オーディンの鴉 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 72
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646736

作品紹介・あらすじ

閣僚入り間近の国会議員・矢島が謎の自殺を遂げた。真相を追う東京地検特捜部の湯浅は、矢島の詳細な個人情報がネット上で晒されていた事実を掴み、匿名の人間による悪意に慄きつつ捜査を進める。しかし、彼の元にも差出人不明の封筒が届き始め…。

感想・レビュー・書評

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  • 読後、背筋が震えた。
    もちろん、寒さのせいでは無く、よく出来た本書のストーリーのリアルさに、である。

    『オーディンの鴉』とは、北欧神話の神の名で、両肩にフギン(思想)と、ムニン(記憶)という二羽の鴉を従え、世界中のあらゆる情報を集めて来る事ができるという。

    本書は、東京地検特捜部の検事が、家族や仲間を守るため、巨大な敵と闘う物語である。

    敵は、まったく姿を見せず、しかし、あらゆる情報を操作する事が出来る、巨大な力を持った人物(または組織)である。湯浅検事は、果たして、巨大な敵に勝てるのか?

    現代は、情報化社会と良く言われるが、本書のように、あらゆる情報が集められ、それが恣意的にある目的で使われたら...非常に恐ろしい事態に、驚愕します。

    決して小説とは思えないリアルさは、福田さんの筆力でしょうか。最後に、検察内部の裏切者が登場しますが、残念ながら、外れでした。

    ・オーディンの鴉
    https://www.youtube.com/watch?v=NRPs58pyiOQ

  • ネットの閲覧履歴、クレジットカードの利用情報、交通系などICカードの使用、そんな個人情報すべてが他人の手に握られ、晒されるとしたら。

    この作品は、そんな恐ろしい、だがこの情報社会ですでに起こっている個人情報の開示という現実を、2009年の時点でフィクションとして描き出したもの。

    汚職容疑で、地検特捜部の家宅捜索を受ける寸前だった
    議員の矢島が自殺した。

    遺書には「私は恐ろしい。これ以上耐えられない」と記されており、地検に追い込まれた末の自殺と思われたが、しばらくして、矢島の個人情報が次々とネットに晒され、拡散されていることが判明する。

    誰が情報を集め、開示しているのか。

    矢島の取り調べを行うはずだった特捜検事の湯浅と安見が、ネット上の情報を調べ始める。

    だが、捜査が進むうち、「オーディンの鴉」と名乗る何者かから脅迫めいた郵便物が湯浅と安見の元に届く。

    そして、安見の撲殺死体が発見された。

    さらに魔の手は湯浅の身にも…。

    この作家さん自身が工学部出身だということで、物語の恐ろしさはリアリティを帯びて迫ってくる。

    個人情報晒し、そして誹謗・中傷。
    多くの人がネットを利用する現在、
    自分には関係のないこと、などと言っていられない社会になった。

    普通の顔を見せない人の悪意が、現実の世界に巣食っているのが一番恐ろしいのかもしれない。

  • 140202

  • 現代は情報社会である。プライベート、ビジネスに関わらず、ネットワークに関わることなく生活していくことは有り得ない。利便性を追求した結果、私たちは監視されることを与えてしまった。
    その恐怖が、とても身近なTwitterやYouTubeという言葉が出ることによってリアルさを増す。
    決して、自分の名前を検索してはいけない。

  • ありがちなストーリーだけど、YouTubeだったりニコニコ動画、Twitterといった身近なサービス名が出てくるあたりに親近感を覚え、すらすらと読み進めることができた。しかし、遂に黒幕の尻尾を掴んだぞ!っといった展開にも関わらず、”えっ、そんな奴いたっけ?”っと微妙な感じで読み返してみたけど、納得いかず残念だった。。。せめて、もう少し身近な人物が黒幕だったら・・・。読み進めながら、スマイリーキクチの事件を思い出してしまった・・・。

  • IT社会のリアリティを追求したサスペンス作品!天才ハッカーや天才プログラマー等の非現実的な類は一切なく、ごくごく身近なTwitterや2ch、SNS、YouTubeだったりニコ動といったツール類を使っての展開なだけにちょっと寒気が…
    インターネットの発達と共に生活も便利になったり、色々と可能性が拡がる半面、このような事態ってかなり現実的なのだろうから。。。
    …ただ、日進月歩で技術が進む昨今では「旬な時期」ならではの展開ではあるので、10年後とかに読み返すとかなり違う味わいになるのかも。

    そんな「現在」の社会に対する警告も含まれているのだろうが、それらの要素がうまくストーリーと絡まりあっていて無理なく読ませてくれる!
    また、主人公である湯浅の設定も絶妙だったかと。。。検事という職業ではあるものの、比較的庶民的であり親近感のあるキャラクターなだけに、中盤以降に追い詰められていく描写にはついつい同調してしまった。
    そして、現代に於いて、この情報管理から身を隠すって難しんだなぁ、、、と関心してしまった。

    …とまぁ、その辺については非常に面白かったのに、本作内での黒幕(?)が若干役不足だったんじゃないだろうか。
    組織の全容が掴めないままってのも含めて、設定自体は確かにリアリティはあるんだろうけど、小説としてはスッキリ感が足りなかったんじゃないかと。。。

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著者プロフィール

1967年神戸市生まれ。神戸大学工学部卒業後、システムエンジニアを経て、2007年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。著作に、『TOKYO BLACKOUT』『オーディンの鴉』『ハイアラート』など。

「2018年 『黄金の代償』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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