f植物園の巣穴 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.62
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本棚登録 : 1222
レビュー : 147
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646675

作品紹介・あらすじ

月下香の匂ひ漂ふ一夜。歯が痛む植物園の園丁は、誘われるように椋の木の巣穴に落ちた。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、烏帽子を被った鯉、アイルランドの治水神と出会う。動植物と地理を豊かに描き、命の連なりをえがく会心の異界譚。

感想・レビュー・書評

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  • 梨木香歩の「F植物園の巣穴」を読み終わり。家守綺譚系統の怪と植物の織りなす不思議空間を彷徨う植物園勤めの男の話。
     妻を亡くし、幼少期には子守を亡くし、た男の淋しさにうーんと唸りましたが、エンドはハッピーで安心しました。
     頭を使わずにすらすらーっと読める話です。そういう気分の時にどうぞ。

  • This story is hard to describe. Kind of fantasy with “Spirited away” taste and Shintoism? I wasn’t sure what I was reading till middle of the story and felt the main character is too stubborn. However it turned out quite heartwarming at last. Good for me.

  • 現実と虚構が入り混じりつつ、話が進んでいく。終盤への話の終息が秀逸。怪異譚の要素は薄め。

  • 語り手の"私"佐田豊彦は、f植物園の職員。
    水生植物園を担当しており、その水辺を「隠り江(こもりえ)」と秘かに呼んで、理想の姿に育てることに情熱を傾けている。
    やがて、日常が不思議な出来事に彩られ始める。
    思い返せば…
    植物園の大木にできたおおきな"うろ"を覗きこんだ時に、落ちた?のかもしれないのだが…

    梨木さんの作品に、水辺は多く出てくる。
    すべての命は水の中から生まれた…ということと関係しているのかもしれない。
    穴に落ちてからの不思議の連続というのは、不思議の国のアリスを連想させる。
    和風だから、遠野物語や、宮沢賢治の世界に近いのかも。
    豊彦の時代は、明治・大正…新しくても昭和初期頃だろう。
    現代よりも不思議は日常の中に混在していたかもしれず、怪異は恐ろしいと言うよりは、不条理と、哀しさも美しさも伴っている。

    なかなか醒めない夢のような豊彦の旅路は、無意識のうちに心の隅に追いやった気がかりを取り出して、もういちどあるべきところに納めるための旅だったのかもしれない。
    言ってみれば、自分の心を「治水」したのだ。
    悲しい記憶と悔恨を克服し、新しい水をさらさらと流す。
    そこには健やかな命が生まれる。

    『家守綺譚 』『冬虫夏草』と同じ傾向の作品。

  • 家守綺譚が好きなのでそういうの期待していたんだけど、そういうのではあるけど極端に理解が難しくて、世界観に浸ることができなかったので個人的に残念。

  • 日常を送っているつもりだが、なにもかもが「自分の知る日常」ではなく、自分さえもだんだん頼りにならない。それでもこれは「自分を拾い上げ再構築する」物語なのだと思う。

  • 梨木さん、『冬虫夏草』以来読んでいなかったのだけれど、読みたくなった理由を思い出せない。結果読んでとてもよかったし高湿度の今の時季にピッタリだった!
    歯痛をきっかけに未消化の事象や私情が迷走しながら浮き上がってくるプロットが気持ちいい。
    途中から、もしかするとアガサ・クリスティー『春にして君を離れ』とかカズオ・イシグロ『浮世の画家』のようなお話かと訝っていたので坊のエピソードには不意を衝かれて泣いてしまった。ぜんぜん違うし!(春も浮世も好きだけれど)ラストに向けてこわばりが優しくほぐれていくイメージがとても良かった。
    梨木さん他の作品もどしどし読んでいこうっと。

  • 『椿宿の辺りに』を読んでから手に取った。不思議なことが次々と起こる冒頭が引き込まれた。

  • あぶなっかしい本でした。
    だいぶ消耗しました。
    異世界なのか現実なのか、よく分からない曖昧性。
    でも稲荷とかナマズとか、いわゆる日本が昔から抱えている曖昧な感じがうまく表現されていて、読みながら自分もごぼごぼとその世界に入っていく感じがしました。
    読み終わった後もスッキリしないし、自分の世界が揺らぐけど、まぁたまにはこういうのも良いんじゃないかと感じる本です。

  • 再読。穴をめぐるファンタジー。別の世界での不思議な体験を経ることによって、自分自身を発見し、現実世界にも変化が起きる。生まれなかった子に会い、名付けて別れるくだりはうるうるきた。ラストの暖かなシーンは幸せな読後感を味わわせてくれた。

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著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

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