終わりと始まり (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 61
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647856

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】移動する文化人として、さまざまな土地を訪れ深い思索を積み重ねてきた作家がつづる、感動、怒り、戸惑い、落胆、祈り──。3.11の大震災と福島原発事故を経て、少数者の居場所、民主主義の多数決の欺瞞などを問う、明晰で情のある名コラム。

感想・レビュー・書評

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  • 池澤夏樹『終わりと始まり』朝日文庫。

    世界情勢や日本の世相にテーマを見出だし、斬れ味の鋭い文章で我々が向かうべき未来を描いて見せた名コラム。

    2009年5月から2013年3月までに書かれたコラムで構成されている。この間に2011年3月11日に起きた東日本大震災があることから、以降は被災地、原発事故をテーマにしたコラムが増える。これまでずっと東北地方に暮らし、三陸沿岸に義理の両親が暮らし、現在は福島に暮らす自分にとっては共感することが多く、ここまではっきりと言い切ってもらえるのは非常に気持ちが良い。

    また、表題ともなっている最初のコラム『終わりと始まり』には唸らされた。女性詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの同名の詩を取り上げ、終わりと始まりを人生に例え、終わりと始まりの間の時間の重要性を示してくれる。再就職活動中でふらふらした時間を過ごす今の自分には有難い提案であり、気持ちが楽になるものであった。

  • 土地や戦争の名はどのようにつけられるのか。ミュージカル映画「キャバレー」の一場面で、その老人はなぜ歌わないのか。3・11の大震災と福島原発事故を経て、少数者の居場所、子供を産ませない社会などを問う、明晰で情のある名コラム48本。

  • 実は、池澤夏樹さんの小説を読んだことがない。
    ただ、朝日新聞に掲載される著者のエッセイは、いつも楽しみにしている。
    タイトルの『終わりと始まり』はポーランドの詩人による詩作『終わりと始まり』に由来する。

    戦争が終わるたびに
    誰かが後片付けをしなければならない
    物事がひとりでに
    片づいてくれるわけではないのだから

    この詩の、『戦争』をいろいろな言葉に置き換えてみると、いろいろなことが見えてくるし、感じられる。共感し、反発し、もう一度考えてみる。

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著者プロフィール

池澤夏樹(いけざわ なつき)
1945年、北海道帯広市生まれ。1964年に埼玉大学理工学部物理学科に入学し、1968年中退。
小説、詩、評論、翻訳など幅広い分野で活動する。著書に『スティル・ライフ』(中央公論新人賞、芥川賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『花を運ぶ妹』『カデナ』『光の指で触れよ』『世界文学を読みほどく』『アトミック・ボックス』等多数。また池澤夏樹=個人編集『世界文学全集』、同『日本文学全集』も多くの読者を得ている。旅と移住が多い。
2018年9月から、日本経済新聞にて連載小説「ワカタケル」を連載。

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