女中譚 (朝日文庫)

著者 : 中島京子
  • 朝日新聞出版 (2013年3月7日発売)
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  • レビュー :31
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646989

作品紹介・あらすじ

90歳を超えるばあさんは「アキバ」のメイド喫茶に通い、かつて女中をしていた若かりし頃の思い出にふける。いつの世にもいるダメ男、わがままお嬢様、変人文士先生につかえる、奥深い女中人生…。直木賞受賞作『小さいおうち』の姉妹小説。

女中譚 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 林芙美子、吉屋信子、永井荷風の女中が描かれた作品を下敷きにした小説。元女中で今や老婆となっている主人公が昔をふり返って語るというスタイルだけど、主人公の語り口とかたくましい生き方とか林芙美子っぽいなあと思った。
    下敷きとなっている作品を読んでなくともおもしろく読めたけど、永井荷風の「女中のはなし」を下敷きにした「文士のはなし」がいちばんおもしろかったかな。永井荷風を読んでみたくなった。
    そして解説がすばらしい、というか、解説がなければおもしろさが半分くらいしかわからなかったかも。
    短い作品を読んだときにわたしはいつも言ってる気がしなくもないけど、もっと長かったらよかったのに、とか思った。主人公が今、秋葉原のメイドカフェに通っているという凝った設定にわざわざするんだったら、もっとその現代を舞台に話が広がっていたらよかったのに、と。あと、昭和初期から日本が戦争へ進んでいく時代背景ももっとたっぷりわかりやすく描かれていたらよかったのに、とも。(ハイ、わたしは行間を読んで考えるより、説明たっぷりのくどい話を読むのがわたしは好きです。)

  • 文庫の帯文句「直木賞受賞作『小さいおうち』と姉妹小説」に惹かれ購入。「小さいおうち」とは女中つながりのようで、それが読もうと思った動機だったのだが、まさか林芙美子・吉屋信子・永井荷風の女中小説をトリビュートという仕掛けがあったとは!名作トリビュートは中島さんの得意技。手の込んだ構成によるこの作品、そこから浮かび上がってくるのは、「すみ」という女性の生き様、そして激動の昭和という時代。
    本家の作風の匂いをほんのり漂わせながらも、中島さんらしくミステリアスでつかみどころがない作品世界。女中という仕事を通して、すみが出会う男や女のしたたかさ、狡賢さ、物悲しさ。複雑に入り組む愛憎に揉まれながらもたくましく生きていくすみの強者っぷりが気持よかった。個人的に好きなのは、第二話の「すみの話」かな。元ネタが吉屋信子なだけに、「s」なドキドキ展開、日本を覆う不穏な空気、まさかのびっくりオチ(これがまた鮮やかで驚いた~)。
    現代ではアキバのメイド喫茶に出入りする老いたすみ。そして、平成のアキバでの「あの」事件ともさり気なく掠らせるところがまた巧い!別世界の話と思っていた女中という仕事が、アキバですみが若いメイドを見ながらかつての自分を回想するという形を取っていることで、なんだかリアルに感じられるのだ。
    江南亜美子さんの解説もまた素晴らしい。

  • 秋葉原のメイドカフェに日参する老女の問わず語り。
    「女中」を語り手としている点で『小さいおうち』の姉妹小説とされているが、あちらが恵まれた女中の一代記のような長編小説なのに対して、こちらの3本の連作短編はそれぞれ著名作家の作品を作者お得意の本歌取り、当時の女中だけでなく女給・踊り子といった仕事を転々とする少なからぬ女たちの苦境、悲しさや惨めさなど暗い側面や歪んだ感情も容赦なくえがいて、ある意味バランスをとっていると見た。
    元となっている林芙美子、吉屋信子、永井荷風をそれぞれちょっと読んでみない訳にはいかない感じ。

  • 出だし、90歳のばあさんが秋葉のメイド喫茶でクダを巻くシーンで期待したのですが。。。
    その90歳のばあさんが『小さいおうち』の主人公の一人だった女中のおすみさんの後の姿で、その回顧譚として3つの短編で出来ています。もっとも『小さいおうち』と重なるシーンはほとんど無く、それぞれ林芙美子の『女中の手紙』、吉行信子の『たまの話』、永井荷風の『女中のはなし』をベースにするという中島さん得意の手法です。
    どうも後味が悪いのです。
    悪意とか嫉妬とか挫折とか、そんなものが強く表に出てきて、救いが無く。いつもの中島さんの作品にあるユーモアが感じ難く。。。。

  • なんとなくタイトルに惹かれて読んでみるも、いやはや。これは。すごくいい!おすみさん90歳超の元リアル女中。昔懐かし雰囲気を味わいにメイド喫茶へ足繁く通う。そこで語られるすみさんの昔話。男と一緒に女を騙してみたり、ドSのお嬢に仕え百合の世界にちょっぴり足を踏み入れてみたり、奉公先の陰気な館の陰気な主人、ボロクソ言うも実は永井荷風、しかも気づかぬ内に小説に登場していたりと疾風の如く人生を駆け抜けたすみさん、たまらなくかっこいい。語り尽くしたのか最期、路上にうずくまり目を瞑るすみさん。私は惜しみない拍手を送る。

  • 昭和初期の、まだ華やかな雰囲気の残っている頃の、都市の影が存分に描かれている。
    寅さんや両さんの出てくるような下町じゃなく、明治の貧民窟につながっているような町。
    すみという女中も、陰影の深い人物。
    秋葉原を漂う現在の姿も味わいがあるが、やはり若い時の、ふと心の中に兆す魔のようなものにぞくりとさせられる。
    エログロといわれた時代の雰囲気、こんな風だったんだろうな、と思わされた。

  • 【小さいおうち】のタキさんの自分史より、オスミさんの昔語りの方が面白かった。

    元ネタの3作品(【女中の手紙/林芙美子】【たまの話/吉屋信子】【女中のはなし/永井荷風】)は、先に読むより後から読む方が楽しめそう。

  • うーん。あんまり…ちいさなおうちが面白かったので読んでみたのですが…

  • 2014/06/24

  • トリビュート作品集なんですね。。小さいお打ち合わせが何というか、古き良き時代のお話という感じだったから読んでビックリしちゃいました。だって何かスミさん凄い。でもこれくらいじゃなきゃ務まらないんでしょうね女中は。
    元のお話を読んで見たくなりました。

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