裁判長! 死刑に決めてもいいすか (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645609

作品紹介・あらすじ

あなたが裁判員だとしたら"死刑"の結論を下せるか。裁判員席に座るだけでビビりそう…と尻込みする著者が、元韓国エステ嬢殺害事件と杉並親子強殺事件の裁判を「裁判員になったつもり」で傍聴。果たしてキタオ裁判員の判決は-。しりあがり寿さんの解説漫画付き。

感想・レビュー・書評

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  • おなじみの北尾トロ氏の裁判本。傍聴記だった前2作から少し変わって、裁判員制度導入をふまえて、自分が裁判員だったらというシミュレーションをしながら事件を分析するまじめな1冊。

  • 素人が人を裁く裁判員制度
    著者・北尾トロなりの葛藤

  • 本書には親本があり、タイトルや装丁の印象が文庫版とはずいぶん違ったらしい。当時、著者は「なにを急にマジメになっちゃったの?」と言われたそうだ。
    …嘆かわしい限りである。

    著者は最初から裁判傍聴、ひいては事件とそれを生んだこのうつし世なるものに、真正面からしごく真面目に取り組んでいた。ヒットとなった一連のシリーズは、何も知らないまっさらな人間がいっぱしの「傍聴マニア」へと「成長」していく過程を、その迷いや悩みに至るまで、それはきめ細かく見せてくれた良書であった。
    がっぷり四つのその姿勢、そして覚悟は、犯罪を「自分には縁のない、どこか遠くのキタナイもの」としたがる世の多くの向きには、どうやら伝わっていなかったらしいのだ。鳴呼。

    閑話休題。
    著者は「消極的死刑反対論者」らしい。もし裁判員に選ばれたら、死刑に一票を投じることはきっとできない、それは自分の「ええかっこしい」ゆえである、と言う。
    他人を死に追いやるような「ひどい人」にはなりたくないし、他人の人生を左右するなんて「重い責務」も負いたくない。そして「れっきとした」死刑反対論者というわけでもなく、そんな理由で死刑に賛成できない自分は「利己的で軽い」と、またも迷ったり悩んだりする。その姿は相変わらず、実にリアルかつ等身大で、共感を誘うこと請け合いである。
    (実見した著者によると、あまり出来が良くないらしい)お役所の広報ビデオなんかより、本書を一冊読んだほうが、よほど裁判員制度への理解と心構えを育んでくれそうだ。

    ただ個人的には、それに値する人間の処刑を支持することが、なぜそれほど「重い」のかがわからなかった。
    「軽いノリ」も結構、「しょせん他人事」で大いに上等。もとよりこの制度は、そんな市井の「素人」たちの、量刑相場なんてスレた玄人感覚とは無縁の素朴な感情を取り入れるべく導入されたものではなかったか。
    新聞、テレビ画面、PCのモニタに傍聴席。その向こうのぬくぬくと安全な場所から「ひでえなあ、こんなやつ死刑にしてしまえ!」と叫ぶ。
    その同じ感覚でかまわないと、私は思う。

    2010/12/24読了

  • 聞いたことある事件がチラホラ。

    こういうのは興味あるところ、ないところ、極端に分かれますね。

    一度傍聴に行ってみたくはなります。

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著者プロフィール

本名、伊藤秀樹。1958年、福岡市生まれ。
小学生の頃は父の仕事の都合で九州各地を転々。東京都立日野高校、法政大学卒。 個人事務所(株)ランブリン代表。NPO法人西荻コム理事長。西荻ブックマークスタッフ。季刊ノンフィクション雑誌「レポ」編集・発行人。

「2011年 『【電子書籍版】昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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