街道をゆく 42 三浦半島記 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644961

作品紹介・あらすじ

横浜のホテルに宿泊して勤め人のように通いつつ取材する著者。目的地は、ごく小さな場所ながら日本史を旋回させる舞台となった、三浦半島だ。あまたの武者の血を吸った鎌倉の地を歩いては、現代の日本にとっても重要な要素である武士の起こりと「中世」の成立を考える。横須賀では記念艦として保存されている戦艦「三笠」を再訪し、『坂の上の雲』取材時の「秘話」もつづる。

感想・レビュー・書評

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  • まさしく「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」な本だった。読まず嫌いはいかんな。
    鎌倉の歴史を鎌倉市内に限定してみることの無意味さ。土地は地続き・海続きだもの。
    スケールを変えてみる・俯瞰する視点の大切さを再認識させられた。

  • おそらくメインであったろう鎌倉のパートより横須賀のパートが面白く感じられた。今まで鎌倉何度も行っていて、まつわる歴史も中学日本史程度には知っていたはずだけど、あぁあの土地でこんなドラマが!あの事件にはこんな繋がりが!と今まで知らずにいたことがもったいなくて仕方ない。横須賀の方は全然行ったことがないので、ぜひ行ってみたいなぁ。旧帝国海軍についてのストーリーは目から鱗。歴史って知ってると知ってないとだと人生で感じられることの深みが全く変わってきますね!!

  • 司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズの三浦半島編である。どのシリーズも実際の街道を訪ねるというものではなく、自身の作品に登場してくる地域や人物に関連付けて、思いを語る紀行となっている。「三浦半島記」では、鎌倉幕府、三浦一族、横須賀と小栗上野介忠順、軍艦三笠と何度か足を運んでいる土地だけに興味を持っているテーマが多く、大変面白かった。

  • 「街道をゆく」のかなり最後の方の1冊。つまり、司馬遼太郎さんの最晩年の本。
    いや、実にわくわく面白かった。傑作。

    もう、本当にほぼジャンル分け不能な本です。
    一応は、「街道をゆく」ですから、旅行記なんですが。
    他の「街道をゆく」もそうなんですけど、実は半分以上は、司馬さんの歴史解説エッセイとでも言うべき内容。
    ただ、司馬さんの語り口のきっかけになっているのは、現場を踏んだ、現場を踏んで考えた、ということですから、そういう意味では旅行エッセイ…。

    三浦半島についてなんですが、実は「伊豆、鎌倉、そして三浦半島」とでも言うべき内容。

    そして、半分以上は、平安時代から鎌倉時代にかけての、「武士台頭の時代」とはなんだったのか。頼朝とはなんだったのか、みたいな話です。

    これが実に、解剖的に俯瞰的に、わかりやすい言葉で語られて、実にガッテンな面白さ。

    ミクロになって人体に入って、カラダの仕組みを解説されるような。
    あるいは、スーパースローな映像でスポーツのワンプレーを見るような。

    かんたんにまとめると、「土地を、耕作者開墾者(に近い者)が、所有する」という、ある種、切れば血が出るリアリズムの欲求なんですね。
    平安末期の貴族の支配というのは、言ってみれば社会主義全体主義みたいな。全ては国営で、国が保有している。
    そして、その国は、藤原家が仕切っている、みたいな。
    それが煎じ詰めると、地方の耕作の現場に居て、力を持ってきたものたちが、
    「なんであいつらのモノなんだ。おれたちのモノじゃん」ということなんですね。
    ただ、泣き所は二つあって。

    自家所有を、権威に対して守ってくれる親分。権威。名家。行政機関。

    自家所有の避けられない事態として、土地争いが頻発する。それに納得できる裁定を下してくれる司法機関。

    なんですね。

    その構造に、自覚的だったのが、頼朝。その構造自体が、ものすごく斬新で、ものすごくリアリズムだった。
    そういう意味で天才的だった。
    求められたのは、行政機関、司法機関、としてのお神輿であって、第二の藤原家や平氏ではないんですね。
    (そこに無自覚だったのが、義経…。というか、ほぼみんな無自覚だった)

    その、平安時代から鎌倉時代への、土地所有のリアリズム転換というのが、「考え方全般のリアリズム傾倒」を呼んだ。美術ひとつをとっても、それが見て取れる。
    司馬さんは、「そのリアリズム転換がなかったら、日本史はもっと詰まらないものだったに違いない」と、独特のふわっとした、同時にものすごくざっくり切り捨てる口調でつぶやくわけです。

    そして。
    頼朝が気づいていた、「幕府に求められている機能」を、共有できていたのが、北条政子と、北条時政と、義時だった。
    それをさっぱりわかってなかったのが、頼朝の子供達だった。
    なので、徐々に北条ファミリーに疎まれ、殺されてしまう。

    血族の殺戮のあとにたたずむ、生母の政子の姿を思うと、一篇の小説を読み終えたかのような満足感。

    後段は、横須賀、海軍のよもやま話もあって、それはそれで楽しく読みました。

    けれど、なんといってもこの1冊は、「頼朝とそのファミリーの物語」が白眉。
    伊豆方面、鎌倉方面へ遊びに行きたくなる読書でした。

  • 14/8/24読了

  • 鎌倉散策の友にと読み始めた。司馬の「街道を行く」シリーズを読むのは初めて。散漫だが人に話したくなるような興味深い話もいくつか。司馬曰く、鎌倉時代がなければ日本史は大陸のそれに似たようなものになっていたとのこと。

  •  分かり難くてつまらない、で有名な大河ドラマ「平清盛」にも関連するお話。確かに、親兄弟でも敵味方に分かれてるから、パッと見は分からないでしょうね。でも、この本は、分かりやすくて面白かったです。
     印象的なエピソードがたくさんあったので、エバーノートに記憶させました。

  • 源平合戦あたりの記述はなんだかわくわくした。

    それだけに最後の幕府滅亡のくだりは感動した。

  • 家の近くの朝比奈切通しや、坂の上の雲の三笠、坂本龍馬の妻のお龍のお墓など、司馬遼太郎の世界がより身近に感じる地誌。豊富な知識から、繰り出される歴史感は、とても楽しい。

  • 三浦半島は隣の伊豆半島と共に数々の歴史の表舞台になったことで知られる。古くは日本史上最初の武家政権である幕府の開かれた鎌倉や、近世では日露戦争で活躍した戦艦「三笠」の碇泊する横須賀など、歴史のエピソードも交えて紹介している。

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著者プロフィール

司馬遼太郎は、1923年、大阪市生まれの日本の歴史小説家・エッセイストである。故人。
本名、福田 定一(ふくだ ていいち)。大阪府大阪市生まれ。筆名の由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」から来ている。
特に歴史小説の大家として知られ、代表作は「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「新撰組血風録」「菜の花の沖」「花神」「世に棲む日日」「梟の城」「関が原」「功名が辻」「国盗り物語」「街道をゆく」「十一番目の志士」「城をとる話」「風神の門」「二十一世紀に生きる君たちへ」他多数。その多くが大河ドラマ化、テレビドラマ化、映画化、コミック化などの形でマルチメディア展開されている。

司馬遼太郎は産経新聞社記者として在職中の1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多い。
1996年2月に72歳で逝去。
2001年には、東大阪市の自宅隣に司馬遼太郎記念館が開館。

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