「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生 (朝日文庫)

著者 : 石原千秋
  • 朝日新聞出版 (2013年6月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647047

作品紹介

【文学/評論】なぜ夏目漱石は国民作家に、『こころ』は高校教科書の定番になったのか? 大衆社会に生きる現代人にこそ響く、高校生からおとなまで、「Kの自殺」しか記憶にない人にも楽しめる、奥の深い読みなおしの漱石本。4章5章文庫書き下ろし。

「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 高校、大学時代によく読んでいた漱石文学の中でも、「こころ」を中心とした評論書。
    以前出版されていた、新書より少し大きめのスタイルの本から文庫本に移行した(数年前のことだが)ので買い直した。
    第4、5章が追加になり、それらの章はこころ以外も含めた漱石文学全般の評論になっているため、興味深く読んだ。
    こころをはじめとして、漱石文学が好きな人であれば是非読んでみてほしい一冊。

  • 何事も「家」が単位だった時代と「個人」が単位になりうると認識された時代のせめぎ合い。この本を読むと、古くてしかし新しい認識を以て100年前の人の生き方をかいまみるようで。「士農工商」を打破し「立身出世」をするため「学歴」が国を作っていく時代がみえる。

  • 夏目漱石の『こころ』を、「古典」として新しい読み方を発見できるかという視点から独自の解釈で読み解き、その文化的・社会的背景についても検討している。『こころ』のテキストも抄録している。
    語り手の青年と先生の妻だった静の現在の関係など、そういう読み方ができるのか、という新鮮な発見があり、テキスト論に基づく近大文学研究の醍醐味が感じられた。ただ、本人も述べているが、「これは世間を憚る遠慮というよりも」という一文から青年が先生の手記を「世間」に向けて公表するつもりで書き始めていると断言するなど、それは深読みしすぎではないか、というような少し「トリッキー」な解釈が多いような印象ももった。

  •  『こころ』論というよりは、漱石テクストの入門書というべき1冊。とくに第4章「真実の相続人」は、漱石の作品世界を理解するうえで必要な背景知識と基本情報がたっぷり詰め込まれている。学生向けの教科書としても使えそう。
     筆者は本書でのテクスト解釈を「ややトリッキー」なものだとするが、むしろオーソドックスな解釈が積み重ねられているという印象がある。問題となるのは、「大人になる」=主体化するとはいったいどういうことなのか、そこにはどんなイデオロギー的な問題性が介在しているのか、「大人になる」ことの拒絶は否定的にしか意味づけられないのか等々、本書の指摘を踏まえた次のステップにあるのではないか。

  • 読みやすい。高校の現代文の先生は必読。

  • 既に『「 こころ」大人になれななかった先生』(みすず書房)で発表されている3章までに4、5章と資料、『こころ』の本文の抜粋といった構成です。なかなかの面白い解釈は既に3章まで読んでいて知っていましたが、改めて読み直してみても面白い。加えられた章は3章までに比べると学術色が、出ていてちょっと難しいかも。でも漱石文学の理解が深まる本です。

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