大人の友情 (朝日文庫 か 23-8)

著者 :
  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644329

作品紹介・あらすじ

あなたは友人の出世を喜べますか?人はなぜ裏切るのでしょう?夫婦、男女、そして上司と部下の友情とは?人生を深く癒し、温かく支える「友情」について、臨床心理学者としての豊富な経験と古今東西の文学作品からときほぐす、大人のため友情論。

感想・レビュー・書評

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  • [人間の生き方を豊かにしてくれるもの]表紙の絵や挿絵も好き。河合隼雄さんの書く、白州正子さんのエピソードが心をほぐしてくれました。ときどき読み返す。

  • 雑誌でおすすめされていたので読みました。
    大人になってからの友達の作り方を期待していましたが、友情という言葉の解釈でした。

    頭のいい人は友達が少ない、それは他人の欠点が人より多く見えてしまうから。というのが印象的でした。

  • 河合隼雄(1928~2007年)氏は、京大理学部卒、UCLA留学を経て、スイスのユング研究所で日本人として初めて、ユング派分析家の資格を取得し、国内外におけるユング分析心理学の理解と実践に貢献した。天理大学教授、京大教授・教育学部長・名誉教授、国際日本文化研究センター所長、文化庁長官等を歴任。また、日本心理臨床学会理事長、日本箱庭療法学会理事長・会長、日本臨床心理士会会長、中央教育審議会委員、教育改革国民会議委員、文部科学省顧問等を務める。紫綬褒章受章、朝日賞受賞、文化功労者顕彰、正四位瑞宝重光章受章。
    本書は2005年に出版、2008年に文庫化された。
    本書は、大人の人間関係の背後にある、いろいろな「友情」について綴った、エッセイ風の文章をまとめたもので、テーマ(章立て)は以下である。「友だちが欲しい」、「友情を支えるもの」、「男女間に友情は成立するか」、「友人の出世を喜べるか」、「友人の死」、「「つきあい」は難しい」、「碁がたき・ポンユー」、「裏切り」、「友情と同性愛」、「茶呑み友だち」、「友情と贈りもの」、「境界を超える友情」。
    私はアラ還の会社員だが、人生後半に向けて、仕事とは切り離された人間関係について考えることも多くなり、新古書店で本書を偶々目にし、手に取った。
    一通りページを繰った読後感は、正直なところ、少々すっきりしない、物足りなさの残るものであった。個々のテーマは興味深いものが多かったのだが、一世代(以上)離れた著者との、実体験としての人間関係やその捉え方は結構異なるし、また、言い回しが多分に慎重なこともあってか、特段の具体的な示唆が得られたという感覚は、残念ながら持てなかった。(尚、読了後、以前読んだ著者の『こころの処方箋』をパラパラとめくってみたのだが、その冒頭に「人の心がいかにわからないかということを、確信をもって知っているところが、(臨床心理学の)専門家の特徴である。・・・簡単に判断を下さず、人の心というものはどんな動きをするのか、わかるはずがないという態度で他人に接しているのである。」と書かれており、そのような基本スタンスが、文章の歯切れをも鈍らせているのかも知れないと思った)
    それでも、「友情」とは何か、ということについて印象に残った記述はあり、それは次のようなものである。
    「世間の評価とか、利害と関係なく、お互いに「存在を認め合っている」・・・お互いに共有するものを確かめあいながら、その存在を認めあう・・・友情を支える互いに共有するものが、目的や理想でないとすると、それは「生きていること」とでも言いたくなってくる。「お前も生きているのか、俺も」と言いたいような感じ。「お互い、生きててよかったな」という・・・」
    私は幸いなことに、50歳を過ぎて、「お互いに共有するものを確かめあいながら、その存在を認めあう」竹馬の友たちに再会し、親交を深めているが、今後も彼らと「生きていること」を共有しながら、年を重ねて行きたいと思う次第である。
    (2022年12月了)

  • 友人関係について、心に引っかかっていたものを、言語化してくれていた。

  • 現代日本の臨床心理学の礎を築いた、ユング派心理学の大家によるエッセイ。

    大人の友情はむずかしい。
    この本には難しいことは何一つ書いていないが、それでも示唆に富む一冊だと思いました。
    それと同時に、なんだ、みんな おんなじなんだなぁ〜とも思ったり。

  • 表紙がめちゃ綺麗で直観で買った。
    でも今の僕にはそんな響かず積読中。

    これを相性というのかな、また一つ学びだ。

  • ・タイトルがいいな〜と思って購入したけど、心配されそうで、いつもいく喫茶店のカウンターでは表示を隠して読んだ。

    ・大人になってからの友人の作り方、といったノウハウを求めて読むものではない。本全体を読んだ時子どもの頃からアップデートすることなく持ち運んできた硬くなった「友人」「友情」のイメージがぼやけるような、意図的にコリをほぐしてぼやかせられるような本。

    ・友人とは夜中に死体を車のトランクにつんで現れた時黙って話を聞いてくれる人、というのはわかる気もするが、割と映画なんかだとよくみるシーン。

    ・小林秀雄と中原中也、田辺元と野上弥生子のエピソード好き。

  • 大人になると欲しいと思っても、なかなかできないのが友人。
    そしてある時に何よりも代えがたく感じるのが温かな友情。

    そんな大人になってからの友情というものに焦点を当てた本書。
    学術的内容というより河合先生自身の体験から述べられたエッセイのような内容。

    目次は
    ・友達が欲しい
    ・友情を支えるもの
    ・男女間に友情は成立するか
    ・友人の出世を喜べるか
    ・友人の死
    ・「つきあい」は難しい
    ・碁がたき・ポンユー
    ・裏切り
    ・友情と同性愛
    ・茶呑み友達
    ・友情と贈り物
    ・境界を超える友情

    いいなと思った考え

    ・目的や理想を同じくする絆は仲間や同士であるが、友との絆は「生きていること」とでも言いたくなる。

    ・互いに死すべき者と感じるとき、この世のあらゆる評価を超えて、束の間のこの世の生を共にしている者に対する、やさしさが生まれてくる。

    ・友情で大切なのは「真実」と「優しさ」であるが、それは目指すべき星であり、到達することは無い

    ・他人に愛想を尽かしているときはまだいいが、自分自身に愛想を尽かすと人間は動けなくなる。そして、そこから出てくる答えとしては死以外にないとした。

    ・人間の感情には、激しさと深さという二側面がある。激しさは目に見える行動に結びつきやすく、他人から見てもよくわかる。
    深さの方はすぐにわかるような行動と結びつかないので一見すると認めにくいが、永続的な行為として示され、それは他からの力によっては変え難い。

    ・現代は下手をすると、なんでも思いのままに支配し、操作できると錯覚し、その結果大変な孤独や閉塞感に悩まされることになる。

  • ちょっと難しいかな~と恐々読み始めたけど、切り口が身近というのと、1つ1つが短いのもあってとても読みやすかった。

    うんうん、そうだよな~。と思うような内容がたくさん。自分や周りの環境を振り返りながら、人間として大切なことを改めて考えさせられました。

    本文より↓
    友人とは「夜中の十二時に、自動車のトランクに死体を入れて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」

    外からみて批判し、非難する以前に、内側に共にたって感情をわかちあう、やさしさが友情を支える

    悪を許容するわけではないが、それでも何とか関係を続けてゆき、変化を期待し続ける態度に支えられて、子どもは成長してゆくのである

    人の死に対しては「喪」が必要だ。

  • 同一視の部分、なるほどと思った。やってしまいがちなので、一歩引いて自分を見つめたい。
    そして、結婚においては茶呑み友達のような相手を選びたいな〜(笑)

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