検が好きだ。
    清らかな静寂にニコの朗読が響いて、世界には3人しかいない。どうしようもなく羨ましい気持ちになる。

  • どうしても言っておきたいのは、小川洋子の書く男女が好きだということ。関係性が。人柄が。特にこの作品の「私」とニコの関係が凄く好き。互いを尊重し合いながら支えあっている姿は尊敬。

    後半にあるレストランのシーンが凄く良い。愛する人が側にいないとき、形のあるものにその姿を移して想うこと、よくあります。

  • この物語に出てくる主要人物は4人であるが、「私」以外の人物はみな非常に変=個性的!(笑)である。
    住居である猛獣館を舞台に、義理の伯母さんを「私」を含む3人が優しく取り巻き、物語が進行する。とても温かく不思議な雰囲気の小説である。
    随所にいろいろな動物名が出てくるのもとても楽しい。

  • とても奇妙で、でもとても落ち着く作品です。
    亡き夫の残した剥製に囲まれた猛獣館で、剥製たちに刺繍を施すユーリ伯母様が皇女アナスタシアかどうかなんて、重要なことではありませんでした。
    アナスタシアが蘇生という意味だというのは、他の短編集でちらりと目にしていたはずですが、素敵な意味です。
    剥製はちょっと怖いのですが、小川洋子さんに描かれるとなんだか瞬間をとどめたひたすら静かなものに感じられます。
    死で、生を表現する、剥製。
    作品の中心にいる登場人物たちも奇妙で魅力的でした。オハラはちょっと…と思いましたが憎めず、ニコの儀式も奇妙ですが彼の力強さには救われました。
    でも伯母様の魅力が一番です。深い青の目、何を見てきたのだろう。
    面白かったです。朝日文庫の栞のAが、この物語に誂えたようにぴったり。

  • 強迫性障害として描かれているニコがひときわ好きだ。彼のために、わたしもオハラもアナスタシア叔母さんもいるようにわたしは感じた。生と死、過去と未来の狭間で苦しむ象徴的な存在であるニコ。現に彼は社会的には病んでいる。こんなにもがいているのに置いておかれると慟哭する場面は白眉であった。

  • 【一緒に柔らかすぎるオムレツを食べませんか】

    はらはらと桜が散る頃に私は公園でひとりこの本を読み耽っていた。決して生き返らないという一文を読んだ時、ありが足元で死んだ。なんてことの無いことはだった。悲しくもない。ただ、桜が散るのは寂しくて、そっと本に挟んだ。久しぶりに開けば茶色い干からびたなにかがそっと死んでいた。

  • 本当は★3.5
    朝日からでるものは何故かあまり面白いと思えない
    今気づいたのは主人公が女性だった場合
    私の嫌いなタイプが多い

    オハラに剥製を譲渡したくだりは好きだった
    オハラは不快だったが、最後はそんなことも
    忘れてしまった

  • 日本なのにどこか異国めいた感じのする世界。
    文体?登場人物?名前がきちんとないから?

  • いつもそうだけど、小川洋子さんの小説は、どこか外国を舞台にしたような雰囲気を持つ。
    この作品に関しては明らかに現代日本なのだけど、洋館・剥製・貴婦人というワードが強くって…
    「私」とボーイフレンドのニコの会話や日常の過ごし方なんかも、どことなく海外文学の翻訳っぽさがあるのだ。

  • 伯父の死に取り残された亡命ロシア人の伯母。その他もろもろの事情で大学生である主人公は伯父の遺産から学費を捻出してもらうという条件で伯母と同居して世話をすることになる。美しい青い瞳を持った伯母。彼女は伯父がコレクションしていた動物のはく製に毎日「A」という刺繍をして暮らす。そんな伯父の膨大なコレクションを嗅ぎ付けた剥製マニアのオハラが屋敷を訪れ、謎の多い伯母の(伯母が主張するところの)出自が明らかになる。
    伯母が主張するところによると伯母はロシアロマノフ王朝の処刑を免れた最後の子供ということになる。その名もアナスタシア。伯母の話を聞いても詳しすぎるほど詳しい部分があったり逆にこんなこと本人じゃなくてもわかりそうなことなのに、という部分を答えられなかったりする。この小説は伯母が本当にアナスタアシアかという部分には主眼を置いていない。登場人物たちも伯母をそういう好奇の目でみたりアラを捜したり真相を暴いたりしようとはしない。ただ伯母のいう思い出話に耳を傾ける。優しい。人間関係の醍醐味。その人がどんな主張をしてどのくらい正しいかなんていうことはさておき、ただ好きだから「はいはい」って頷いて一緒に過ごす。そしてこの伯母、貴婦人の振る舞いが本当に貴婦人。結局真実がどうなのかということは解明せずに終わるんだけど、素敵な家族のお話を読んだなっていう満足感が残った。

全76件中 1 - 10件を表示

貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)のその他の作品

貴婦人Aの蘇生 単行本 貴婦人Aの蘇生 小川洋子

小川洋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
小川 洋子
川上 弘美
有効な右矢印 無効な右矢印

貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)に関連する談話室の質問

貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする