街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 79
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644428

作品紹介・あらすじ

東北の南部人を考える「陸奥のみち」を満喫したあと、南に針路を転じ、「肥薩のみち」を歩いた。「われわれは田原坂に来てしまったのである」とつぶやく著者は、ちょうど大作の『翔ぶが如く』を連載中だった。「薩摩」の人間風土は書くのは大変なんですよと、正直に読者に悩みを打ち明けてもいる。

感想・レビュー・書評

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  • 肥薩に日本人の原型を感じた

  • この人の著作は、小説よりもこういう作品のほうこそ味があって面白い。
    私にとっては紀行文にハマるようになったきっかけでもある。

    本書は同シリーズ三作目。単体としても面白いのだけど、先に一巻・二巻を読んでおいた方がより楽しめるかとも思う。というのも、『街道をゆく』シリーズの原点は一番最初「湖西のみち」での"日本人はどこから来たのだろう?"という問いにあるから。
    「湖西のみち」や「韓のみち」で、現代日本人に繋がるひとつの流れである半島からの古代渡来人についての考察が様々に述べられていたのに対して、本書は明らかにそれらとは異質な民俗的要素を持っていた人々が居たと思われる、南九州や奥州についての考察の旅。
    とくに、言語学的な観点から鹿児島弁の中に非日本語的な子音単独使用の要素を見出だしている「肥薩のみち」は興味深い。
    また、南方の島々等で見られるいくつかの特徴的な風習が、大陸には存在せず、日本にはあるのだとか。
    中央の大和人達とは別種のルーツを持っていたと推測される南方系の系譜を引く人々が、古代のどこかの時点で鹿児島に拠点を置き、次第に日本列島内に散らばっていったのだろうということが想像される。

    鎌倉時代から明治西南戦争の時期まで一貫して、中央の人々の恐怖の対象であったという特異な島津武士団の形成も、そんな南方人的な要素が基礎になっていたのかもしれない。
    700年の伝統を持つ鹿児島士族団の凄まじさを良くも悪くも象徴する西南戦争の田原坂戦を、地元のお年寄りの体験談も交えつつ想起する描写も面白い。
    田原坂戦跡では弾丸と弾丸が空中で衝突したものが多数見つかるのだとか。局地戦としての密度の濃さを示す、世界的にも類を見ないその事実から、本書では読み手の想像を鹿児島士族の人間風景へと結びつけていく。

    「肥薩のみち」で考察される南方系の人々も含めたいくつものルーツの人々が、血も風俗も言語も様々に混ざり合いながら、多少の地域性を備えつつ紆余曲折を経て出来上がったのが今の日本人なんだろうか。そんなことを思う。

  • 陸奥、肥薩、河内の道。

  • その土地土地に歴史あり。
    じっくり読みたい本。

    2013.12.3読了

  •  知らないで借りたのですが、「ほか」にあたる、「河内のみち」が面白かったです。地元なので。

  • 鹿児島・熊本旅行の事前準備としてこの本を読んだ。相変わらず観光ガイドに載っていない地名ばかりであった。地元の友人にお願いして島津氏の難攻不落といわれた竜ヶ城に連れて行ってもらった。案の定、「そげいな場所はどこにあるでごわすか?」(※標準語でした)。城跡に入る所に看板表示はなく彷徨い、不安になりながら細い一本道を山奥へと駆け上がって行った。着いた先は桜が満開で蒲生町が一望できる絶景ポイントだった。いまや地元住民にしか知らない穴場なのだろう。いい場所なのに古いものが忘れられていっているんだなとつくづく思った。

  • 2010/10/30
    52

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プロフィール

司馬遼太郎は、1923年、大阪市生まれの日本の歴史小説家・エッセイストである。故人。
本名、福田 定一(ふくだ ていいち)。大阪府大阪市生まれ。筆名の由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」から来ている。
特に歴史小説の大家として知られ、代表作は「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「新撰組血風録」「菜の花の沖」「花神」「世に棲む日日」「梟の城」「関が原」「功名が辻」「国盗り物語」「街道をゆく」「十一番目の志士」「城をとる話」「風神の門」「二十一世紀に生きる君たちへ」他多数。その多くが大河ドラマ化、テレビドラマ化、映画化、コミック化などの形でマルチメディア展開されている。

司馬遼太郎は産経新聞社記者として在職中の1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多い。
1996年2月に72歳で逝去。
2001年には、東大阪市の自宅隣に司馬遼太郎記念館が開館。

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