宮尾本 平家物語 4 玄武之巻 (朝日文庫)

  • 朝日新聞社 (2006年7月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784022643643

みんなの感想まとめ

壮絶な戦いと人間ドラマが織りなす物語が展開される本作は、平家一門の栄華と衰退を描き出し、特に壇ノ浦の戦いにおける意外な結末が印象的です。著者は、平家の血筋を女性の視点から捉え直す挑戦を試みており、時子...

感想・レビュー・書評

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  • <全巻読了>
     政治ドラマでなく、家庭ドラマとして叙述された平家物語。
     しかし、原本や年表事項を転記したような教科書的な筆致が目立ち、斬新さには乏しい。
     個々の生命感や無常観等の心情描写は表面的で、人間ドラマとしては寸足らず。
     主軸となる人物達の見地が整理されないまま時間軸が方々に飛ぶ為、流れが滞って混乱し易く散漫な印象が拭えない。
     内容も、『女の目から見た平家物語』にしては同性故の魅力があまり発揮されない。
     逆に、彼女らの浅墓さや頑なさ・高圧さなどが目に付いてしまう。
     特に、一門の女ボスたる時子がここではどうにも好きになれない。
     記述に反し、お家大事が最優先の機微に欠けた気配りの足りぬ人間に見え、毅然たる貫禄よりも妄執に取り憑かれた老女の印象が強い。
     最大の売りであろう史実の書き換え=安徳天皇生存説も、納得し難いのが正直なところ。
     敗戦の土壇場で正史に打っ棄りを食らわせた女達よ見事!とは思えず、寧ろ擦り替えられた守貞親王の悲惨な入水が哀れ。
     安徳帝にしろ知盛の庶子・知宗にしろ、男系の存在こそ意義があるとでも言いたげな展開が鼻につく。
     (女系を辿れば平家の血筋は皇統に残っているし、知盛の血筋も正室腹の女子が継いでいる筈。)
     一方的な性差論が剥き出しで投影される上、同意を強制されては辛い。
     歴史に果たした女性の力と主体性をクローズアップさせる意図の割に、男女間の生命価値の格差が作中に蔓延るので、女の歴史としてのパワーは不完全燃焼に感じる。
     解説にて歴史小説は“歴史的心性の正確な再現ではない”とあるが、その時代の制度や風習の中で人々が如何に生き抜いたのかを、現代の人間にも説得力を持って表し伝えることが、歴史物の醍醐味の一つなのだと思う。

  • 栄華を誇った平家一門も義仲・行家ら源氏の軍勢に圧倒され、幼き安徳帝を頂いて、遂に西国へと都落ちする。一ノ谷、屋島の激戦の果てに壮絶な死を遂げる男たち、幼き天皇や親王らを命をかけて守る女たち、そして、西海・壇ノ浦へと消えゆくもの、都へ連れ戻されながらも平家一門の血を受け継ごうとするものなど、諸行無常の響きが全編を貫く著者畢生の超大作、いよいよ全巻完結!

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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