ネクロポリス 上 (朝日文庫 お 60-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 330
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644695

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めは独特な世界観に慣れず、読み辛さを感じてしまったが、後半は一気に恩田陸の世界に引き込まれた。ファンタジーでありながら現実味も帯びていて、不思議な感覚。文章から想像する世界は、自分でも驚くほど壮大な世界となった。下巻も楽しみ!

  • 恩田さんと英国というのはとても相性が良いと感じました。コーヒーと紅茶では文化が違うというのもよくわかります。同じ職場で食事をした後コーヒーか紅茶となった時もいつもなるほどと感じることも多いです。

    そして、この作品では、日本文化が他国に受容されるとしたら、何が、どのように、どのような形で受け入れられてゆくだろうかという恩田さんなりの考察を見ることができるように思います。それは図らずも恩田さんがそれぞれの文化をどのように見ているかに触れることでもあり、とても興味深いです。

    中でも一番興味深いと感じたのは、『向こう』に行く という考え方です。現代の日本でも未だこの言葉は神秘性を纏っていると思いますが、そもそも『ヒガン』という日本の神秘性を感じる風習に似たものを英国を舞台に持ち込んだこの作品は、恩田さんの真骨頂とも言えるミステリーのようなファンタジーのような茫洋とした世界観全開の展開もあり、自分まですっかりヒガンに深入りしていくのを感じています。

    異世界なのに日本のようでもある全く違和感のない世界。少し怖くてぼんやりとした、それでいてどこか魅惑的な世界。すでに自分も部外者・観察者ではいられなくなってきているのかもしれません。

  • 世界観を理解するのに時間がかかるけど、それは登場人物のジュンも一緒。
    細かい心理描写にさすが東大博士課程と思わせるようなことが散りばめてあってのめり込みました。

  • ファンタジーの不思議さと、ミステリーの緊張感が大好物。すごく良いバランス。
    仮想の世界観の中に半信半疑に迷い込んでいくのが読んでいてすごく楽しい。いろんな登場人物が絡んでくるのも面白い。

    次々とトラブルが起きるけど、原因が分からないスリルが、ミステリーらしい。
    これだから小説はやめられない、って思わせてくれる。


    上巻の最後ゾッとしつつ、下巻が楽しみ。

  • お彼岸が“ヒガン”になるだけで、なんと幻想的な
    イベントになるのでしょう

    日本とイギリスの文化が不可思議に融合し、
    年に一度、死者が戻ってくるという島アナザーヒル
    かの柳田國男先生も研究していたという“ヒガン”に
    連続殺人事件“血塗れジャック”の被害者や
    未亡人“血塗れメアリ”が手にかけた前夫が
    還ってくるとか来ないとか…
    島の秘密、先住民族、死者に遭うために集まる人たち、様々な伏線が張り巡らされた異世界はさらに続く

  • 日本とイギリスが交じりあったような不思議な場所、アナザー・ヒル。毎年、ヒガンと呼ばれる一ヶ月間をアナザー・ヒルで過ごすV.ファーの人々。そこでは死んだ人間が現れるという…。
    死んだ人間があの世へ行く通り道という話は、奇しくもつい最近「幻想郵便局」で読んだが、全く違う世界観に感動さえした。恩田陸らしい世界観で流石と。
    まだ、上巻では何も問題が解決していない。下巻が楽しみ。

  • 11月のヒガンに故人と会えるアナザー・ヒル。英国と日本の文化や宗教が入り混じる黄昏の世界を堪能しました。英国調で西洋の城もある景色にそびえ立つ大鳥居。お稲荷さんの祠もあるし良いです。
    亡くなった家族に会いに行く人もいるけど、今年のヒガンはなんと言っても連続殺人「血塗れジャック」の被害者から犯人を聞き出すことが1番の課題です。
    主人公の、東大の学士・ジュンはぼけっとしているし、何かが引っかかってもその時に思い出さないのでヤキモキするけれど憎めない良いやつ。アナザー・ヒルの諸々に慣れていないので読者も彼と一緒にドキドキ出来ました。
    ジュンと行動を共にする面々も島の人たちもゴシップ好きでガヤガヤとポジティブな人たちで面白いです。リアリストみたいな皮肉さとかあるのに、この島での「お客さん」やヒガンのしきたりは当たり前のものとして暮らしているのが不思議。
    「風」というファンキーなポルターガイストも、「ガッチ」という響きがかわいいけど実際は恐ろしい盟神探湯も、ミサーグに行ったね…が「御陵」だったりと日本の神事色が強い。お稲荷さんにはオムレツをお供え。
    血塗れジャックっぽい人は殺人続けてるし、黒婦人もラインマンもユイの三役も謎めいています。
    “モットーに並び立つ陛下に栄えあれ!”

  • 怖い雰囲気を感じつつ読み始めたけどぐいぐい読み進めちゃった。
    世界観の作り方が珍しくて面白い
    後半が気になるので早く読まなきゃ。

  • 相変わらず、怪しい魅力を放つ独特の世界観に引き込まれてしまいます。

    ミステリーとホラーを融合させていて、ともすればダークな物語の展開になりそうなのですが、舞台となっている場所は日本やイギリスの文化がほのかに香るようで、現実世界の延長にあるような世界観に不思議な感覚を覚えます。

    下巻はこれから読むため、今後の展開はわかりませんが、引き続き非現実的な世界に浸りたいと思います。

  • 2023.1.9-1.28

    想像力をかきたてられる独自の用語にいちいち心が踊りながら、その用語自体が我々の日常に存在するものだったりそれに関連するものだったりするが故に日常と地続きにも感じられる"どこかあるかもしれない世界"に魅了され、気付けば時間を惜しんで読み進めていた。これこれ、恩田陸を読んでるって感じがするこの感じ、脳みそが喜んでるなぁってわかるこの感覚がとても嬉しい。らしい〆方で上巻は終了。

    源氏物語と日本の風俗
    会話に潜むなつかしさ

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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