ふくわらい (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.57
  • (146)
  • (288)
  • (288)
  • (74)
  • (20)
本棚登録 : 3803
感想 : 329
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647900

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ふくわらい(朝日文庫)
    著作者:西加奈子
    日常的にに於いても共感で人、物事を判断しないようにしたい。好き嫌いで判断してはいけない。いや人である以上、そこが難しい事です。
    朝日新聞出版
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 西加奈子の書く主人公は、時折突拍子も無いことをする。決して綺麗でもないし、格好良くもない主人公たちは、突拍子も無いことをするのに、それを自然と受け入れるようなキャラクターになっている。
    ふくわらいの主人公である、定もそうだ。
    脇毛は剃っているが、腕や足の毛はボウボウ。
    化粧もしないし、風呂に入らなくても平気だ。
    たくさんのことを知っているようで、世間一般の女性が持つ感情やスタイルなどは一切持っていない。
    周囲は、定を特異な人種と見るのに、気がつけばそれでいいのだと思わせる。
    守口廃尊に小暮しずく。乳母であるテーに武智次郎。
    彼女を取り巻く、普通でいて普通では無い人たち。
    そもそも、人肉を食べたことのある定自身が普通では無いのだ。
    定は、人肉を食べている。
    それは、部族のものであったし、父のものでもあった。
    旅をし本を書く定の父は、普通では考えも及ばないことを定に教えてきた。
    雨乞いの仕方。
    カバから逃げたず方法。
    定の中には、父のすべてがいたし、父のすべてがあった。

    人の感情は、経験に基づいて作られることが多いと思っている。
    知らない感情には反応できないだろうし、教えられなければわからない感情だってある。
    定は、泣いたことがなかった。
    けれど、守口廃尊や小暮しずく、武智次郎に出会ったことで、今まで知らなかった感情を覚えた。
    先っちょだけ。
    武智が言った。
    先っちょからすべてが広がると小暮しずくが言った
    猪木になれなかった守口の言葉たちは、読むだけで心を熱くしたし、泣かずにはいられなかった。
    後半、とても胸が締め付けられる。
    だけど、その胸の締め付けを感じることが大切な気がした。
    とても素晴らしい作品だ。

  • 人の表情は特別

  • すごく好きな話でした。
    主人公・定が何とも魅力的で愛らしい。
    私の中で今、西加奈子さんがアツい…
    どハマり中です。

  • 中盤ぐらいまでなんだか難しい物語だなと思っていたけど、だんだんあたたかくて色のある世界に移ろっていく雰囲気が気持ち良かった。

  • 第1回河合隼雄物語賞受賞
    著者:西加奈子(1977-、イラン・テヘラン、小説家)
    解説:上橋菜穂子(1962-、東京都、小説家)

  • 純粋すぎるやろー!
    主人公の定といい、守口廃尊といい、いいキャラしてます。

    読了感はふわふわした感じでした。

  • ◼️これはなんか好きかも、って話でした。武智さんがただ、正直な人だったなぁ
    相変わらずなんか独特の世界で現実的じゃなさそうなんだけどでも感情表現の不器用さとか処女とかそういうところがうまく世間と溶け込めないところはすこしわかるというか近いところあるかなって思ったりするのでわりと好きだったかな。最後があんなに常識的でロボットと揶揄されてる定がそんな行動を…!っていう意外性だった。

  • 仕事や将来、自分自身について考えては不安に駆られる今日この頃。読み始めたらやめられなかった。人とのつながり、感情というものへの理解度が徹底的に低い主人公だが、徹底的に同時に強いのが、他人の目が一切気にならないということ。凄い。自分らしくありたいと思いつつ、他人の目にどう写るかとても気にする自信欠如の自分と大違い。そんな主人公が大成長を遂げる姿、その道中に出会う個性的で魅力的な人たち、すべてにぐいぐい引き込まれ、皆の、特に主人公の温かい将来を願う自分。

