田舎暮らしに殺されない法 (朝日文庫)

著者 : 丸山健二
  • 朝日新聞出版 (2011年5月6日発売)
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  • レビュー :15
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646095

田舎暮らしに殺されない法 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 田舎で暮らしてみたいけど、楽しいことばかりのわけないよな、と思っていたので楽しみに読んでみたら、別の意味で面白かった。

    ○○なのです。という断定がやたら多いが、根拠がよくわからない。たとえば「田舎は犯罪の巣窟」であって、警察も「ひどく頼りないものが配属されている場合が多」く、あてにならないそうだ。「田舎の犯罪の発生率は年々高まってきています」「都市部の警戒が厳しくなればなるほど、流しの犯罪者は地方へとその活躍の場を移しています。それに拍車をかけているのが外国人による犯罪でしょう」とある。なんか統計資料でも参照しているのだろうか、と思うが、本書はそんな些細なことにこだわらない。だから「田舎」では自分の身は自分で守る必要があり、そのためには武器が必要であり、手製の槍を用意しろ、賊の鳩尾を狙い、ためらわず、槍ごと体当たりするつもりで、賊が逃げ出したら背中を刺せ・・・と続く。読んでいる分には面白いが、もし自分の身内がこういうことを言い出したらかなり心配だ。

    著者は田舎に住んでバイクを盗まれかけ、犯人も捕まらなかった経験があるそうだが、それが「犯罪の巣窟」「警察は頼りにならない」根拠なのかもしれない。ちなみに都道府県別の犯罪発生率をググッてみたら、一番低いのが秋田県、一番高いのは大阪府となっていた。

    この調子で、田舎にはプライバシーはなく、選挙はインチキが堂々とまかり通る愚行である場合が多い、と続く。統計ではなく、著者の経験に基づく見解だとすれば、それはそれで参考になりそうだが、それにしてもずいぶんひどい目にあったんだなあ。

  • めちゃくちゃブラックだけど笑える。
    定年後のおじさんに向かって語りかけるような内容なので、20代30代くらいだとまた違ってくるのではないかと思う。

  • 自然が美しい、とは生活環境が厳しい、と同義。
    年齢と体力を性格に把握する。
    酒への依存を断ち切る=朝から酒を飲んでゴロゴロしやすい。
    酒は理性と知性を麻痺させ、思考停止に陥らせる。

    ボランティアを始めると、同情心に訴える否かの年寄りからら逃れられなくなる。

    田舎の行政は環境問題に鈍感。タカリ根性しかない。長いものには巻かれろ=農耕民族特有の村を維持するための姿勢。


    移住者の後悔の最大のものは、土地柄。
    移住の前に、食堂のおやじさんや駅員などから徹底的に聞きだす。病院の待合室のお年寄り。話し好きで警戒心が薄い。

    田舎の犯罪率は高い。警察の能力も手薄で低い。

    田舎ではプライバシーは存在しない。地元住民は集落全体を一つの家族と考えている。それが厳しい人生を生き延びる知恵だった。

    それぞれの家族が危機に対応できるのは豊かな証拠。

    無理に無視すると村八分の対象。
    郷に入れば郷に従え。
    田舎の冠婚葬祭は面倒くさい。
    田舎の選挙の実態はインチキと娯楽。

    田舎暮らしを始めるにあたって、地元住民との接触をあらかじめ決めておくことは大事。
    二者択一しかない。
    付き合ってから嫌われるかより、付き合わずに嫌われるほうがよい。

    田舎の人は、機会があればふんぞり返る。腰の低さが裏目に出る。
    都会はだれでも生きていける優しい世界。田舎は心身ともいやらしいほど強いものでなければ何十年も生きていけない。

    宗教は必ず金が絡む。

    あいつらはおれたち田舎者をバカにしているんだよ、が越えられない壁を象徴する一言。無理に垣根を取っ払おうとしない。

    別荘地の管理料は、そのための費用。
    ただし、永住者とレジャーの者とは考え方が違う。
    湿度が高い。虫、ダニ退治。
    マイカーを運転できる間はいい。

