増補版 松田聖子論 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646781

作品紹介・あらすじ

70年代の象徴・山口百恵のアンチテーゼとして80年に登場した松田聖子。二人のデビューの背景、衣装、歌詞、結婚観などを徹底的に分析し、今なお女性たちを惹きつける「松田聖子」を読む。同時に現代女性の生き方について鋭く考察する、エンターテインメント・アイドル論。

感想・レビュー・書評

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  • 小倉千加子 著「増補版 松田聖子論」、2012.9発行です。70年代の象徴・山口百恵と80年代に登場した松田聖子を比較分析した本で、4つの章で構成されています。二人のわがままな主婦、青い果実の熟成(山口百恵の軌跡)、翼の生えたブーツ(松田聖子の正体)、あなたに逢いたくて。私は、山口百恵の章を読みたくて借りました。松田聖子の正体とか二人の歌手の比較は、私の興味の対象外です。「秋桜」「いい日旅立ち」などを最後に、1980年に引退した山口百恵が当時21歳だったとは、驚きです。普通の人は大学在学中ですね。

  • 誰にしてももう一人の秘められた自分がある。つまり、私とは別のもうひとつの顔をした自分を持っているのだと思う。
    自分を無化することができる、得意な子はあっという間に果実になれる。
    聖子はAKBと違って周囲の大人に大切に育てられてきた。孤独を感じるようなことはなかった。

  • 前半は山口百恵論である。松田聖子を語るには、まず山口百恵なのである。でも単純なアイドル比較論じゃないところが小倉先生。そこはやっぱりフェミニズムの本なので、注意が必要です。歌詞と本人は別だろという突っ込みはナンセンス。パロディなのだと先生もおっしゃっている。ゲラゲラ笑いながら、「貴女の生き方について」語る言葉を持てと挑まれている。

  • タイトルは「松田聖子論」ですが、彼女のデビューと入れ替わるように芸能界を去った「山口百恵」を論じることで、「松田聖子」を浮かび上がらせてます。
    短い芸能生活の中で、少女から女へ、そして愛する人のもとへ旅立った「リアル」な足跡を残した山口百恵と、ひたすら虚構の中の「女の子」を歌い続ける松田聖子。
    読み続けるにつれて、「松田聖子」を論じているはずなのに、山口百恵の「(「山口百恵」が作り出される)生々しさ」が引き立ってくるんですよね。
    昭和の終わり、テレビや音楽、芸能界そのものが眩い光を放っていた「思い出話」の一部として楽しむには……面白いと思います。
    もともと1989年に出版されたものに、現在(2012年)の松田聖子と芸能界(AKB48に触れている)について書き加えられているのですが、これは、必要なかったかも。あの頃と今では、「エンタメ」の量や質に違いがありすぎて、比較できるものではないような。

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著者プロフィール

1952年、大阪生まれ。早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了。大阪成蹊女子短期大学、愛知淑徳大学文化創造学部教授をへて、執筆・講演活動に入る。本業のジェンダー・セクシュアリティ論からテレビドラマ、日本の晩婚化・少子化現象まで、幅広く分析を続けている。現在は認定こども園を運営し、幼稚園と保育所の連携についても関心を深めている。
主な著書に『醬油と薔薇の日々』『シュレーディンガーの猫』(いそっぷ社)、『増補版・松田聖子論』『結婚の条件』(朝日文庫)など。

「2020年 『草むらにハイヒール──内から外への欲求』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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