    強くなりたい。周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れちゃあいかん。

  • 独特な世界観。読んでいる時間は、変な夢を見ている時の感覚と似ていたものを感じた。

    私には読み終えた時の読了感はあまりなかったものの、他の方が投稿された感想を読んで、深い洞察・観点をインプットした後に始めて「視野が広がる、おもしろい本を読んだかも」とも思えた。

  • とても不思議なんだけど、妙に納得がいくし理解できる作品

    いろんなシーンでいちいち切なくなり
    いろんなシーンで泣きたくなった

    西加奈子さんの小説は
    私の中の何かをあばく不思議な力がある

    私は定と小暮しずくを足して2で割ったような感じかもしれない

    両方の感じがわかる

    そして、自分は小暮しずかである事が正解だと思い、そっちばかりを表に出して、定の感覚を表に出さないように生きてきた気がする


    だからこそ、この小説の定の行動や思考や起きることは、私に自分の中のいろんなものを気づかせてくれる

  • 顔や文章のパーツの組合わさり方に感動を覚える女性、丸木戸定が、愛とか諸々の他者とのつながりにも感動を覚えていく話。

    最初から最後まで読者の五感の想像力を攻めてくる小説(特に嗅覚と味覚)。
    読後感はある程度良いけど、読んでる途中で気持ち悪くなる描写が多々あり。挑戦的な小説だなー。

    三人で会話する愉快なシーンが二回ほどあった。

  • かなりエキセントリックでグロテスクなシーンもある。
    だけど、主人公の話をもっともっと聞いていたいと感じるのは、彼女のまっすぐで深い視線のせいだろう。
    超エキセントリックな彼女の父親が、彼女のそういう資質を愛し、育んだことを思うと、この話は、最初から、人と人のつながりの物語でもあるのだろうか。

    出てくる人物は、これでもか、これでもか、というぐらい灰汁が強い。だけど、最初のうちは、ポツンと輝くひとつ星のようだった彼女が、そんな人とのつながりの中で輝き出すようで、楽しい。深く物を見れる人は、深く誰かとつながれるのかな。その人のほんの一面を垣間見るだけであっても、そうやって、誰かとつながれるのはいいもんだ。

    登場人物の中では普通に近い、職場の後輩の美人さんと彼女が親しくなっていくところが、まるで自分自身が彼女と近づいていくみたいで、いい。もちろん、私は、美人ではないけど。

  • 始めはグロテスクな表現が吐き気すると思って読み進めた。でも、作者の思惑通り?か、段々とグロテスクって思うのはそもそも何で?と思うようになり、主人公も、その周りの人たちも皆好きになっていた。

    始めの方に描かれていた、福笑いを主人公が好きになった場面が好き。所詮は、子供の遊びと思うものも、実はひとつひとつ丹念に見ていくと、とても奥深いものなのかもしれないと思わされた。

    今後西さんの他の本も読みたいと思った。メディアで見たご本人のさらっとしたイメージとはちょっと違ったけど、やはり面白い。グロく無いのもあるのかな、、、あるといいな。

  • 初、西加奈子。にしては、毒強めのものを選んでしまったかも。色々強烈。次はもっと読みやすそうなのを読んでみよう。

  • ことばに真摯に。
    からだが、ことばが、自分が、そのひとたるということ。
    なんだか泣きたくなった。

    解説もよかった。愛を感じた。

  • 西加奈子1冊目。
    クセのある登場人物ばかり。でも魅力的。どんどん引きこまれて読んだ。

  • 西加奈子作品はサラバに次ぐ二作目。ビビッドな描写や、強く揺さぶってくる激しい感じは似ているけど作者の暖かさを感じる。

  • 淡々として奇妙なのに、愛のあふれたものがたり。読後感もよい。

  • 幼いころに出会った「ふくわらい」
    好きすぎて人の顔のパーツを心の中で自在に動かす癖がついてしまった主人公「定」

    心の機微がわからない、感情を理解できない
    かなりの変わり者。

    この人の作品は「ちょっと変わってるけど純粋」な登場人物が多いけど
    これは純粋というより疾患では・・と最初は拒絶感の方が先にたった。

    なのに読んでるうちにどんどん魅力的に思えてしまう不思議。

全329件中 61 - 80件を表示

著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×