街道をゆく 40 台湾紀行 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
4.02
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本棚登録 : 229
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (439ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644947

作品紹介・あらすじ

「国家とはなにか」をテーマに、1993、94年に訪れた台湾を描いた長編。蒋家の支配が終了し、急速に民主化がすすみ、歴史が見直されようとしていた。著者は台北、高雄、台東、花蓮などを訪ねる。「台湾」という故郷を失った日本人もいれば、「日本」という故郷を失った台湾人たちもいた。巻末には当時の李登輝総統との歴史的な対談「場所の悲哀」も収録している。

感想・レビュー・書評

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  • 親日国台湾の地理と歴史を巡る記録。
    歴史の中で主権者が数度変わる数奇な運命にありながらも、立派に自立しようとしている。
    読後に思ったのは、なんて可憐な国なのだろう、ということ。
    しなやかであり、それでも折れることがありながらなお発展を続ける。
    日本の心、中国の精神性、原住民の気質、それらが混ざり合い、しかもそれらがきちんと住み分けできているように思われる。
    簡単に「親日」と割り切れないものがあるのを感じた。著者が高齢の女性から「日本はなぜ台湾をお捨てになられたのですか?」と問われるシーンは考えさせられた。
    台湾は国ではないという主張がありますが、絶対に台湾は一つの国です。
    他の国の一部ではありません。ということは言い続けたいです。

  • 【司馬さんがゆく 台湾編】『竜馬がゆく』等の作品で、若い世代の間でも変わらぬ人気を獲得し続けている司馬遼太郎が、台湾を歩きながら感じたことを綴った作品。「国家とはなにか」という大きな問いを手掛かりとし、歴史の奔流の中をたくましく生きてきた台湾について考えを巡らせていきます。


    ときには広く名も知られていない個人と、国家や民族、そして歴史という大きな思念の間を、鷹揚に、そして自由に行ったり来たりしながら思考の幅を広げてくれるとことが司馬作品の魅力だと思うのですが、本作ではその魅力が台湾という彩りを伴って、格段に増しているように感じました。これからも『街道をゆく』シリーズに手を出してみようかなと。

    〜「日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか」と、大きな瞳を据えていわれた。たずねている気分が、倫理観であることは想像できた。考えてみると、彼女の半生をひとことでいえば、水中の玉のように瑩として光る操なのである。こういう人の前では、答えに窮したほうがいいとおもった。〜

    考えのヒントをこんなに与えてくれる土地も珍しいのではないか☆5つ

  • 台湾との歴史を日本人は決して忘れてはいけない。

  • 2016年11月に台湾に行った。台湾の事をより知りたくなったので読んだ。
    司馬さんが台湾を訪れたのが1993年くらい。当時の台湾は、民主化から日が浅く、大陸出身でない人間、つまり台湾人が初めて国のトップになってからいくらも経っていない時だった。この紀行は、その当時の、司馬さんの目、つまり外から見た台湾を、教えてくれる。司馬さんの目…というのは、司馬さんが書いたんだから当たり前なんだけど、それこそがこの本の一番の魅力と思う。司馬さんの目から見た台湾、を当時の日本人から見た台湾、と言い換えてもいいかもしれない。なぜなら2016年11月に自分が行った台湾では、この本に書いてあることは(知識不足は大いにあれど)ほとんど感じなかったから。アジアのお隣さんで、日本のものに溢れてて、気さくで親切な国、だったから。
    台湾という国、と暮らす人々、はきっと司馬さんの頃から変わっていないけど、自分が知らない台湾が、台湾紀行には書いてあった。

  • 老台北(ラオタイペイ) = 蔡焜燦(さいこんさん)

  • 台湾の歴史と文化レポート参照。

  • 時は蒋経国が亡くなって数年がたったばかりのこと。台湾は着々と民主化が進み、大陸は大陸で勃興する気配はまだない。今となってはちょっと昔の話だけれど面白い。これだけ日本語を話す人がいる頃に旅をしてみたかった。

  • 琉球と台湾がチベットやウイグルと重なる。帝国主義の大波が小国を呑み込む。戦争の勝敗を分けたのは戦術よりも武器の進化であった。科学の進歩は戦争によって花を開かせてきた。第一次世界大戦(1914-1918年)では迫撃砲・火炎放射器・毒ガス・戦車・戦闘機が登場した。第二次世界大戦(1939-1945年)は空中戦の様相を示し、ドイツの弾道ミサイル「V2ロケット」が生まれ、アメリカの原爆が日本に止(とど)めを刺した。二度の大戦は戦争を国家の総力戦に変えた。
    http://sessendo.blogspot.jp/2015/11/40.html

  • なにか特別なできごとがあるわけでもなく、著者の見聞きしたことがらがひとかけらの感想とともに淡々としたためられているだけなのだが、著者の目線のなんと温かく、愛惜に満ちたものであることか。

    過去に50年間同胞であったという記憶を、両岸で大切にしている人々がいると知るだけで、慰められる。

    日台友好進展を心から望む。

    今さらながら、司馬遼太郎という作家、というか文明評論家を失ったことは、我が国の大きな損失である。
    先の震災を乗り越えるに当たっても、羅針盤となってもらいかった。

  •  この本を読むのは2度目となった。再読した要因は複数ある。数日前に台湾を旅行で訪れたこと、早稲田大学・江正殷氏の「台湾を知る」を受講した後であったこと、台湾のひまわり学生運動を調べた後であったこと、KANOや天空からの招待状が上映中であることと数をあげればきりがない。とにもかくにも台湾の歴史的背景を、ここでいったん整理しようと思い立ったのである。
     本書は台湾の全貌を知りたい人にとってのバイブルといっていい。週刊朝日誌上で連載が開始されたのが1993.7.2とある。いまから20年以上も前となり、やたら「グローバル化」が唱えられる現代社会では、時代の趨勢が移り変わっているように思われるが、今から読んでも現代とリンクしている話題は非常に多い。先日「台湾を知る」では、李登輝総統が目指した「中華民国在台湾」と、そこから発展した「中華民国是台湾」の考え方習った。つまり台湾が独立した民主主義「国家」に至るプロセスを「中華民国到台湾」も含め、「到」⇒「在」⇒「是」で形容していた。その一連のながれを本書では知ることができる。もっとも、司馬遼太郎氏と李登輝元総統の対談が1994年であり、まだこの時点では民主化が現在進行形の印象は否めないが。
     ともあれ、思い立ったが吉日。KANOや天空からの招待状を見る前に。台湾へ旅行に行く前に。はたまた台湾人と付き合いたいと考えている前に。要因は何でもいい、台湾と何らかのかかわりをもちたいと思っている人は、その表面上を漂っている好奇心に、ちょっとだけ肉付けをする意味で、ぜひ本書を手に取ってほしい。

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著者プロフィール

司馬遼太郎は、1923年、大阪市生まれの日本の歴史小説家・エッセイストである。故人。
本名、福田 定一(ふくだ ていいち)。大阪府大阪市生まれ。筆名の由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」から来ている。
特に歴史小説の大家として知られ、代表作は「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「新撰組血風録」「菜の花の沖」「花神」「世に棲む日日」「梟の城」「関が原」「功名が辻」「国盗り物語」「街道をゆく」「十一番目の志士」「城をとる話」「風神の門」「二十一世紀に生きる君たちへ」他多数。その多くが大河ドラマ化、テレビドラマ化、映画化、コミック化などの形でマルチメディア展開されている。

司馬遼太郎は産経新聞社記者として在職中の1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多い。
1996年2月に72歳で逝去。
2001年には、東大阪市の自宅隣に司馬遼太郎記念館が開館。

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