街道をゆく 15 北海道の諸道 (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版 (2008年11月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784022644619

みんなの感想まとめ

歴史と風土が交錯する北海道の旅を通じて、深い思索を促す紀行文です。著者は、アイヌ民族の文化や和人との歴史的な関わりを掘り下げ、コシャマインの乱や江戸時代の北前船、榎本武揚の政権樹立など、多様な歴史的事...

感想・レビュー・書評

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  • ☆☆☆ 2025年4月 ☆☆☆


    歴史作家の司馬遼太郎氏が、北海道を旅しながらその地の風土や歴史に思いを馳せる『街道をゆく』シリーズ。「北海道の諸道」では、函館、松前、江差、札幌、旭川という主に道南地域をめぐる。

    本州とは異なるアイヌ民族が築き上げた文化、和人との交錯、争い。コシャマインの乱。室町時代の松前氏の隆興。江戸時代の北前船。高田屋嘉兵衛。榎本武揚の函館政権樹立と抱懐。開陽丸の悲劇。明治時代の開拓と悲惨な屯田兵の境遇。

    開陽丸は明治維新時に榎本武揚とともに北海道にやってきた軍艦だ。しかしながら不幸にも江差の沖に沈んでしまった。その開陽丸を昭和当時の江差町が引き上げにかかっている、という様子もこの本に描かれている。
    地方のもつ「中央と均一化したがる意識」についても言及しており、日本は昔からそうだったんだな、と思う。
    北海道で獲れた鰊(にしん)が北前船に積載され大坂に運ばれ肥料として綿の栽培を支えた、という話は江戸時代の流通経済のスケールの大きさを感じさせる。

    これを読んで「ああ旅に出たい!」と思うタイプの紀行文ではないが、その土地の歴史と司馬遼太郎が旅をした時代(=昭和)に思いを馳せることができる。昭和のころはまだこんなに鉄道が機能していたんだ、と思うと令和の現在は当時からみると残念な状態だな、とか本の内容とは関係のない事まで考えてしまった。

  • 米によって日本が同質化を強いる社会になったのを考えながらの旅。あと、自分の軍隊経験を踏まえての明治の行刑や屯田兵制度への批判

  • 発刊順でまたもや本州の外。もはやとめられない(笑)

    本州が島であることを時として忘れてしまったりする程度の度量の我が国民は、長い間その周辺の多くの離島を「遠国」としてのラベルを貼って分類してきた。そのラベルには否定的な意味合いが込められており、真綿のごとき人道心を持ち合わせているシバさんのような人がその地に立つとき、その大地にこぼれている涙という液体をぐしょぐしょになるまで吸ってしまうようだ。こうした時のシバさんの語り方というものは、最近では佐渡を訪ねた時、天草を訪ねた時、唐津の浜に立った時に同じものを感じた。そういう意味では本巻は元気のない時には読んじゃいけない。その渦にのまれてしまいかねないから。

    本巻におけるペアリング考については序盤函館紀行の部分については「菜の花の沖」を、中盤新十津川のくだりにおいては「街道をゆく 12巻 十津川街道」を、そして終盤、内陸部への行程においては「胡蝶の夢」を挙げねばならない。最後の選は自身にとっては未読の作品。紙数としては少ない登場であったのだがかなり重度の衝撃を受けてしまったため、久々の「並行読み」に挑むか否かをただいま脳内審議中。

    奇しくもその一巻が既に本棚で待っていることもあり…(苦笑)

  • 北海道という土地がどのように日本化されてきたのか、さまざまな人物を軸に語られる話の一つ一つが深い

  • 函館近辺、札幌、新十津川、陸別への紀行文。
    関連する人物は、高田屋嘉兵衛、榎本武揚や関寛斎。
    また、開陽丸、屯田兵、十津川村の開拓者等の話が語られる。

  • 北海道を旅行する前に読みました。
    歴史のマニアックなところがわかるので好きなシリーズ。これを読んでからいくと、旅先がもっと感慨深くなる。今回の旅とは関係ないが、関寛斎がきになる!

  • 明治前後の開拓に話の中心があり、それはそれで面白かったが、あまり触れられていないアイヌの歴史に興味がわいた。

  • 同シリーズの十津川街道ともあわせて読みたい。どんな「辺境の」場所にも人は住んでいて、どうしてもっと住みよいところへ移住しないのだろうかという疑問がいちいち湧き起ってきた。でもそれは、決して非難めいた疑問ではなくて、肯定的な、それだからこそ、というような感覚で。

  • 前にDVDで『北の零年』を見ていて、ストーリーはともかく移民たちの住居が本州のそれと変わらないので、
    「そんなわけないやろぉ」と見てました。
    特に、役柄は忘れましたが香川照之さんの屋敷は江戸の旗本のようでした。
    この本に、開拓民達が戸板一枚の家に住んで結核と肺炎で溶けるようにして死んで行った、と言ったような事が書いてあって、なるほどと妙に納得してしまいました。

  • 道南の函館、松前、江差から始まり札幌、旭川へと抜けるルートをとっている。日本の歴史を考える時、稲作とは切っても切り離せない関係になる。冷涼な気候のため、北海道はこの稲作による文化の画一化から逃れ、アイヌ文化という非稲作要素を残すことになった。

    著者は、奥羽や北海道にいた和人が冬の寒さをしのぐための建築様式を持たず、本土の南方建築をそのまま移植して合せてきたことにふれ、中央と均一化したがる意識がオンドルのような寒冷地用の家屋を採用することを阻んできたのではないか、と触れている。

