謝々!宮沢賢治 (朝日文庫 わ 9-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.40
  • (1)
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 15
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643742

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 王敏 「謝々 宮沢賢治 」

    宮沢賢治を中心に 著者の自伝、日本人論、中国人思想を展開。賢治作品に出てくる 猫と鼠にこめられた 賢治のメッセージについての論評は 面白かった。

    著者にとっての 宮沢賢治の魅力は
    *宮沢賢治の人生探求の姿勢〜永久の未完成が完成である
    *小さな心の種子=祈り→憎まない世界、敵を殺さない世界
    *人間は 全ての動物、全ての植物と共生〜自然無為の原点へ


    猫と鼠〜人間の目に付きやすい動物
    *猫と鼠の姿を通して 人間の醜さを描いた〜調和を強調し 無知をなくす
    *生物と生物、生物と自然が相互の立場を確認し 共生共存の共同体を守る→人間の限界を考え、それを超えることにより 共存可能

    日本人論
    *日本人の日常生活の中で 自然と風土を愛する心(愛着)
    *中国文化をはじめ外国文化は 日本人の愛着に吸収されてしまう
    *愛着は いったん受け入れた文明自然性に 引き戻す白紙還元能力



  • 中国文化大革命末期に大学生時代をすごした猛烈で生真面目な勉強家が日本語を専攻し、宮沢賢治の「雨ニモマケズ〜」に出会ってショックを受けた話。どんだけ勉強家なんだ、と怠惰な現代っ子は思ってしまう。明治期とかに必死こいて勉学に励んだ人間よりもすごいのでは?と思ってしまう。確立が…25万人に一人とか、13億人中の片手で数えられる初めての留学生とか。宮沢賢治についてはよたかの星と雨ニモ〜がお好きな様子。宮沢賢治の研究家でいらっしゃるので専門的に考察しておられるところは難しく、分からなかった(コレでも国立四年大学文学専攻コース)。中国古典とつき合わせて、宮沢賢治は古代思想家と同じようなことを言ってるんだというところは面白かった。エッセイ部分は大革命期って浮き沈みが極端だな、日本に生まれてよかったと思うが、専門的な論文箇所と半々ぐらいでもう少しエッセイ箇所が多かったらよかった。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

中国・河北省承徳市生まれ。大連外国語大学日本語学部卒業、四川外国語大学大学院修了。宮沢賢治研究、日中比較文化研究。人文科学博士(お茶の水女子大学)。「文化外交を推進する総理懇談会」や「国際文化交流推進会議有識者会合」など委員も経験。日本ペンクラブ国際委員、朝日新聞アジアフェロー世話人、早稲田大学や関西大学などの客員教授などを歴任。法政大学名誉教授、桜美林大学特任教授、拓殖大学客員教授、周恩来平和研究所所長。
宮沢賢治を中国に初めて紹介したことで知られている。90年に中国優秀翻訳賞、92年に山崎賞、97年に岩手日報文学賞賢治賞を受賞。2009年に文化庁長官表彰。
主著:『周恩来と日本』(三和書籍)、『嵐山の周恩来』(三和書籍)、『禹王と日本人』(NHK出版)、『宮沢賢治、中国に翔る想い』(岩波書店)、『宮沢賢治と中国』(国際言語文化振興財団)、『中国人の愛国心─日本人とは違う5つの思考回路』(PHP新書)、『ほんとうは日本に憧れる中国人─「反日感情」の深層分析』(PHP新書)、など。
共著:『自分がされたくないことは人にもしない』(三和書籍)、『日本初の「世界」思想』(藤原書店)、『<意>の文化と<情>の文化』(中公叢書)、『君子の交わり 小人の交わり』(中公新書)、『中国シンボル・イメージ図典』(東京堂出版)、『中国人の日本観』(三和書籍)、『日中文化の交差点』(三和書籍)など。
要訳:『西遊記』、『三国志』、『紅楼夢』など
中国語作品:『漢魂与和魂』、『十国前政要論全球<公共論理>』、『中日神話伝説比較研究』、『中国小説与伝説在日本的伝播与再創』、『銀河鉄道之夜』、『生活中的日本─解読中日文化之差異』、『宮沢賢治傑作選』など多数。

「2022年 『福田康夫文集 世界の平和を求めて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

王敏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×