    自然から学ぶことは、何より己を律すること。自立を追求する。
    自立した人間は、本能に逆らって理性と知性を活かす術を知っている。

  • 田舎暮らしを夢見る方は多いが、本当の田舎暮らしを知っている人は少ない。いわゆる闇の部分である。
    著者は、その闇の部分を次から次と紹介してくれている。近所付き合いの方法から自分の心に問いかける哲学まで紹介している。
    「なぜ田舎暮らしが気になるのか?なぜ田舎暮らしをしたいのか?」など自分に問いかける切っ掛けを教えてもらった。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784022646095

  • 長野生まれ、東京で商社マンを経て小説家となり、再び長野に隠棲した著者が田舎暮らしの陰を語ったもの。

    ここでいわゆる田舎というのは、自然豊かな本来の田舎の他、田舎的なインナーサークル、マイルドヤンキー的な価値観をも指しているものとも思われます。

    なによりも、どこまで本気で書いているのかわからない、偏屈爺さんを感じさせる語り口が愉快です。

    と、小さな田舎を捨て大きな田舎に職を求めた僕は思います。


    【本文より】
    ◯都市という空間は確かに過酷な現実のかたまりでしょうが、田舎もまた都会以上に厳しい現実のかたまりであって、断じて癒しの場というわけではありません。のどかな田園風景や、郷愁を駆り立てずにはおかない里山の風景のなかにも、都会とは異なる種類の、もっと原始的なおぞましさが無数に潜んでいるのです。

    ◯「自然が美しい」は「生活環境が厳しい」と同義である。

    ◯老いてゆく一方の後半生を田舎で過ごすにはそれ相応の覚悟が必要で、ほとんど野生動物の最期のような、つまり、野垂れ死にの最期を念頭に置いておくくらいな腹のくくり方はしておくべきでしょう。

    ◯田舎においてプライバシーをきちんと弁えた適度な付き合いを期待するのは笑止千万なことです。なぜなら、地元住民なその集落全体をひとつの家と見なしており、ひとつの家族としてまとまり、より親密な関係を築くことによって厳しい環境における厳しい人生を何世代にもわたって乗り切ってきたのですから。

  •  「自然回帰」「地方復興」といった趣旨から「田舎暮らしをしましょう」という軽い論調の本が氾濫するなかでの実践者による重量級移住指南書。皮肉交じりで様々なノウハウを提唱しているものの、表面上基本的には「やめておいたほうがいいよ」という論調。丸山さんの辛口ぶりは広く知られているところではあるが、本著はその傾向が極めて強い。

     日常的な近隣関係や家庭生活のみならず、地方における政治関連の現実についても赤裸々に明かしている。現状で国政を決定に関わっている都市部の人間はごく一部。選挙区の面積から言っても、投票率の高さから言っても中心は地方である。需要と供給の関係から票が欲しい人間がどういう行動をするかは簡単に想像できる。そんな現実を若干のオブラートで包みつつも告白。これは構造的に非常に深刻な問題だと思う。

     人間の本質はそれほど変わらない。関わって嫌な思いをするか、関わらないで寂しい思いをするか。嫌な二択だがこれが基本と言えるのではないか。それを認識したうえで、運が良ければいい人間関係が生まれてくることもある。それ以外では「つかず離れずをいかに維持するか」ではないかと思う。非常に悲観的な考え方だが。

     他の丸山さんの著書も読んでみるとわかるが、著者自身は決して自然や田舎がキライなわけではない。そうした趣向に基づいた行動を阻害するような人間関係がキライなようである。田舎暮らしも選択の一つではあるが、それなりの覚悟が必要だということ。人間の生き方には「場所」というものが大きく関わってくる。単に「綺麗だから」とか「便利だから」あるいは「カッコイイから」といった理由での住居の決定は、年月をへる毎に大きな影響が伴ってくるはずである。田舎に暮らすにしても、都会で生活するにしてもその判断は真剣に行いたい。

  • うーーーーんちょっと主張が偏り過ぎというか、気持ちは分かるし正しいのもわかるけど筆者の性格の悪さが嫌な正直さで出ててちょっとやだなあ。

  • 成る程〜?あちこちで唸りまくりました。

  • リアルな田舎生活の実態を紹介してはいるが、そういった情報面よりも、むしろ、なんとなく余生は田舎で暮らしたい、そんなリタイア団塊世代の安直な生き方、物の考え方を辛辣に痛罵し、読者の自立精神の如何を問うという内容。

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