シンセミア〈4〉 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 278
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643803

感想・レビュー・書評

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  • 神町物語の長編、いよいよ閉幕です。凄い数の登場人物で、それぞれに纏わる物語を、最終的にどう料理していくのかが見ものだったけど、こうなりますか。初めから”死”との親和性が高い内容だったけど、最後はもはや、虐殺ですね。一人称で登場する、いってみれば準主役たる面々が、ここまでこぞっていなくなるとは…ビックリしました。ってか、続編もあるみたいだけど、どうなってしまうんだろ。でも総じて、この混沌とした世界観が気に入ったし、この町で起こる他の物語も読んでみたいので、神町サーガ、まだ楽しませてもらいます。

  • 読了。どっと疲れた。しばらく悪夢にうなされそう。良くも悪くもこの小説は力を持っている。

  • (1~4まとめての感想)
    可憐な少女の写真を使用した幻想的な美しい表紙とは対極のような内容。
    田舎の人は純朴とか気のいいパン屋さんとか正義感あふれるお巡りさん…なんて幻想をこれでもかと打ち砕いてくれます。

    2000年の夏に「神町」で起こった一連の事件と過去の出来事。
    盗撮、麻薬、暴力、ロリコン・・・読むのが嫌になるような描写の数々。不快感しか抱くことができない登場人物たち。
    陰惨で凄惨。誰しもが破滅に向かっているような話なのに、読み終えたとき、なぜか爽快感がありました。

    この話って、実在の地名が出てくるのですが、地元の人にはどのように受け止められているんだろう?

  • その想像と創造に圧倒される1冊(というか4冊)

  •  このブログに書いてはいないが、阿部和重は過去に『アメリカの夜』、『ニッポニアニッポン』などを読んだことがある。正直ちょっと退屈でよくわからないところもあり、私には合わないのだろうかという印象を持っていた。それに何か解説本みたいなのを読まないと理解できないようなものはあまり好きではないし・・・

     友人の薦めもあったので、文庫になったところをIからIVまでまとめ買いした。

     これは、面白い!今まで読んだ阿部和重の中で一番面白いし、1つの長編作品として珠玉である。登場人物が異様に多いのだが、作品が進むに連れて各個性が埋もれずに際立っている。どんな人間にも暗闇があり、悪の部分の物語が随所に描かれているのだが、全てがよくあるドラマ的な展開を遂げるわけでもなく、現実の人生のように、あっけない幕切れだったりするところがなかなか素晴らしいと感じた。

     阿部和重のファンでもそうでなくても、読んで損のない長編。小説が好きだという気持ちが少しでもあるなら試してみてはいかがかな。

  • 総じて“クロニクル”、と括られうる長大な小説を私は好むのだ、という傾向を改めて解悟。
    すべての伏線が緻密に張られていてそれがクライマックスで一気に明かされ余すところないカタルシスに至る、といった作品では決してない。
    破綻、とまでは言わないけれど、どっかでパズルに組み込むことを忘れてしまったのかな、なんて感じられる微少なパーツもあるにはあるが、あらゆる事情が陰惨で破滅的で暗澹たる結末に向かって加速してゆく物語そのものが持つ悪魔的な魅力は、そうした細かな瑕を殊更問題にはしない。
    つまりは、作者のストーリーテラーとしての才能、文章を産み出す純然たる能力の為せる業に違いない。
    正直、オチはあまり好きではなかったが、一晩1冊のハイペースを崩さずに読み切らざるをえなかった、という観点から、星5つ。

    少しだけ、奥田英朗の「最悪」を想起させた。

  • そして、誰もいなくなった・・・

  • 読み始めは普段読んでいるタイプの本ではなかったのと、かなり酷い話だったのでとにかくキツかった。でも、最後までぜひ読んでください!阿部氏の才能をすごい感じて、いろんな意味でほんとにゾクゾクっときました。オススメ。

著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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