- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022647252
感想・レビュー・書評
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とっても良かった!
時代物ミステリー+武士の生き様といった大好きなテーマ。
ストーリとしては、
村塾の教師の梶与五郎の遺骸が発見されます。
その教え子である日坂藩士の筒井恭平と穴見孫六は与五郎が殺された真相を追う事になります。
与五郎の死の裏側には鵜ノ島藩との干拓地にまつわる覚書にあるとみて、その覚書を探すのと同時に、その死の真相に迫ります。
そのさなか、孫六も殺されてしまう事に。
覚書は誰が持っているのか?
誰が殺したのか?
その死の真相は?
このミステリー仕立てのストーリ展開に加え、恭平をはじめ、与五郎の教え子達の心の絆が語られます。
与五郎が子供達に伝えたかったこと。
当時の子供たちの想い、青春、そして、生き様。
結果、徐々に明らかになる様々な謎、さらにそこに秘められた悲哀。とっても良いです。
また、主人公である恭平が面白い。
時代劇によく出てくる格好よく寡黙な剣豪というわけでなく、どちらかというとドジキャラ。
鵜ノ島藩に潜入しては、命からがら脱出してきます。
そんな恭平ですが、最後はビシっとしめてくれるところも素晴らしい。
桃栗三年柿八年、柚子は九年で花が咲く。
とってもお勧め!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の思いが全面に出過ぎて、教育論としては良いが、小説としては少し物足りなかった。
著者の思いとは、「桃栗3年、柿8年、柚子は9年で花が咲く」(余談ですがこの台詞は原作にはありませんが映画の「蜩の記」にも出てきます)・・・つまり教育(だけではないでしょうが)には時間が掛る。結果を焦らずにじっくりと成長を見守っていこうと言うものである。
折角ミステリー仕立てになっているので、その謎解きの面白さを、もう少し味わいたかった。 -
隣藩との境界争いを背景に、師を殺めた犯人を捜すミスれリー的な一面と、教育とは、そして人が生涯で大切にするものとは、と読者に問いかける、葉室麟らしい清涼感溢れる時代小説。
幼い頃の淡い恋情が、現在の事件および行動にさまざまな影響を与える。
「私はあの日、川辺で美しいものを見たと信じています、生涯憶い続けられる確かなものを、です。」
「人は、思いがあれば生きていける。・・・ひとはやはり、思いだけで生きられるものではない・・・」
心に留めておきたいセリフが。
しかし、下手人が滔滔と己の仕業を独白するのには、ちょっと違和感を感じる。小説構成上仕方ないことか。 -
2021.4.7
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題名は素敵です、でも葉室麟さんの作品をかなり(16冊)読み込んでおりますと「おんなじだなあ」と思うような展開になりますのはしょうがないのでしょうか。
ストーリはよくできています。子どもの頃村塾で教わった懐かしい先生が非業の死をとげ、真相を追う成人した教え子たちの死闘。先生の教えがじわっときいてくる、ほのぼのとした後味。
「・・・ワールド」ってよく言いますが、それをマンネリ化させないのが作家の腕の見せ所、作家にとっては苦しいところなんでしょうけど。といってももうお作品は増えないのですから読者というのは我儘ですね。 -
先日「色の博物誌」展で備前の国絵図を見て来たところだったので、児島湾の干拓地の所属争いがモチーフになっているのかなと勝手に想像した
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9月-5。3.5点。
藩校で学問を教える武士が、隣藩との藩境問題で、
ふるさとで殺害される。
生徒だった武士が被害者の出身藩へ行き、調査。
面白かった。 -
恩師梶先生が殺されたことを不信に思った主人公筒井恭平が調査をする物語。300ページほどの中に綺麗に話がまとまっており、いつものように回想シーンや物語の流れがスムーズでとても読みやすく、おもしろい。そして犯人にたどり着くまで一転二転し時代物というよりミステリーの方が合う。
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ハラハラドキドキしながらもスッキリ気分で読了。
現代社会に疲れているあなたへの一冊(笑)
著者プロフィール
葉室麟の作品





