街道をゆく 6 沖縄・先島への道 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.54
  • (3)
  • (9)
  • (13)
  • (1)
  • (0)
  • 本棚登録 :106
  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644459

作品紹介・あらすじ

アメリカ施政権下から本土に復帰して2年足らずの沖縄をゆく旅。那覇では島尾敏雄氏と語らい、薩摩藩の侵略や明治国家の琉球処分を振り返って「日本における近代国家とは何か」を考える。まぼろしの「南波照間島」を思いつつ石垣・竹富・与那国の離島に足を伸ばすみちでは、「司馬民俗学」とも呼びうる、言語・宗教・建築・製鉄・造船などにかんする幅広い知見がつづられる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2008年刊(週刊朝日初出1974年)。

     沖縄本島の那覇・糸満、石垣・竹富島、与那国島を巡る紀行文。

     先に見た「南からの日本文化」「琉球からみた世界史」ほど新しくはなく、遺跡やその解釈に関しては古さがないわけではないが、例えば、沖縄(特に先島周辺)における、中世倭寇の根拠地と解される遺跡の存在など、前提として知っておいた方が楽しめるトリビアが様々。

     また、南西諸島を経由した日本本土への米の流入につき、移動用船舶に「籾」積載を常態としていた点(著者は漂着先での食糧確保目的と見る)が関連している点も同様。

     なお、著者の軍隊評。
     もちろん軍も官僚組織であり、また組織体においては、自己保全・維持欲求と同視できる行動態様を採るのが一般的だとなれば、納得の内容だ。
     まあ彼の場合には、自身の軍隊体験(いわゆる職業軍人の物言いも含め)に強く規定されている印象はあるが…。
     とはいえ、それもむべなるかなとも。関東での本土決戦用として北関東に展開した著者所属部隊の上官。北関東に混乱しながら疎開してくることが予想される民衆につき、轢き殺しても進めという主旨の発言など、軍人の物言いの酷さには鼻白むほどであるため。

     言わずもがなだが、船舶の籾常備が意味するのは、水田稲作というシステムが南西諸島を経由し日本本土に移転していったというものではなく、あくまでも、当該稲種が移転していった傍証になるという意味に止まる。

  • 司馬さん意外なことに、自分の小説にそんなに自信をもっていなくて、「もし自分の仕事の中で後世に残るものがあるとしたら、この『街道に行く』シリーズじゃないか」って何かのインタビューで言っているんですよね。それくらい愛着があって自信のある仕事だったんです。なので、淡々としているんだけど、なんか読み心地がいいんです。

    (石田衣良公式メルマガ「ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』」12号より一部抜粋)

  • 沖縄旅行の帰り、機内用で買った。
    沖縄の文化や人、またそれらの影響について、司馬遼太郎の視点で書かれています。
    こういうエッセイって最近もあるのかもしれないけれど、すっかり見られなくなったなぁと感じます。司馬遼太郎の知識の懐の深さを感じることができました。

  • 沖縄の島々を一緒くたに見ていたが、島によって多様であることが歴史や言語、生活の様々なことから感じ取れる。そして司馬遼太郎の紀行を読みながら改めて地図を見ると、ただ地図を眺めている時よりも、離島が沖縄本島より台湾に断然近いことに驚かされる。
    特に『空港の便所で』の話が印象に残っている。

  • 沖縄・先島が特殊だというなら、薩摩や津軽など、明治時代の廃藩置県前の日本列島の他のエリアと比較すれば、特別に特殊というわけではないと主張しているのは、さすが司馬遼太郎という感じ。

    確かに、例えば言葉を事例にすれば、沖縄語も津軽弁も薩摩弁も同じ系統の言葉であるとしながらも、標準語とは全く別の言葉であって、お互い会話は成り立たないだろう。

    私の想像では日本列島の住人は、明治政府による大日本帝国という近代国家ができる前は、自分は日本人だと思っている人は少なかっただろう。薩摩人であり、長州人だと思っていただろう。それも我々が無意識に今感じている近代国家のそれとは大分違っていたのではないかと思う。そもそも大多数を占める農民の人たちにとっては、支配者が誰だというような状況だったかもしれない。

    沖縄が特殊だとすれば、沖縄は日本列島の中でも距離的に他のエリアとは大きく離れたエリアであり、それが要因で、鉄の導入の遅れなどが原因で文明化が他の日本列島の地域(例えば今の近畿地方)よりも数百年遅れ、国家が形成されてからは、主に明代の中国と朝貢国の立場をとっていた点かもしれない。

  • 今回の紀行とは関係ありませんが、司馬さんがお話の中でチョイチョイ東大阪について語る所が好きです。
    よく、大阪の東郊の雑な町で、と表現されています。好きなのだか嫌いなのだか分からないけれども、お亡くなりになる迄住んでいらっしゃったのだから、きっと嫌いではないのでしょう。
    私も大阪市の東に住んでいますので初対面の人への自己紹介では、大阪市の東郊です、と言うことにします。

  • アメリカ施政権下から本土に復帰して2年足らずの沖縄をゆく旅。那覇では島尾敏雄氏と語らい、薩摩藩の侵略や明治国家の琉球処分を振り返って「日本における近代国家とは何か」を考える。まぼろしの「南波照間島」を思いつつ石垣・竹富・与那国の離島に足を伸ばすみちでは、「司馬民俗学」とも呼びうる、言語・宗教・建築・製鉄・造船などにかんする幅広い知見がつづられる。

  • 79

全8件中 1 - 8件を表示

街道をゆく 6 沖縄・先島への道 (朝日文庫)のその他の作品

街道をゆく 6 単行本 街道をゆく 6 司馬遼太郎

司馬遼太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

街道をゆく 6 沖縄・先島への道 (朝日文庫)はこんな本です

街道をゆく 6 沖縄・先島への道 (朝日文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする