さざなみ情話 (朝日文庫 (お56-1))

著者 : 乙川優三郎
  • 朝日新聞社 (2007年10月10日発売)
3.83
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  • レビュー :3
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644176

さざなみ情話 (朝日文庫 (お56-1))の感想・レビュー・書評

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  • 2010.12.25(土)。

  • 乙川氏の作品はなぜこれほどまでに切ない空気が漂っているのだろうか。それは彼が描き出す世界のそのほとんどが、市井の人々を主役に据えているからだろうと思う。
    市井の人々、つまり庶民たちは、喜怒哀楽を如実に備えて日々の生活を行っている。その市井の日常に光を当て、かつ「哀」の部分を浮き上がらせることによって、読者をその時代の空気に引き込み、同じく「哀」を味あわせてくれるのだ。その実力たるや、時代小説大賞受賞作『霧の橋』に如実に現れているだろう。

    さて。本作は乙川氏が好きな銚子(千葉県)を舞台にしている。
    そこで船運業を営み、自ら高瀬舟の船頭として働く修次が主人公となり、食売旅籠(めしうりはたご:女郎屋のこと)で知り合った「ちせ」との情話を描いている。
    「情話」を『広辞苑』で調べてみると、<①真情を打ち明けて語る話。また、人情のこもった話。②男女の情愛に関する物語。③男女の睦まじい語らい。睦言。>となっていた。
    この作品には、このすべての意味が備えられている。全編にわたって「哀」が漂っており、物語は実に静かに進んで行くので「何か」を期待する人には物足りないかもしれないが、一読の価値はあるだろうと思う。

    2007年10月/朝日新聞社/朝日文庫

  • 北方・水滸伝を9巻で一旦中断し、この本を読み始めました。
    乙川さんのしっとりした情緒が大好きなのですが、どうもこの本は・・・。
    しっとりと言うよりじっとり、いやジメジメと言った方が良いでしょうか。前半はどうも主人公たちがウジウジと同じところを回り続けている感じがします。ちょっと途中で投げ出したくなってしまいました。
    その前に読んでいたのが水滸伝ですからね、余計そう感じたのかも知れませんけど。
    最後の80ページほどで大きな展開が見られます。そしてラスト。ちょっと思いも寄らぬ展開で、爽やかに終わります。このあたりは流石です。
    しかし、そうならば前半を思い切って端折って中篇に仕立てたら、そういう感想を持った作品でした。

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