極北クレイマー 下 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645982

感想・レビュー・書評

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  • 海堂尊さんが色んな作品で訴えてるのは医療の崩壊の危機だと思う。

    民衆が医療に求めるのは治して当たり前という概念なのだろうか。
    人間は失敗するものである。失敗を恐れていたら成功もありえないのではないか。
    失敗しないようにではなく失敗しても重大化しないようにするのが本当のリスク管理であると感じています。

    今の医療従事者は大変だな。マスコミは揚げ足取りしかせず、マスコミに踊らされる民衆は失敗でない所からでもお金を取ろうと躍起になる。

    特に産婦人科はそのリスクの高さと業務の過密さでなり手が少なく産婦人科医がいないので遠くの病院まで受診しなければならない場所も少なくないと聞いています。

    少子化を食い止める為にはもっと充実されるべきものがあるのではないかと、人の親である立場から見てもそして人の子である立場から見てもそう思えてなりません。

    これから極北病院がどう再建されていくのかがとても楽しみです。バチスタシリーズの田口先生もいいですが、今回の主人公の今中先生のキャラもなかなかいいですね。病院の再建も大切ですが、患者を見る目は絶やさないで欲しいです。

    企業は慈善事業ではなく営利を産まなくてはならない。企業の指名は利益を産む事。しかし、病院は利益だけでは成り立たないものがあるのでしょう。
    村でただ一人の医師と診察もしない大学教授どっちが人に求められているのでしょうね。

    間違って単行本を借りてしまった。文庫版が加筆してなければいいのですが。。。

  • この物語が財政破綻したとある自治体をモデルにして書かれているのは明白だが、流石に行政と病院現場の自堕落ぶりは脚色されていると思いながら読んでいた。しかし、図らずも後書きで、嘘から出た誠だったことが明らかにされてしまった。清川准教授の、無勉強で無責任な報道を垂れ流すキャスターへの反論と、世良医師の「医療のために何かしようという市民はいない」には同意。それにしても、中途半端なところで終わってしまったが、この後は極北ラプソディで完結してもらえるのでしょうか?

  • 続編があると言うことでそれに希望を託すとして、解説にもあるようにこれが現実かと虚しさが湧いた。三枝医師の淡々とした逮捕には空虚感に襲われ静かな涙が出た。

    医師経験のある著者の伝えたいことはひしひしと伝わる。医療従事者でも役人でもない一般人の私に出来るのは、僅かでも現場のことを知ることだと思う。無知の恐ろしさをまざまざと感じさせられましたもの。この本を読めて良かった。医者は神でなく人間。よいものも、そうでないものもいる中で、今中先生や三枝先生のような方をはじめ奔走し尽力する志ある現場の方がいることに感謝したい。

    最後に、ブラックペアンでは初々しかった世良君が物凄い事になってやってきた訳で…それぞれの努力や想いが報われよい方向に進む事を切に願います。続編に期待!

  • 後半が怒涛の追い上げをみせる本作品。
    あれよあれよという間に事態は急展開を見せ、ジーン・ワルツへの繋がりを見せていく。
    いまの医療に潜む問題は?批判だけが正義か?
    そんな疑問を投げ掛けながら、まさかの世良登場!
    タイムイズマネーなんて、完全に天城の影響受けてるよ!こんな驚きがあるから、海堂作品は止められない。
    極北も、世良自身の変化も待ちきれないです。文庫化してください!

  • 財政難に喘ぐ極北市。赤字の極北市民病院に赴任した非常勤外科医、今中は問題山積、曲者揃いの医療現場に愕然とする。はたして今中は病院を救えるのか?

    面白くて一気に読んでしまいました。といっても、読後に爽快感が残る訳ではありません。著者のマスコミ、政治、行政、患者に対する怒りが感じられる小説です。

    本書は架空の話ですが日本で確かに行っている出来事なのでしょう。小説なので多少、脚色しているとは思いますが。

    最近の海堂作品では、官僚が槍玉にあがっていますが、現実はもっと複雑でいろんなものがごちゃごちゃで物事が進まないのだと思います。多分、皆さん世の中を良くしたいと考えているのでしょう。

    善意の行動が逆効果をおこすという事にやりきれなさを感じてしまいます。

  • お産で死ぬ可能性もあるということ。
    日本はその発生率が非常に低いこと。

    いずれ出産を迎えるであろう自分にとって、
    恵まれた環境であることは間違いない。

    ただ、死に至る可能性はゼロではない。
    その確立について、自分は誤解していないか。

    発生しないとは限らない。
    発生は必ずしもミスではない。

    そのことをわたしは考えていなかった気がする。

  • 財政破綻の危機にある北海道の極北市。 そこで赤字経営を続ける極北市民病院。 そんな病院に非常勤外科医として赴任する主人公 今中の目を通して語られる地域医療の実態。 

