橋本治という行き方 WHAT A WAY TO GO! (朝日文庫 は 27-1)
- 朝日新聞社 (2007年9月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022644084
感想・レビュー・書評
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著者がみずからの歩んできた道を振り返りつつ、そのつどなにを考え、どのように生きてきたのかを語っている本です。
雑誌『一冊の本』に連載されていた記事をまとめた本で、一つのエッセイが5ページほどで構成されており、著者の延々とつづく議論になじめないという読者でも比較的読みやすいと感じるのではないかと思います。イラク戦争などをテーマにとりあげた時評的な文章も含まれていますが、もっとも目立って論じられているテーマは「教養」だといってよいでしょう。著者はこれのテーマを論じるにあたって、それを仰ぎ見るのでもなく、知らぬふりをして傍らを通りすぎるのでもなく、またことさらに敵対するポーズをとるのでもなく、「教養」との自由なつきあいかたを、さもなんでもないことであるかのように語っていますが、いかにも著者らしい態度だと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
哲学書のように思える本。強引に考え方を似せて読み、しっくりくる点、来ない点がわかってきた。
氏の思想にそって生きようというわけでもないが、結構すーっと落ち着くのが不思議で、この感覚を得るために今後も再読する本になりそう。 -
本について、
の項目が好き。
楽しみのための読書は否定しないけど
新しい世界を見せてくれる本の前では
痛みが伴うことは、必然。
快感にまで変えられたらなんて幻想抱きつつ。 -
自分だけが正しいと信じる人たちは、たったひとつしかない正解の座を賭けて争う…治兄さんらしいエッセイ。
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はい、はい。
この人の文章は、話し言葉だと分かりやすいのかもしれんが、書くと逆に分かりにくくなるような。カギ括弧多用が少々鬱陶しいというか。
それから、韜晦の合間に「自分は他の人と違う」というメッセージを挟んでくるのもちょっとうんざり。普通に「こう思う」って書けば、ユニークだと分かるんであって。
まともな思考の人だと思うだけに、語り口がしっくりこないのが残念。 -
今回「疲れすぎて眠れぬ夜のために」(内田樹、角川文庫)と「橋本治という行き方」(橋本治、朝日文庫)を続けてよんで、二人の相違や共通点などがおぼろげながらわかったような気がする。まあでも本当に「おぼろげながら」だし、文章にできるほど分かっているわけではないので、説明を試みることはしない。
ただ、今まで内田樹の書籍を読みすぎたせいだろう、今回に関しては、(相変わらずわかりにくいし、あるいはわからない文章だが)橋本治の方がビビッとくることが多かった。特に個人的には、「批評」周辺の部分は目を引くものがあり、『批評とマーケティング』において批評の本来性を説かれた時には、「あ、そんな考え方もあるよな」と。『ある作家について』や『「本」というもの』なんかも好き。
「疲れすぎて~」に関しては、特に『Ⅱ働くことに疲れたら』と『Ⅴ家族を愛するとは』が面白い。
内田樹の場合は「面白い」と形容できるけど、橋本治の場合はそれができない。
二人の違いをそういう風に言うこともできるかもしれませんね(今思いついたけど)。
(2007年10月25日) -
第8回(09.06.24)田原
(本文抜粋)
「自分のやりたいことを職業とするためには、努力をしなくちゃならないな」
「書くということは、それを採点する人間が持っている正解に合致させる作業
である」という思い込みの呪縛。
「これだけ知っていれば大丈夫」でスタートしてしまった人間は、「自分のス
タート地点は怪しいかもしれないぞ」という覚悟をしとくべきだ。
「矛盾がある」は分かっても、「どこがどのように矛盾していて、"矛盾して
いない"というのはコレコレシカジカのことだ」と指摘するのが、むずかしい。
人は往々にして、「私は社会である」という、とんでもなく妄想的な前提に立
ってしまう。
「感動した」というのは、「その時の自分が激しくそれを求めた」というだけ
であって、それが「永遠の名作」かどうかは分らない。
1度チューンアップし直す必要があるなと、私の30代の時に思った。それで
かなり、昔の映画を徹底的に見直した。
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この人の思考能力はどうなってるのか。
ふわふわしてる部分と、がっちりとした芯の部分の差がすごい。
外はふわふわ、中はガチガチw -
購入した本
この人の本を読むには、体力がいる。ずっとそう思ってきた
けれど、実はそうでもなかった。
いや、体力はいるけれど精神的には安定できるものだった。
思考のパターンが似ている、というとおこがましいけれど
「私は、これでもいいんだ」と安心できた。
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これも、いつもながら、橋本治氏の物事の核心をついた語りが、興味深い。彼が若い人向けに訳した「古事記」を読みたくなりました。