    もちろん函館の価値を初めて見出した江戸期の商人、高田屋嘉兵衛も登場する。彼が主に活躍し、拿捕されて囚われの身となっていたロシア船の船長ゴローニンを解放したが、ゴローニンが記した「日本幽囚記」を読んで来日したのが、東京駿河台にニコライ堂を建てたのがロシア正教の大主教ニコライである。

  • 司馬遼太郎は良くも悪くも日本の政体を語る作家である。特に造詣が深いのは氏の「日本史は、史料の多さからいっても、また人情が通うという点からいっても室町期からほぼ見えやすくなってくる。」という言葉通り、室町から近代大正にかけてあって、日本の政体に明確な形で組み込まれるのが遅かった沖縄や北海道といった土地への造詣は、他のそれと比べていささか薄いのではないか。この書を読むまでそう思っていた。現に、同じシリーズの沖縄編は少なくとも私にとってはシリーズの他の書にくらべて、心躍ることが少なかった。

    しかし、ごめんなさい。
    司馬遼太郎先生。
    私が浅はかでした。

    あえて旅の行程を逆さにしてまで幕末から語り起こし、締めを明治開拓期に持ってくる筆力に脱帽。

    非常に興味深く、一気に読ませていただきました。

  • (2023/10/18読了)

    「街道をゆく」シリーズ。

    「道」に仮託した紀行文だけど、もちろんただの旅行記ではなく、北前船(高田屋嘉兵衛)、蠣崎(松前)などの往来や、歳行ってから陸別に入植した医師など歴史の交点とその現場をつまんでいく。

    豊かな文章とともに、とても味わい深い一書。

  • 北海道旅行の前に、北海道に関する背景を頭に入れておいた方が楽しめると思って読んだ。以下は印象に残ったことのメモ。
    函館はとても条件のいい港。江差はニシンで栄えたが、とれなくなってしまった。ニシンは金肥として本土の木綿栽培に貢献した。寒いのに、開拓民として移住した人や屯田兵の家は本土と同じ夏向けのものだったため、多くの人が寒さで亡くなった。開陽丸は、おそらく操船の未熟さが原因で嵐のために沈んだ。江差町は町をあげて沈没した開陽丸の調査をした(引き揚げた物品の保全などに地元の中学生が関わるなど)。榎本武揚は幕末の経緯からあまり優秀ではない人と思っていたが、想像より優秀そうな人だった。松前藩のアイヌに対するやり方はひどい。
    断片的ながら、北海道の歴史に触れられる。掘り下げるとおもしろそうなことが多いと感じた。

  • 鰊(カド?) かずのこはそのなまり?
    胡蝶の夢の関寛斎が陸別に入植、最後は自殺(徳冨蘆花はトルストイに会っている)画家三岸好太郎と三岸節子
    幕府の船には元来 丸 はつけない お城 お軍艦

  • 室町 渡 江差 松前
    南方建築 均一
    山丹貿易と黒竜江・モンゴル
    金肥 綿 大阪
    北前船 高田屋嘉兵衛 ゴローニン
    榎本武揚 オランダ・開陽丸
    奴隷労働…

  • 司馬遼太郎さんの街道をゆくシリーズ。故郷の北海道から読む。松前藩の取り組みや住居構造などから、大陸文化ではなく稲作文化が普及しづらい大地北海道でも中央との同一化の傾向から逸脱しづらかった開拓の経緯が綴られている事が、巻末で陸別の自然に還る開拓を志した関寛斎のエピソードで終わる事に象徴されている。自然と人の営みについて考えさせられる一冊。

  • 以下抜粋~
    ・当時、二千万近い人口があったとして、このことごとくに綿製品を着せるとなると、大変だった。その働きを蝦夷地の鰊漁が果たしたことなると、活況は尋常なことではない。
    ・長州藩は藩経済は早くからコメへの純粋依存から抜け出し、産業国家をめざしつつあった。その上、下関が当時、日本的な規模での海運と国内貿易の一中心地であったから、この藩の藩士が他藩の者より数歩すすんだ経済感覚を共有したのはむりもなかった。この感覚が、国外世界を理解する上でプラスに作業し、結果としてはコメ経済のみの幕府を倒す勢力になった。ひるがえっていえば、商人みたいで。という子母沢さんの印象は、幕末・戊辰の倒幕勢力の本質の重要な部分をすくいあげているともいえる。
    ・大久保政権が西南戦争で使った戦費は巨額なものになり、かれらが欧化の先鋒的なモデルにしようとしていた北海道開拓の資金がすっからかんになってしまった。
    このあと、北海道開拓の方針が、黒田・ケプロン的な童話から、一変するのである。
    「囚人を使いましょう。かれらが死んだ方が政府がもうかるじゃありませんか」

  • 北海道を旅する司馬さん、前半は函館松前江差を巡ります。にしても松前の土地への評価が低いなぁ。松前は確かに広い低地は無いけど広い台地があるので耕作をするつもりでなければ住みやすいところに見えるのですが。この辺り司馬さんの脳が自然と農耕民族視点で評価しているのかなとも感じます。で、後半は札幌、石狩、新十津川、旭川と来て最後が陸別、って最後に遠くまで飛びますな。なんか北海道の大きさを舐めた移動距離です。

  • 14/11/9読了 20/5/3再読

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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