- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022643957
作品紹介・あらすじ
国境なんて、いったいだれが考えたのか。世界諸国をひとりで旅し、各地で目にした不平等・不正義と、強烈に魅惑的な異質性。半ば強いられ、半ば楽しむ孤独と不便。現地の人々との思いがけない交情。そして日本人と日本学を顧みる。越境する社会学者の、異文化論日本考。
感想・レビュー・書評
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そうだよね、この人が書けばただの紀行エッセイにはならないよね。メキシコやアメリカで経験した骨太な論考が収められている。特にメキシコでの活動は面白い。移民史に立ち入ったりもしているのだが、そういう活動を知ると、フェミニズムの論客とされることの多い著者だけど、広く深く社会をみることのできる気鋭の社会学者なのだということがわかると思う。
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「どんな一般化も拒む存在」
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著者がアメリカの大学にいた後に、メキシコに渡ったときの体験談。
大学に身を置いていたというのもあり、なんだか妙に共感する。ものすごく違う文化を体験したのだけど、でもそれほどたいしたことではない、というのも共有している。 -
知識人が体験を「少し」すると立派なものが書けるんやなぁ・・・・。
「戦後知識人の北米体験」は仰る通り、誰かに総括してもらいたい。
知識人は多少なりとも社会を誘導してしまうのですから・・・。 -
遥洋子が『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』で著した上野の戦い方はどうやって育まれたのか不思議だった。しかし謎はこの本と出会ったことで解ける。つまり彼女の戦い方は<北米体験>によって確かなものへと進化するきっかけを得たのではないだろうか。私は上野が<異国>を好きなことを全く知らなかった。彼女が国境を越えていく姿を想像してもいなかった。彼女のバイタリティの凄まじさは理解しているつもりではあったが、そのパワーが国境を越えてメキシコやアメリカにまで及ぶとは唖然だった。上野は留まることをしらない。出没地域が多岐に渡る。日本の地方過疎地域に出没したかと思えば、インド、ドイツ、アメリカ、メキシコ!?おそらく延々と国名が挙がっていくのだろう。なんたる人だ!?すごすぎる!!この本は一瞬アメリカ・メキシコの滞在記で終わっちゃうのかなと予想をさせといて、読者をまんまと裏切るわけだ。上野千鶴子である。滞在記だけで終わるわけがないのだ。ちゃっかり「戦後知識人の北米体験」っていう軽い論文がそなえられている。上野は極上のデザートを提供することを忘れないのだ。はあ、またしても脱帽だ。北米体験から稀有な影響を受けた例として鶴見和子や鶴見俊輔も取り挙げられている。また南方熊楠も登場。
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国境なんかいくらでも越えられる。なかなか超えられないのが....。
さすが上野先生、いつも鋭い。
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めっさおもろいエッセイ。
大学の下らん教養を半年とるよりもこれを一冊読んだ方がおもろいしためになります -
こんな刺激的なエッセイは久しぶりに読んだ気がします。
軽く読める海外旅行記・海外長期滞在記から、じっくり読める専門的な日本学に関する考察まで、最初から最後までワクワクしながら読めました。
やはりジェンダー学の上野千鶴子、女性が読んだらもっと面白いかも?