シンセミア〈4〉 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.94
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本棚登録 : 278
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643803

作品紹介・あらすじ

不穏な事件が相次ぎ、未會有の災害にも見舞われて、神町の夏は悪夢のうちに過ぎようとしていた。暴かれる秘密の関係、呼び戻される恐るべき過去…いったい誰が神の怒りに触れたのか?"神町クロニクル"は大団円に向け疾走する。著者最高の傑作長篇、ついに全4巻完結。

感想・レビュー・書評

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  • げすな人々が引き起こす騒動の長大な物語。内容の無さと徹底したリアリズムと語りの巧妙さが不自然なまでにアンバランスで例によって消化不良。登場人物もやたらと多いうえにひとりも好きになれない。「みんな違ってみんなくず。」だけど圧倒的なまでに面白い。

  • 神町物語の長編、いよいよ閉幕です。凄い数の登場人物で、それぞれに纏わる物語を、最終的にどう料理していくのかが見ものだったけど、こうなりますか。初めから”死”との親和性が高い内容だったけど、最後はもはや、虐殺ですね。一人称で登場する、いってみれば準主役たる面々が、ここまでこぞっていなくなるとは…ビックリしました。ってか、続編もあるみたいだけど、どうなってしまうんだろ。でも総じて、この混沌とした世界観が気に入ったし、この町で起こる他の物語も読んでみたいので、神町サーガ、まだ楽しませてもらいます。

  • 【本の内容】
    <1>
    20世紀最後の夏、神の町で何が起きたのか?

    『ニッポニアニッポン』や『グランド・フィナーレ』につらなる“神町クロニクル”の壮大な幕が開く。

    伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した本作は、デビュー10年にして到達した著者最高の傑作長篇である。

    文庫オリジナルの神町地図と年表を収録。

    <2>
    神の町に“神”は存在しないのか。

    自殺、事故死、行方不明と事件が相次ぎ、放火や地震が住民たちに追い打ちをかける。

    町に流れる不気味な噂、ひそかに張り巡らされる監視網、そして訪れる審判の時とは?

    伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した傑作長篇第2弾。

    <3>
    大型で強い台風8号が神町を直撃した。

    大雨、土砂崩れ、道路冠水、さらに床上浸水へと進み、町の商店街は水没する。

    未會有の洪水のさなかに発覚した忌まわしい事件の真相とは?

    そして荒廃する人の心はいったいどこに向かうのか?

    待望の文庫化第3弾!

    文庫オリジナルの人物相関図と年表と収録。

    <4>
    不穏な事件が相次ぎ、未會有の災害にも見舞われて、神町の夏は悪夢のうちに過ぎようとしていた。

    暴かれる秘密の関係、呼び戻される恐るべき過去…いったい誰が神の怒りに触れたのか?“神町クロニクル”は大団円に向け疾走する。

    著者最高の傑作長篇、ついに全4巻完結。

    [ 目次 ]
    <1>


    <2>


    <3>


    <4>


    [ POP ]
    劇的に滅びるのではなく、誰も気付かないところで少しずつ壊れていく町が描かれる。

    俯瞰的な描写はほとんどないので、読者はさまざまな登場人物たちの目を通して滅び行く町の光景を目にすることになる。

    ビデオ撮影サークル(実態は盗撮サークル)のメンバーたち、ロリコン趣味の警察官、夫を愛さずに結婚した妻……。

    彼らは自らの欲求に従って行動しているだけなのだが、町に組み込まれたどうしようもない歪みに知らず知らずのうちに影響されているようにも見える。

    そして、大きな事件が起きる。もはや何が狂っているのかもわからないまま、人々は目の前のことを懸命に片付けようとする。

    おかしいと気付いても何もできない無力感。

    暗い部分から目を背け、うしろめたい趣味に夢中になる人々。

    どこか他人事のように起きる数々の事件。

    このやるせなさ、絶望感が精緻な描写を通して伝わってくるように思った。

    私たちが今生きているこの国も、いつかこのような滅びを迎えるのだろうか。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • バランスが悪い。後半もっとページ割いて欲しかった。
    フォークナーのヨクナパトーファものか
    ガルシア=マルケスのマコンドものが読みたくなったのは
    主人公が人じゃなくて町だったからでしょう。

  • 読了。どっと疲れた。しばらく悪夢にうなされそう。良くも悪くもこの小説は力を持っている。

  • 書き方は好き。特徴的。最後の阿部和重の再登場なんかは後味悪くて、面白い。ただ、最後は皆、死んで、ストーリーをまとめようとしていく感じが、ちょっと強引で残念。だから、最終話は☆二つ。

  • 阿部氏の傑作。

    下世話を基調にした最高のストーリー展開。一気に読めます。

  • 最終巻。
    いやはや、すごかった。
    まさかこんな結末とは…。

    分かったような分からないような状況なのだけど、それでもいいやという感覚。
    特に最後は物語の勢いに乗ったそのスピード感が気持ちよかったからもう一度読み返す気になれない。
    今はこれで満足。
    どうしても気になったら再読しようと思う。

    • 花鳥風月さん
      コメントありがとうございました。
      読んでたら自分もちょっとまた阿部さんを読んでみたくなってきました。
      評判の「ピストルズ」にそのうち挑戦しよ...
      コメントありがとうございました。
      読んでたら自分もちょっとまた阿部さんを読んでみたくなってきました。
      評判の「ピストルズ」にそのうち挑戦しようかと思います。
      2011/12/05
  •  全4巻の最終巻をようやく読了。長かったが、あらためて振り返ると、これは間隔をあけずに一気読みした方がよかったかなと思った。

     閉塞感のある地方の町「神町」を舞台に、膨大な登場人物たちが交差し合い、これまでの怨念がぶつかり合って、とうとう怒濤のようなクライマックスを迎える。最初から最後まで、どこからどこまでが伏線で、結末がどこに向かうのか予想できないまま読み終わったが、とりあえずこれはこれで幕引きができたのかな。過去からの因縁と陰謀が渦巻く、現代の地方都市に暮らす人々の心の「闇」には十分引き込まれた。他の神町サーガ作品にも手を伸ばしてみたい気になった。
     ただ、最後まで残された謎の真相を、探偵役でもない人物が現れて滔々と種明かししていく部分だけは、手抜きじゃないかと感じた。

     あと、本文とは関係ないが、ラストシーンのネタばらしを解説で平然と書いていたので唖然とした。「ビックリした」と感想も中学生並みだし、とんでもない解説者だ。朝日文庫版を読む人は要注意。

  • やっぱりこれは神町版パルプフィクションだ...

  • 伏線から考えればこの一つの物語にこれほどまで綿密に織り込んだ作品もなかなか見受けられないかと。
    プロットの複雑さ、登場人物の豊富さ。それを終点へ向けて進む物語が、どう終わるのかと期待した面ではいささかの期待はずれもありました。オチがもう少し違っていたら別の感想もあったかもしれませんが、物語の完成度では結構お奨めです。

  • (1~4まとめての感想)
    可憐な少女の写真を使用した幻想的な美しい表紙とは対極のような内容。
    田舎の人は純朴とか気のいいパン屋さんとか正義感あふれるお巡りさん…なんて幻想をこれでもかと打ち砕いてくれます。

    2000年の夏に「神町」で起こった一連の事件と過去の出来事。
    盗撮、麻薬、暴力、ロリコン・・・読むのが嫌になるような描写の数々。不快感しか抱くことができない登場人物たち。
    陰惨で凄惨。誰しもが破滅に向かっているような話なのに、読み終えたとき、なぜか爽快感がありました。

    この話って、実在の地名が出てくるのですが、地元の人にはどのように受け止められているんだろう?

  • その想像と創造に圧倒される1冊(というか4冊)

  • 遂に読み終わった~。
    長かった。しかし結構面白かった。
    次々と色んな出来事がテンポよく出てくるので、
    飽きずにすらすらいけました。
    しかし登場人物多すぎで、久しぶりに出てきたら忘れてる。。。
    後登場人物が最低な輩ばっかりで面白い。

  • 東北の地方都市に残された、さまざまな形の「戦後」が終端を迎える。秩序の崩壊、世代闘争、家族・男女の関係…、現代社会のモラルを思い切り揺さぶるシリーズ最終作なのだが、主要人物が次々とあっけなく、情けなく死んでいく。これからクライマックスという読者の期待をわざと裏切るように終わっていくのだ。作者の名を語る人物をカッコ悪く登場させるのは、自分への言い訳なのか?エンディングは不気味な展開を予感させる。

  • (1巻~4巻まで、まとめてのレビュー)
    ようやく読み終わりました・・。
    正視に堪えないバイオレンス描写&変態的性描写に、胸が悪くなりそうな事も度々。
    ラストも、やっと落ち着きそうかと思いきや、“え~↓”って感じですし。
    読書に現実逃避を求める私には、残念ながら向かない話でした。

  • 4/23
    視点の巧みな移動。

  •  このブログに書いてはいないが、阿部和重は過去に『アメリカの夜』、『ニッポニアニッポン』などを読んだことがある。正直ちょっと退屈でよくわからないところもあり、私には合わないのだろうかという印象を持っていた。それに何か解説本みたいなのを読まないと理解できないようなものはあまり好きではないし・・・

     友人の薦めもあったので、文庫になったところをIからIVまでまとめ買いした。

     これは、面白い!今まで読んだ阿部和重の中で一番面白いし、1つの長編作品として珠玉である。登場人物が異様に多いのだが、作品が進むに連れて各個性が埋もれずに際立っている。どんな人間にも暗闇があり、悪の部分の物語が随所に描かれているのだが、全てがよくあるドラマ的な展開を遂げるわけでもなく、現実の人生のように、あっけない幕切れだったりするところがなかなか素晴らしいと感じた。

     阿部和重のファンでもそうでなくても、読んで損のない長編。小説が好きだという気持ちが少しでもあるなら試してみてはいかがかな。

  • 総じて“クロニクル”、と括られうる長大な小説を私は好むのだ、という傾向を改めて解悟。
    すべての伏線が緻密に張られていてそれがクライマックスで一気に明かされ余すところないカタルシスに至る、といった作品では決してない。
    破綻、とまでは言わないけれど、どっかでパズルに組み込むことを忘れてしまったのかな、なんて感じられる微少なパーツもあるにはあるが、あらゆる事情が陰惨で破滅的で暗澹たる結末に向かって加速してゆく物語そのものが持つ悪魔的な魅力は、そうした細かな瑕を殊更問題にはしない。
    つまりは、作者のストーリーテラーとしての才能、文章を産み出す純然たる能力の為せる業に違いない。
    正直、オチはあまり好きではなかったが、一晩1冊のハイペースを崩さずに読み切らざるをえなかった、という観点から、星5つ。

    少しだけ、奥田英朗の「最悪」を想起させた。

  • 長かった・・・!割りにラストはバタバタと畳み掛けるように人が死んでいった・・・。
    せっかくこんなに長いの読んだんだから、もっと あぁ!そうだったのか!みたいな発見とか驚きとかあって欲しかった。

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著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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