13日間で「名文」を書けるようになる方法 (朝日文庫)

著者 : 高橋源一郎
  • 朝日新聞出版 (2012年4月6日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646613

作品紹介

どうしたら「自分の文章」を書けるようになるのか?生徒たちの熱い気持ちにこたえて、タカハシ先生が画期的な授業をおこなった。「感想文」は5点でかまわない。「自己紹介」は自分を紹介しないほうがずっと面白い。最高の「ラブレター」の書き方とは?「日本国憲法前文」とカフカの『変身』をいっしょに読むと何が見えてくるのか……。生徒たちの実例文も満載。読んでためになる、思わず参加したくなる楽しい文章教室!

13日間で「名文」を書けるようになる方法 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 著者が大学で行った講義をまとめた1冊。文章の書き方というより、言葉との向き合い方。書く行為の手前で何を見て考えるか。自分の仕事は文を直すことに近いのでどこか職人的、技術的。でも「文を書く」ハードルはグッと低くて、誰でもできる。どうすれば言語生活が豊かになるのかを考えさせられる。その「考える」が大事らしい。

  • 題名からは想像もつかない、マジ名著!高橋源一郎が明治学院大学で行った文章講座、全13回(うち1回は休講)の記録を元にしています。
    授業で購読するテキストは、スーザン・ソンタグ、高橋悠治、谷川俊太郎、カフカ、アーシュラ・K・ル・グィンと、まさに名文ばかり。かと思いきや、AV女優の履歴書やら、ヘンリー・ダーガーの妄想小説、日本国憲法、オバマやハーヴェイ・ミルクの演説まで、世界にあふれる雑多で多様なテキストを読んで考えながら、学生たちは「自己紹介」「ラブレター」「憲法」「演説」といった課題で文章を書いてくることを求められます。そのうえタカハシ先生自身もストリップショーとバレエを観に行っていろんなことを考えたり、休講の間に重大な体験をしていたり。
    このなんともスリリングな授業を通して見えてくるのは、文章の書き方読み方という以上に、「私」という存在が世界と関わり理解する、その媒介としての言語とテキストという、根本的哲学的な問題です。私たちが日々無意識のままに実践している異なる種類のコミュニケーションを、違和化し再身体化する、その技法が「自己紹介」「ラブレター」そして「憲法」「演説」というテキストを書いてみることなんですね。そうして生まれた学生さんたちの言葉がまた、素晴らしいんだな。つまり誰もが、考える機会さえ自分のものにすれば、こんなものを生み出すポテンシャルをもっているってこと。
    私も学生の時にこんな授業が受けてみたかった、とはもちろん思うけれど、彼らよりはるかに長い間言葉を使っている私もまた、この本を通してタカハシ先生が投げかけてくる問いかけを新鮮に受け止めてみることを通して、あまりに使いなれてしまった言葉を、また異化し、学びなおしてみる。
    そんなふうに何度も立ち帰ることのできる、これぞ名著だと心から感心しているのです。

  • タイトルに偽りあり。「『名文』を書けるようになる」方法どころか「人生がとても豊かになる」くらい言うべき。
    名文を書くために、名文を読む。
    名文を書くために、名文がなぜ名文なのか考えてみる。
    名文を書くために、書くことの意味を考える。
    名文を書くために、書いたことが読まれることの意味を考える。
    名文を書くための、添削や批判は一切しない。
    そうやって授業がすすむうちに、テクニックを教えてもらうつもりだった学生も気がつく。
    名文を書くことが大切なのではない。名文を書こうとする過程で学ぶ「伝えたい/つながりたい気持ち」や「深く読む能力や読み取る幅の広がり」こそが大切なのだと。
    タカハシセンセイ、ありがとうございました‼

  • 大学の講義をまとめたもの。
    読み終わると清々しい気持ちになる。

    さまざま紹介された著書の好きな文章。
    特に記憶が残ったのはソンダク、荒川洋治、グウィン、オバマの言葉。

    私的なことば、個人的なことばこそがもっとも遠くへ届くことば=公的なことばになりうる。
    全くその通りだ。

    実はこの人の小説を読んだことがまだない。早く読もう。

  • 高橋源一郎さんは、実は明治学院大学の教授といふ肩書もありまして、本書は同大学での講義を纏めたものであります。
    講義のタイトルは「言語表現法講義」。書籍化の際もこの表題で良かつたのに、何だか安直なハウツーものみたいな書名になつてしまひました。しかも看板に偽りあり。著者は学生たちに、決して「名文」を書かせやうとはしてゐません。