    医療事故専門の女性ジャーナリストにより妊婦死亡事故を医療ミスとしてスッパ抜かれる。 その結果、極北市民病院の中で唯一有能な産婦人科医が逮捕される。 高齢患者の不安をよそに病院閉鎖へのカウントダウンが始まる。

    資金不足に瀕していながら、天下り医療監査団体に高額の監査費用を支払う一方で、患者へのサービス向上へはびた一文も金を使わないなど、末期症状の様相を呈する現場の矛盾がフィクションという形でありありと描かれる。

    あとがきによると、海堂氏がモデルとなる病院を短時間で取材し創り上げた小説だと言う。 短時間ながらも。出てくるエピソードは実際に近いものが多く、非常にリアリティがあるとのこと。
    メディアで発信される表面的な情報ではなく、医療問題の核心を確りととらえ、正しい問題意識もつ必要性を痛感させられた一冊である。

  • とっちらかったまま終わった。
    地域医療の現状を伝えたいだけの作品で、ストーリー性はほぼない。
    少し期待していたのだが、作品が出るたびにザンネン度が増すような。
    バチスタの本線から一度はなれて、本当に書きたい小説を書いたほうがいいのではないか?

    医療に対する使命感、小説家としての表現力。どちらも満たすにはまだまだと感じた。

  • 夕張市や福島県立大野病院産科医逮捕事件といった実話を題材に地域医療と産婦人科医療の崩壊危機を提示した作品とっなている。その意味では「イノセント・ゲリラの祝祭」でも描かれた医療と行政・司法とのパワーバランス問題について具体的な実例を挙げながらも桜宮サーガの一環して構築したら本作になったといったところだろうか。

    ただ、本筋の問題以外にも地方行政や病院内のモラル、そして市長の親子問題まで盛り沢山に要素が積み込まれてる上に桜宮サーガの準レギューラーが至る所に絡んでくるなどで結果的には掴みどころがなかった感があるのも事実かと。。気になっていた三枝久広の事件についても医療事故から事件になる経緯事実だけが触れられているだけで、三枝医師や遺族の感情やその後の結論についてはほとんど描かれていない。(遺族については単に医療ジャーナリストに踊らされてるだけだし…)その他の問題についても問題提示だけで、ほとんどが結論のないままに終わってしまっている。
    ま、最近のシリーズ傾向からしたら海堂さんの考える方向性はこの後の作品で語られるのかもしれないが…

    桜宮サーガの世界観としてエンタメ的な見地からすれば、準レギューラー達の"その後"が垣間見れるのでシリーズファンにとっては単純に楽しめる。まさかここで世良雅志が再登場してくるとは思わんかった!また同時に世良がここまで別人物のような変貌を遂げてるとも想像しなかった。。。
    そして西園寺さやか。顔に火傷で下半分を隠してるっていったら、スカーフで口元隠して北へ向かったでんでん虫の人???
    ま、この人も企みがあるみたいだし、どこかで再登場するキャラだろうからそこで正体が判明するんだろうけど…

    …等々、次作以降を読む上では外せないエピソードなんだろうが、本作単体としては若干消化不良であった。それは本題だと思っていた事件が、医師と患者の立場からそれぞれの心情や感情・背景を描いたヒューマンドラマではなくて概要をなぞるだけだったり、サブキャラクター達があまりに立ちすぎていて主人公である今中の印象が薄かったりしたコトからかもしれない。。。

  • 財政難の極北市民病院で孤軍奮闘する非常勤外科医・今中。妊産婦死亡を医療ミスとする女性ジャーナリストが動き出すなか、極北市長が倒れ、病院は閉鎖の危機に瀕しー。はたして今中は極北市民病院を救えるのか?崩壊した地域医療に未来はあるのか。

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著者プロフィール

海堂 尊(かいどう たける)
1961年、千葉県生まれの作家、医師。医師としての所属は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所・放射線医学総合研究所病院勤務(2018年3月時)。
2005年に『チーム・バチスタの崩壊』で、第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、作家デビュー。
同作はのちに『チーム・バチスタの栄光』と改題して出版される。映画・テレビドラマ化もされた代表作となった。

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