シフォン・リボン・シフォン (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 199
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647887

作品紹介・あらすじ

乳がんの手術後、故郷に戻ってランジェリーショップをひらいたオーナーのかなえ。彼女のもとを訪れる、それぞれの屈託を抱えた客たちは、レースやリボンで飾られた美しい下着に、やさしく心をほぐされていく。地方都市に生きる人々の希望を描く小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 人を大切に、とは日々思うことだけど、自分を大切に、とはそんなにいつもは思わない。
    この小説を読んで、自分を大切にしなきゃ、と思えた。

    乳がんの手術後、東京から故郷の地方都市に戻ってランジェリーショップを開いたオーナーのかなえ。地方にはなじまない輸入ものの下着が並ぶショップは、ネット販売があるから成り立つと言えるほど、訪れる客は少なかった。
    しかしその数少ない客は皆それぞれの屈託を抱えていて、レースやリボンで飾られた美しい下着に、優しく心をほぐされていく。

    綺麗な下着をつけていると、自分を大切に扱っているような気持ちになる。
    この小説の登場人物の1人が語った言葉について、しばし考えた。私も綺麗な下着は好きだけど、そんな風に考えたことがあっただろうか、と。
    女性の美しい下着は、何も誰かに見せるためだけにあるわけじゃない。つけているだけで気分が上がったり、自意識を満たすためにも存在するものだ。

    顔は綺麗じゃないのに胸だけが大きすぎるというちぐはぐさをコンプレックスに思う女性や、男として産まれながらその性に違和感を抱える男性などが、かなえの開いたランジェリーショップの客として登場する。
    とくに濃密な接客をするわけではないけれど、彼らはその店の存在に癒されていく。抱えてきたものを、解き放ってもいいのだ、という安心感に。

    当のかなえは30代の頃に乳がんで片方の乳房を失っている。再建手術はしたものの完全ではなく、この先恋愛をすることも半ば諦めている。
    そんなかなえだからこそ、乳房を失ってしまった人用の下着に着目していち早くそれを取り入れたり、経験者だから分かることを人々に分け与えるような働きをする。

    個人的なことで言えば私の母も乳がんで片方を部分摘出している。母は既に60代だったから「別に今さら胸なんて無くてもいい」くらいの潔さだったけれど、若ければ若いほどこだわりや執着はあるだろうし、そこまですぱっと割り切れるものではない。
    他人はそこまで気にしていないと分かっていても、自分は気になるという事実は変えられない。
    そんな時にかなえのような人に出逢えたら、きっと心強くなれる。

    女のこだわり、女の幸せ、女だから分かる執着。複雑さと温かさが詰まった物語。
    自分をもっと大切にしよう。前向きにそんなことを思った。

  • フリフリヒラヒラを連想させるタイトルだったけど、読み始めてみたら思ったより現実的。乳ガンの話も知らないことばかりで色んな発見があったけど、どちらかというと、周りに(無意識に)虐げられて苦しんでいる人たちの話だった。

    最初の話で、娘をコントロールするために、お前の胸は大きすぎてみっともない。だらしない。慎みがない。と責める親がいた。
    でも字面にするとわかるけど、それって性格に関係なくないか?
    因果関係が全くないこじつけだ…。

    赤い下着を着たくらいで、そんないやらしいもの!と目くじら立てるほどかなぁ。
    確かに下着を外に堂々と干してたら怒るかもしれないけど。
    解説に、素敵な下着を身に付けると、自分が大事にされている気がする。とあって、確かに。と思う。
    下着→性的アピール→おおっぴらは慎みがない
    ではなく
    下着→魅力のひとつ→恥じらいが大事
    と考えたい。

    男友達が、ショーツにリボンを着けることを考えた人は神だ!と熱く語っていたことがあったが、
    確かに、人目に触れさせるでもなく、実用性皆無なのに、可愛い素敵なデザインのもので、かつフィットするとスタイルも良くなって、本当に気分が上がる。

    高ければ良い訳じゃないけど、自分のためにかけるお金の使いどころは自分が魅力的になれるために使うべきだと思った。

  • タイトルがなんだか甘い優しい物語を予想させるけれど
    近藤史恵さんの小説だもの、そうはいかない。
    胸の奥が痛くなるような現実を抱えながら
    自分では気がつかない闇に蝕まれていたりもしながらも
    いつもと違う、美しい下着で気持ちが癒され
    一歩、前に進むことで、思ってもいない前が開ける
    つらい現実も、明るい未来も、ドンとこいな気分になれる
    すてきな小説でした

  • 何の気なしに読み始めたのだけど
    とても良かった。

    じんわり。じんわり。

    自分を大切にするためだけの下着を買いに行きたくなる。

    親子と時代の流れ。

    お上手でした。

  • 話が心に響きすぎる程強烈で、私には合いませんでした。痛くてその先にいけない、そんな本です。
    ただ、繋がりのある短編集みたいなものなので、他の話は読むことが出来ました。

  • 20170725 読みやすくて、心がほっとする話だった。きれいなものを見るだけで、心が前向きになる。ただ、きれいなものだけを見てはいけない。主人公が魅力的だった。

  • 読みやすかった。下着屋の店員を中心にそこのお客を絡めた日常のお話。好きな作家さんの一人。

  • 2017/2/2
    1話目が最も揺さぶられた。
    毒親に腹が立って腹が立ってそれにいいように使われてる娘にも。
    最後に洗脳が解けてよかったけど。
    少し自分と重なるんだよね。
    だから叫びだしたくなるような感情が沸いてきて困惑する。
    私はここまでじゃないと思うし、それぐらいはどこの家でもあるだろうとも思う。
    現実は捨てるほどじゃないと思うからフィクションでは捨てて欲しかった気もする。
    いい下着とパジャマが欲しい。

  • 近藤さんの書く本に出てくる「母」や「介護」っていう存在っていうのは、すっごく身近で、逃げたいけど逃げられない。関係を切ったら、自分もその傷口がふさがらない。だけど、、、すごく、悩ましい存在として描かれていて、そんな中でも自分の人生を生きていく人のお話がちりばめられている。ほっとするな。
    こういう下着。ほしいな。それとパジャマもね。

  • 自分を大切にすることは人に大切にされることとは訳が違う。
    自分の体に合った素敵な下着を着けるとき、外の世界でも私自身を失わず私でいられると言ったら大袈裟だろうか。
    特別な日を生むのは自分だ、そう思うと自分を大切に名一杯可愛がってあげたい気分になる。

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