    今さらですが、そもそも「名文」とは何か。高橋教授は、自分にも分からないと白状します。誰でもが認める「名文オブ名文」みたいなものは、存在しないのぢやないかと。Aが名文だと感じる文章を、Bは箸にも棒にも掛からぬ駄文だと斬り捨てることもあり得る。
    と同時に、誰か一人でも「すげえ!」と感じるなら、それは名文ではないかとも。
    とにかく破天荒な先生であります。初日の講義はプロローグみたいなものですが、そのタイトルは以下の通り。

    「「名文」を書けるようになるための準備、それから
    「卑劣な男は叱りつけてやりなさい」というような素敵な文章を
    読んだ後は、とりあえず窓の外を眺めてみる、ということ」

    何のことかは、まあ読んでみてくだされ。
    そして高橋先生は、毎回作文の宿題を出します。そのお題は「自己紹介」「ラヴレター」「憲法」「自分以外の誰かになって文章を書く」「演説」「詩」......制約は一切なし。自由に書かせます。その成果は、次回の講義時に発表し、参加者の意見を求める。
    提出された作文に対しては、全く手を加へません。添削先生ではないのであります。他の学生が頓珍漢な感想を述べても、否定的な言辞を弄さず、全てを肯定する授業。

    一口に文章を書くと言つても、その行為の背景には、自分と他者(社会)との関係が否応なしに浮び上ります。言ふなれば、高橋先生はその関係について学生たちと一緒に考へやう、といふ姿勢に見えます。
    この講義を受けたからと言つて、学生たちの文章力が忽ち上達するといふことはないかもしれません。しかし今後何かしらの文章を書く時に、「自分の文章」をきつと意識して書くやうになるでせうね。音読することで自分の文章を突き放して客観的に感じることが出来、常に読者(誰に読んで貰ふのか)を意識する。それだけでも十分に意義のあることではありますまいか。何より高橋先生の名調子に身を委ねるだけで、心地良く夜も寝られさうですよ。

    といふことで、わたくしの雑で手前勝手な文章を終ります。では。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-554.html

  • 大学生と先生のやり取りをとても楽しく読めた
    ただ引用の数々の文章、あそこまで長く載せる
    必要があるのかと思える文章も数ヶ所あった

    不慣れのせいかもしれないが、引用で文体が変わると
    とまどってしまい、それが多いと読みづらい

  • 13日で名文は書けるようにはならない。でも、それ以上のことを得ることができる本。「文を書くこと」「表現すること」「ことばを持つこと」についてじっくり考えることができる良書。

  • 面白かった。きっとこれを読んで文章がうまくなるわけでもないし、これを読んで文章について考えるようになるというわけでもないけれど、文章を楽しむ姿を目の前で見せられているようで、そこがとてもよかった。

  • 高橋先生は、この授業でいろんなことを教えてくれた。
    まず、基本として、文章は見られるものであると意識すること。
    そして、文章をとりあえず書いてみること。
    書いてみるということは、考えるということだから。

    そして、高橋先生が読ませた文章、授業の冒頭の世間話は心に残るものが多い。
    息子さんの病気のことはもちろん、ストリップのすばらしさを語ったものは、実際にこの話に影響されて行ってみたら、そのすばらしさに気づいた。
    いやいや、みんなストリップを誤解しすぎだろと思うようになった。

    僕は実際に課題をしてから、次の授業に臨むようにしていたが、そうしたことで、自分の文章力のなさ、明治学院大学の生徒の文章力の高さに驚いた。
    これが実際に書いてみて、気づいたことである。
    さらに多くのことに気づく為に、これからも書き続けなければならない。
    そうすることで名文を書けるようになるのだろう。

    この本は、そうしたことを気づかせるほんのきっかけにすぎない。人によっては、きっかけにすらならないだろうし、マニュアルが書いてないと起こり出す人もいるかもしれない。
    だが、少なくとも僕にとって、文章を書こうと思うきっかけとして、これほどすばらしい本は他には見つけられないだろう。

  • この本を読んで、13日間で「名文」を書けるようになるとは思わない。
    作家の文章読本ってやつも、どうも苦手だ。
    でも、この本には、「言葉の力」というものに改めて驚かされ、感動させられた。

    ソンタグの「若い読者へのアドバイス」、ル=グィンの「左利きの卒業式祝辞」、オバマやミルクのスピーチ。
    これらのものに出会えただけで、満足できる。
    この講義を受講した学生さんたちの「名文」も。
    そして、タカハシ先生の、脳症になった息子さんとのエピソードも。

    読んでよかった一冊。

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