柚子の花咲く (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647252

感想・レビュー・書評

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  • 昔の人は不器用。現代はもっとドロドロと思う。想い人がいても許嫁と結婚しないといけない。子供達を思う気持ちが美しい。

  • 師への恩と友情と恋愛が織り成す物語でとても懐かしさを感じさせるような内容でした。桃栗3年柿8年と言う言葉も久しく聞いていなかったのでとても新鮮に感じた。懐かしさと同時に日本人として大事にしたい心が詰まっているように感じました。

  • とっても良かった!
    時代物ミステリー+武士の生き様といった大好きなテーマ。

    ストーリとしては、
    村塾の教師の梶与五郎の遺骸が発見されます。
    その教え子である日坂藩士の筒井恭平と穴見孫六は与五郎が殺された真相を追う事になります。
    与五郎の死の裏側には鵜ノ島藩との干拓地にまつわる覚書にあるとみて、その覚書を探すのと同時に、その死の真相に迫ります。
    そのさなか、孫六も殺されてしまう事に。
    覚書は誰が持っているのか?
    誰が殺したのか?
    その死の真相は?

    このミステリー仕立てのストーリ展開に加え、恭平をはじめ、与五郎の教え子達の心の絆が語られます。
    与五郎が子供達に伝えたかったこと。
    当時の子供たちの想い、青春、そして、生き様。

    結果、徐々に明らかになる様々な謎、さらにそこに秘められた悲哀。とっても良いです。

    また、主人公である恭平が面白い。
    時代劇によく出てくる格好よく寡黙な剣豪というわけでなく、どちらかというとドジキャラ。
    鵜ノ島藩に潜入しては、命からがら脱出してきます。

    そんな恭平ですが、最後はビシっとしめてくれるところも素晴らしい。

    桃栗三年柿八年、柚子は九年で花が咲く。

    とってもお勧め!!

  • いやーーーーー葉室さん!!!!
    ほんと好きです。
    梶先生の死の謎、その名誉挽回のために敵方へ何度も潜入する主人公恭平。
    色気ある琴やおようといった美女が華を添え、時代物ミステリーは様々な思惑の中で渦巻いていく。。。。

    魅力はやはり恭平のキャラクターだ。
    ありがちなイケメンとか侍の中で最強とかそういったチャチなイメージを持たされることなく、でもしたたかで信頼できる、小柄な男。飄々としていて、本人は気づいてなかったけど賢いおようをはじめ皆に頼られ、愛されている。

    桃栗三年柿八年、柚子は九年で花が咲く。
    「われわれは先生が丹念込めて育ててくださった柚子の花でございます。それでもお斬りになりますか。」
    このセリフ、なんだか泣いちゃうね!
    不器用まっすぐで、自分は失敗ばかりで、それでも子供達に懸命に教え育てたのだろう梶先生。素敵な先生だなぁ。無念の死だったけれど、生徒に慕われて、こんなに思われて、いいですね。
    最後タイトルを見て、ちょっとゾワっとしちゃいました。
    鳥肌。これ以外かんがえられない、最高の結末でした!!!

  • 著者の思いが全面に出過ぎて、教育論としては良いが、小説としては少し物足りなかった。
    著者の思いとは、「桃栗3年、柿8年、柚子は9年で花が咲く」(余談ですがこの台詞は原作にはありませんが映画の「蜩の記」にも出てきます)・・・つまり教育(だけではないでしょうが)には時間が掛る。結果を焦らずにじっくりと成長を見守っていこうと言うものである。
    折角ミステリー仕立てになっているので、その謎解きの面白さを、もう少し味わいたかった。

  • 隣藩との境界争いを背景に、師を殺めた犯人を捜すミスれリー的な一面と、教育とは、そして人が生涯で大切にするものとは、と読者に問いかける、葉室麟らしい清涼感溢れる時代小説。
    幼い頃の淡い恋情が、現在の事件および行動にさまざまな影響を与える。
    「私はあの日、川辺で美しいものを見たと信じています、生涯憶い続けられる確かなものを、です。」
    「人は、思いがあれば生きていける。・・・ひとはやはり、思いだけで生きられるものではない・・・」
    心に留めておきたいセリフが。
    しかし、下手人が滔滔と己の仕業を独白するのには、ちょっと違和感を感じる。小説構成上仕方ないことか。

  • 恥ずかしながら、この歳になるまで桃栗三年柿八年に続き句があったと知らなかった。 どうやら後の句は前の句との対比で良い意味では使われないようだけれど、「・・・で花が咲く」と繋げれば苦労の甲斐があるというものだ。 葉室さんの小説はまだ3 冊目だけど、今回も真っ直ぐに生きることの大切さを教えられた。 そして最後は解説で江上さんが書かれているように、心に青空が広がっている。他の作品では、どんな青空を見せてくれるのだろう。ワクワクが止まらない。(o^^o)

  • 2021.4.7

  • 題名は素敵です、でも葉室麟さんの作品をかなり(16冊)読み込んでおりますと「おんなじだなあ」と思うような展開になりますのはしょうがないのでしょうか。

    ストーリはよくできています。子どもの頃村塾で教わった懐かしい先生が非業の死をとげ、真相を追う成人した教え子たちの死闘。先生の教えがじわっときいてくる、ほのぼのとした後味。

    「・・・ワールド」ってよく言いますが、それをマンネリ化させないのが作家の腕の見せ所、作家にとっては苦しいところなんでしょうけど。といってももうお作品は増えないのですから読者というのは我儘ですね。

  • 先日「色の博物誌」展で備前の国絵図を見て来たところだったので、児島湾の干拓地の所属争いがモチーフになっているのかなと勝手に想像した

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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