ふくわらい (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.57
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本棚登録 : 3818
感想 : 332
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647900

感想・レビュー・書評

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  • 仕事や将来、自分自身について考えては不安に駆られる今日この頃。読み始めたらやめられなかった。人とのつながり、感情というものへの理解度が徹底的に低い主人公だが、徹底的に同時に強いのが、他人の目が一切気にならないということ。凄い。自分らしくありたいと思いつつ、他人の目にどう写るかとても気にする自信欠如の自分と大違い。そんな主人公が大成長を遂げる姿、その道中に出会う個性的で魅力的な人たち、すべてにぐいぐい引き込まれ、皆の、特に主人公の温かい将来を願う自分。

    強くなりたい。周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れちゃあいかん。

  • 独特な世界観。読んでいる時間は、変な夢を見ている時の感覚と似ていたものを感じた。

    私には読み終えた時の読了感はあまりなかったものの、他の方が投稿された感想を読んで、深い洞察・観点をインプットした後に始めて「視野が広がる、おもしろい本を読んだかも」とも思えた。

  • とても不思議なんだけど、妙に納得がいくし理解できる作品

    いろんなシーンでいちいち切なくなり
    いろんなシーンで泣きたくなった

    西加奈子さんの小説は
    私の中の何かをあばく不思議な力がある

    私は定と小暮しずくを足して2で割ったような感じかもしれない

    両方の感じがわかる

    そして、自分は小暮しずかである事が正解だと思い、そっちばかりを表に出して、定の感覚を表に出さないように生きてきた気がする


    だからこそ、この小説の定の行動や思考や起きることは、私に自分の中のいろんなものを気づかせてくれる

  • 顔や文章のパーツの組合わさり方に感動を覚える女性、丸木戸定が、愛とか諸々の他者とのつながりにも感動を覚えていく話。

    最初から最後まで読者の五感の想像力を攻めてくる小説(特に嗅覚と味覚)。
    読後感はある程度良いけど、読んでる途中で気持ち悪くなる描写が多々あり。挑戦的な小説だなー。

    三人で会話する愉快なシーンが二回ほどあった。

  • かなりエキセントリックでグロテスクなシーンもある。
    だけど、主人公の話をもっともっと聞いていたいと感じるのは、彼女のまっすぐで深い視線のせいだろう。
    超エキセントリックな彼女の父親が、彼女のそういう資質を愛し、育んだことを思うと、この話は、最初から、人と人のつながりの物語でもあるのだろうか。

    出てくる人物は、これでもか、これでもか、というぐらい灰汁が強い。だけど、最初のうちは、ポツンと輝くひとつ星のようだった彼女が、そんな人とのつながりの中で輝き出すようで、楽しい。深く物を見れる人は、深く誰かとつながれるのかな。その人のほんの一面を垣間見るだけであっても、そうやって、誰かとつながれるのはいいもんだ。

    登場人物の中では普通に近い、職場の後輩の美人さんと彼女が親しくなっていくところが、まるで自分自身が彼女と近づいていくみたいで、いい。もちろん、私は、美人ではないけど。

  • 始めはグロテスクな表現が吐き気すると思って読み進めた。でも、作者の思惑通り?か、段々とグロテスクって思うのはそもそも何で?と思うようになり、主人公も、その周りの人たちも皆好きになっていた。

    始めの方に描かれていた、福笑いを主人公が好きになった場面が好き。所詮は、子供の遊びと思うものも、実はひとつひとつ丹念に見ていくと、とても奥深いものなのかもしれないと思わされた。

    今後西さんの他の本も読みたいと思った。メディアで見たご本人のさらっとしたイメージとはちょっと違ったけど、やはり面白い。グロく無いのもあるのかな、、、あるといいな。

  • 初、西加奈子。にしては、毒強めのものを選んでしまったかも。色々強烈。次はもっと読みやすそうなのを読んでみよう。

  • ことばに真摯に。
    からだが、ことばが、自分が、そのひとたるということ。
    なんだか泣きたくなった。

    解説もよかった。愛を感じた。

  • 西加奈子1冊目。
    クセのある登場人物ばかり。でも魅力的。どんどん引きこまれて読んだ。

  • 西加奈子作品はサラバに次ぐ二作目。ビビッドな描写や、強く揺さぶってくる激しい感じは似ているけど作者の暖かさを感じる。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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