街道をゆく 39 ニューヨーク散歩 (朝日文庫 し 1-95)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644930

作品紹介・あらすじ

ドナルド・キーン氏の退官記念の講演のため再訪したニューヨーク。日本人も忘れてしまった日本を「発見」した研究者たちとの触れ合いが楽しい。ブルックリン橋のたもとで「アメリカ文明」の勃興を思い、世界中からの移民を呑み込んで膨れあがるマンハッタンを歩きつつ「アメリカのおもしろさは、変化である」と言い切る。同国の歴史を変えた「9・11」に先立つこと約9年の旅だった。

感想・レビュー・書評

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  • ニューヨーク、行ってみたいです。
    ブルックリン橋、聞いたことがあります。
    昔、鎖国をしていた日本に開国を求めた国。
    そして、昭和の時代に戦争をした相手の国ですよね。

  • この本を持ってニューヨークへ。ブルックリン橋で記念撮影。

  • 「街道をゆく 39 ニューヨーク散歩」司馬遼太郎。朝日文庫。初出1993年。



    アメリカが発見されて、ヨーロッパから多くの人が移民したわけですが、当たり前だけどヨーロッパで幸せに暮らしている人は、あまり移民しなかった。
    で、いろいろあってアイルランドから多くの人が移民しました。
    ニューヨークで多くのアイルランド系の人々が、警察官になったそうです。
    そして、ハロウィンという習慣は、実はこのアイルランド系の人々がアメリカ全土に広めたそう。
    最近は渋谷もすごいことになっています。
    不思議なものです。



    2019年6月に読了。

    アメリカは歴史が浅いので、司馬さんワールドに相性が悪いかと思いきや、「アメリカの源流」から解きほぐしてふむふむとさせます。

    流石。そんな印象ですが、上記ハロウィンのことなど、もう断片しか覚えていません。



    以下、閑話休題。私事。

    大昔、1980年代。ニューヨークから川を渡ったニュージャージーで、3年間ほど暮らしたことがあります。親の仕事の都合。
    ニューヨークも時折、連れられて行きました。9歳〜12歳だったか。
    父親と「コーラスライン」を恐ろしく観にくい、多分すごーく安い席で体験した記憶。映画「E.T.」は母親と兄とマンハッタンで見た気がします。
    両親はさほど、劇場鑑賞系が好きな訳ではなく。でも子どものためと思ったのか、一生の思い出としてなのか。たまにはブロードウェイに繰り出しました。

     たった一度、カーネギーホールに行ったことがあり(親が仕事関係で券を貰ったのか?いつか訳を聞いてみようと思います)。クラシックには、全くなんの興味も無い親であり、家庭でした。当然こちらも何の情熱もなく、市場に売られに行くドナドナよろしく、本音を言えば行きたくもなく、ただ単に引きずられて行ったことを覚えていて。そしてそれ以上に、ずいぶん後ろの方の席で不熱心に聴いているうちに、だんだん、なんだか、そして最後には涙が出るくらいに大感動したことを覚えています。ちょっとそれまでに経験のない興奮と喜び。
     前の席の大人の背中と背中の間から、遠く小さく見える指揮者の背中が、魔法使いのような凄みで。その背中は、1990年に逝去するバーンスタインさんでした。生まれて初めての、プロのフルオーケストラ、生体験でした。ひょっとして両親もそうだったのでは…。

     そして、恥ずかしながら、だからといってその後、クラシック生鑑賞を趣味にしてる、という訳でもないンですが(笑)。
     でも、自分は何の楽器も出来ず譜面も読めず実のところ音痴極まりないにもかかわらず、ロックポップにとどまらずクラシックであれジャズであれ長唄であれ、「分かるか分からないか、では無くて、ええなあー、とか、カッコええなあー、と味わえれば良し」と、極めて優良な、かつ寛大な素人客マインド(?)の持ち主となり、かなりいろいろ買ったり聴いたりココロ躍らせたりと楽しめてこれたのは、ひょっとするとあの一夜のおかげかも知れません。

     汚いし、怖い街やなあ、と子供心に感じた場所ですが、ニューヨーク、というかマンハッタンというとそんなシアワセな贅沢、ちょっとキラキラとワクワクな記憶もあります。
     まあ、一方でそれにしても汚くて、そしてとにかく貧富の差…、見るからに治安の悪さがオソロシかったんですけれど。ほんと。

  • この取材に同行した安野光雅さんの本「ニューヨークの落葉」を
    見ていたら、司馬さんの方も読みたくなったので。図書館で文庫本
    を借りてしまったので、安野さんの挿絵が小さくてざんねん。
    司馬さんの文章が面白かった。安野さんのついての記述も。

  • 昨年日本に帰化した、日本学者のドナルドキーンさんの退官記念での訪米。ほとんど移動がなく、タイトル通り「散歩」がぴったり。ブルックリン橋を作った親子やアイルランド移民の話、タウンゼント・ハリスの話など、相変わらず薀蓄満載ですが、アメリカはやや苦手分野?

  • ニューヨークの歴史のみならず、そこから日本文化への考察まで展開している文章は見事。普通にいい勉強が出来た。

  • 「ニューヨーク散歩」と題しながら、短期滞在だったのだろうか、あまり土地にまつわる思索はすくなく(唯一、旅行記らしいのはブルックリン橋の建設秘話くらいだろうか)、紙幅の大部分がドナルド・キーン氏との交流の記録に費やされている。それはそれで興味深い小話に富んでいた。

    特に、キーンさんのコロンビア大学での恩師、角田柳作氏にまつわる記述に強く惹かれた。アメリカで「日本学」を確立したのがこの明治人なのだという。「コロンビア大学では当時、日本語でセンセイと発音すれば角田先生のことにきまっていた」と、ある教え子は述懐している。「明治人」という呼称が許されるなら、司馬氏の文章から匂い立つ角田柳作氏の人物像ほど「明治人」と呼ぶにふさわしい人はいない。

    さらに、群馬県は前橋高校の出身(わたしと同郷!)で、卒業した大学学部も一緒だったので、とても親近感が湧いた。

    だが、この無名の巨人について知ろうとしても、著作がほとんど手に入らない。残念な限りである。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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