暗転 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 152
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647825

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】朝の通勤ラッシュ時、満員の乗客を乗せた電車が脱線した。事故の原因は何か? 被害者の一人となった雑誌編集者、事故の原因究明に走る警察官、婚約者を亡くした遺族、そして、事故原因を隠蔽しようとする会社側。4つの視点から事故を見つめるとき、本当の原因が明らかになる──。

感想・レビュー・書評

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  • 12年前に起きた尼崎の脱線転覆事故を思い起こさせる。事故当時企業側の刑事責任がなしって、今は法律変わったのか??

  • 物語を読み始めてすぐに思い出されたのは2005年4月25日に起きた「JR福知山線脱線事故」だった。
    ブレーキをかけるタイミングの遅れからカーブに約時速116kmで進入し、1両目が脱線。
    続いて後続車両も脱線した。
    死者は107名にのぼり、負傷者は562名を出す大惨事で強烈な映像とともに記憶に刻まれている。
    事故当初のJR西日本の発表では「踏切内での乗用車との衝突事故」となっていた。
    2時間後に警察発表によりこの情報は否定される。
    さらに事故から約6時間後の会見では「置石による事故」であることをJR西日本は示唆。
    直後に国土交通省が調査が済んでいない段階での原因断定を否定した発言を受けて、JR西日本もまた発言を撤回する。

    事故の当事者となった辰巳は、当初は事故のことを思い出すことも出来ないほど精神的にダメージを受ける。
    しかし、自分の下敷きになっていた女性が死亡したことを知り、またその婚約者と話したことで徐々にジャーナリストとしてではなく人間として「真実を追究する」ことに心は向かっていく。
    東広鉄道は会社を守るために、死亡した運転手にすべての責任を押しつけようとする。
    真実を知らされないまま、結果的に隠蔽工作をやらされる社員たち。
    一部の人間たちだけが決めた卑怯で姑息な隠蔽工作は、被害者たちへの裏切りでもあると思う。
    原因がしっかりと解明されなければ再び同じような事故が起きる可能性が残ってしまう。
    東広鉄道は何故気づかなかったのだろう。
    鉄道は人間という物を運んでいるのではない。
    人の命を乗せているのだと自ら気づいてほしかった。
    終盤の物語が悪いわけではない。
    ただ中盤までがよかっただけに少し惜しい気もする。
    「逃げるより、正しいことをしなさい」
    重いテーマの物語の最後にこの言葉が聞けてホッとした。
    何か救われたような気持ちで読み終わることができた。

  • 最初から引き込まれ、会社側とどんな戦いが待っているのかと期待しながらよみ進めるも、あまりにもありえない会社の対応にガッカリ。上場企業でこんなコンプライアンスの会社なんて実際に存在しないでしょう・・
    個人相手の警察小説から企業分野へ挑戦はかいますが、堂場さんにしては勉強不足。
    中盤までの展開や読ませる筆力は秀逸なので、残念です。

  • 列車事故に様々な立場で関わった人たちを描いた作品。
    一瞬、本当にあった事故なのかと錯覚を起こす。
    実際に事故にあった人、事故で身内、友人、恋人を亡くした人、事故に関わる警察、事故を起こした側の関係者。
    それぞれが重たい傷を抱えて生きていくことになるのか。

  • 事故の悲惨さは伝わるが、終わり方がいまひとつだったな

  • さまざまな人の観点から列車脱線事故について語られていく。
    そういう見方をすると登場人物は限定的ではあるが、それぞれの人の思いがはっきりとわかり共感できるところがある。
    物語の方は続編があるのかと思わせるほど、最後の最後まで事故の真相には迫らず、あるきっかけで一瞬で終わってしまう。
    もう少し突っ込みようがあったのではともったいない気がしました。

  • 本の真ん中くらいから、「この真相を突き止めねば」という話がずっとうろうろしているのに、最後の最後までなかなかとっかかりもなく、そして急にあっさり逆転という感じ。それと、その真相というのは「公表されている理由は偽りだ」ということを明らかにすることであり、じゃあ事故が起きた本当の理由は?というと最初から言われていたことが理由って・・・。その理由の本当の背景が求められていたはずなのに、そこについては偽りを暴くときにさらっとふれられただけで。話の展開としては面白かったけど、溜めた伏線のわりに”暗転”はころっと(^^;
    堂場さんの作品は物語のネタとか展開とかけっこうおもしろいのに、ときどきツメが甘い(^^;

  • 実際の事故からヒントを得て書かれているのだろうが、企業側の説明はあまりにも嘘くさくて興ざめ。

  • 2015 7 23

  • 主人公が電車横転の事故に遭うところから物語は始まり緊迫した雰囲気。話に入り込む。章により、記者、婚約者を亡くした男、警官、事故を起こした鉄道会社の社員と、目線が代わり物語は進む。

    婚約者が死んでしまった男性の章では、悲しさ、もどかしさ、無力さが胸を打つ。
    が、最後は駆け足と言うか、もっと深堀すれば重みのある話にできたのにと、著者のうっちゃり感は残念。本書者の中では好きな方な作品だが、こちらもしっくりこない感。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説などさまざまな題材の小説を発表している。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」などのシリーズのほか、、『虹のふもと』『八月からの手紙』『埋もれた牙』『ネタ元』『Killers』など多数。2014年8月には、『壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課』が刊行され、本作へと続く人気文庫書下ろしシリーズとなっている。
2018年8月、読売新聞夕刊で「奔る男 小説 金栗四三(かなくり しそう)」を連載開始。

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