独酌余滴 (朝日文庫 た 43-1)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643674

感想・レビュー・書評

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  • 105円購入2013-11-22

  • 90年代後半のエッセー集。生命科学の他、能、飼い犬、途上国への旅、交友、生い立ち、キノコなど主題はさまざま。著者の幅広い興味・教養が伺われるが、いまいち食い足りない感があるので、専門に近い著書を読みたい。

  • 独酌余滴 (朝日文庫)

  • この人の書くものには匂いや色がある。

    「ここに集めたのは、軽い酩酊の中で考えた余滴」
    と著者本人が言うように、短い文章を集めたもの。

    考えさせられる部分はたくさんあったが、「町の記憶」について書かれたところを引用しておこう。著者が日暮里の辺りをうろついているころ、こんなことを考えたらしい。

    「どんなに懐かしくても、田舎育ちの私が以前に見たはずはない。私の記憶にないはずなのに懐かしさを呼び起こすのはなぜだろうか。」

    こういうことは私にも稀にある。それに対してこう説く。

    「それは、町自身が記憶というものを持っているからである。・・・中略・・・私たちは、町自身がためこんだ記憶をのぞき込んで、その懐かしさに共鳴しているのだ」

    うーん良い文章。

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著者プロフィール

多田富雄(ただ・とみお、1934-2010) 
1934年、茨城県結城市生まれ。東京大学名誉教授。専攻・免疫学。元・国際免疫学会連合会長。1959年千葉大学医学部卒業。同大学医学部教授、東京大学医学部教授を歴任。71年、免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細胞を発見、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など多数受賞。84年文化功労者。
2001年5月2日、出張先の金沢で脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と仮性球麻痺の後遺症で構音障害、嚥下障害となる。2010年4月21日死去。
著書に『免疫の意味論』(大佛次郎賞)『生命へのまなざし』『落葉隻語 ことばのかたみ』(以上、青土社)『生命の意味論』『脳の中の能舞台』『残夢整理』(以上、新潮社)『独酌余滴』(日本エッセイストクラブ賞)『懐かしい日々の想い』(以上、朝日新聞出版)『全詩集 歌占』『能の見える風景』『花供養』『詩集 寛容』『多田富雄 新作能全集』(以上、藤原書店)『寡黙なる巨人』(小林秀雄賞)『春楡の木陰で』(以上、集英社)など多数。


「2016年 『多田富雄のコスモロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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