七夜物語(上) (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 663
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647771

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は? 解説・村田沙耶香。

感想・レビュー・書評

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  • 実家でずっと朝日新聞をとっているのだけれど(※父が阪神ファン)数年前帰省したときに母が「今の新聞連載小説おもしろいで、読んでみ」と言うので目を通してみたら、あら川上弘美さん!しかも挿絵が酒井駒子さん!しかし実家にいるのは年間わずか数日なので当然全部読むことはできず、いつか1冊になったら・・・というか、文庫派なのでいつか文庫になったら・・・と思ってはや数年。ようやく文庫化されたのが嬉しくて、買ってすぐ電車の中で読み始めました。

    小学四年生のさよは図書館で偶然みつけた「七夜物語」という本のせいで、クラスメイトの仄田くんと、七つの夜を不思議な世界で体験することになるのだけれど、いわゆる「本を開くたびに本の世界に入ってしまう系」ではなく(仄田くんにいたっては、本を知る前からさよと一緒に別世界へ迷い込んでいるし)、夜の世界へ至る確実なルート(タンスの扉とか)があるわけでもない。一夜めは喋る大きなネズミ「グリクエル」の台所でのお手伝いから始まる童話ちっくな展開だけれど・・・

    物語の時間が現代ではなく昭和50年代というのは個人的に共感しやすいです。さよよりは年下だけれど、自分が小学生だった頃の空気をリアルに思い出します。

  • やっと文庫になったー!嬉しい。

    前回読んだ本の解説が川上弘美さんで、不思議な縁が本を結ぶなあ。
    ファンタジーと現実世界を一番強く噛み合わせるものは、主人公の境遇だと思う。

    さよは、父親のいない子ども。
    仄田くんは、母親のいない子ども。

    社会がそれを受容しても、彼女たちにはまだ受容できないカタチ。それが痛みを伴って、分かる。
    『七夜物語』の世界は、一つの逃場。けれど、その甘やかでスリリングな世界をどう抜け出すかで、さよと仄田くんは成長する。

    中巻、下巻と、ファンタジーと現実世界にどんな変化が起こるのか、楽しみ。

  • 自分とも重ねてしまい反省したりもしばしば

  • 「小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は? 」

    上のファンタジーへの入り方、グリルレルとの出会いのシーン、さよの母親とのエピソード、頼りにならない仄田くん、よかった。とても読んでいて楽しかった。

    中・下と進む中、さよと仄田くんは成長していくのだが、わたしは成長前のこの状態の二人が好きで、だから後半は二人の会話や行動、考え方がなんだかつまらなくなってしまった。作品の良しあしではなく、私自信の好みの問題だろうか(ヘタレ男子かわいい)

    「最初の夜に料理上手な大ねずみ「グリルレル」の台所で皿洗いのお手伝いをさせられる場面が大好きだった。「行儀の悪い子供は、しつけてやらなきゃね」と容赦のないグリクレルみたいなおばさんやおじさんが昔はたくさんいた。そういう大人たちに叱られたり褒められたりしながら、家庭と学校くらいしか知らなかった私の小さな世界は少しずつ広がっていった。」
    (『小泉今日子書評集』の紹介より)

  • どうも、「ファンタジーっぽい」という感じがして、中に入り込めない。残念。

  • 上巻終了。なんだかおもしろいことが起こりそうな予感はする。さよとクラスメイトの仄田くんが不思議な本に出会いその物語の世界に入り込む。エプロンをした料理上手のネズミ、夜、はちみつ色、影、口笛、眠り。魅力的なものがいっぱい。さよと仄田くんも抱えているものがあって。さて中巻下巻とどう進んでいくか。展開がスローでじれったくもある。

  • 読みやすかった♪
    児童文学かと思いきや、『子どもの世界』の残酷さや子ども目線の大人たちの描かれ方がとてもおもしろかった✨
    あたたかさとちょっぴり切ない気持ちを残してくれる作品

  • 下巻にまとめて。

  • うーん、途中までは、これからの展開に期待したけど、サクサク話が進まないからめんどくさくなった。仄田くんうざいなー

  • 「でもなんだか、少しのあかりは、まっくらよりも、さみしい感じがするね」
    (P.222)

  • 幾ばくかの不穏な空気をまとった、大人の為の童話。

    感想は下巻にまとめよう、、、。

  • 面白かったです。
    川上弘美さんの優しくて、でもちょっとひりひりするお話と、酒井駒子さんの素敵な絵がぴったりです。
    児童書のようなファンタジーなのですが、大人が読んでも充分面白くて引き込まれます。
    さよと仄田くんは試練を乗り越えられるのか、続きも楽しみです。

  • 過去に読んだ川上さんの作品の世界感というか、雰囲気があまり得意じゃなかったので、この作品はどうだろうと恐る恐る読み始めた。
    あまりにも風変りな母親の登場に、序盤から「あぁ、やっぱり苦手かも」と思いつつ、読み進めていく。

    上巻を読み終わる頃には、この物語の虜になっている私がいた。
    さよちゃんと仄田くんが、『七夜物語』の世界に入ってから、どんどん面白くなっていくのだ。
    クラスという枠の中から、ちょっと外れ気味の二人が、この先『七夜物語』から与えられる試練を、どうやって乗り越えていくのか。
    この先が、とっても楽しみ!!

  • わくわくするファンタジーながら、大人の心に触れ始めたこどもの心をしっかりととらえています。小学生の頃の気持ちを思い出すような作品です。

  • まだなんともいいがたい。
    雰囲気は○。

  • ネタバレを極力避け、
    雰囲気と文傾向、シナリオ構成についての感想をば。

    絵本であれば「おしいれのぼうけん」
    児童文学であるならば「ナルニア国物語」を感じさせるストーリー展開。
    また、川上さんの作品がそれまでそうだったように、
    登場人物の性格を示す文章は、
    まるで日記を読んでいるかのように想像しやすく、
    読んでいてとても楽しい。

    長編ではあるのだが、
    章によってそれぞれ物語が紐解かれていくので
    少しずつ読み進める方にやさしい構成になっている。

    これから読書を習慣づけたい方にとっては
    入門編としても非常に優秀。

  • 読書部課題図書その29

  • 逃げ道としての本という存在を,生への救いの道として不思議な物語が紡がれる.子供にとっても,かつて子供だった者たちにとっても,自らが望めばいつでもそれは救いになり得る.

  • 大好きな川上弘美さんと大好きな酒井駒子さん!
    ストーリーと絵の世界観がぴったり合っていてよりわくわくして読みました。

    目立たない女の子さよと、ちょっと変わった気弱な男子が物語の中に入って冒険。
    タイトル通り、全部で7つの夜を過ごし、少しずつ、だけど確実に成長していく。
    見守るつもりが一緒に考えさせられる、とても良い本でした。
    大人にも子供にも是非とも手に取ってほしい。

  • 久しぶりの川上さん。
    タイトルと酒井駒子さんのイラストのマッチングさにフラフラと。

    シビアなファンタジー。
    でも子どもの時を振り返ると、大人よりずっとシビアな世界にいたような気がする。

    まだまだ暗い夜の世界。
    中巻に続く。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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