ことり (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1083
レビュー : 112
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648037

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりをよく理解し、こよなく愛する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。小鳥たちの声だけに耳を澄ます二人は、世の片隅でつつしみ深く一生を生きた。やさしく切ない、著者の会心作。解説・小野正嗣。

感想・レビュー・書評

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  • 大事に読んでいきたい物語でした。社会の片隅で生きている小鳥のおじさん、そしてお兄さん。毎日、何も変わらず悪い事は起こらず穏やかに過ごせますようにと祈りに似た気持ちで読んでいました。

    • 大野弘紀さん
      小川氏の小説は

      どこか永遠と刹那が共存しているかのようで

      祈りたくなりますね

      悲しくても
      愛しくても

      小川氏の小説は

      どこか永遠と刹那が共存しているかのようで

      祈りたくなりますね

      悲しくても
      愛しくても

      2019/04/12
  • 琥珀のまたたきを読んで、このかたの作品をもっと読みたくなり、ことりも読みました。読みやすくて表情豊かな日本語、日常から近すぎず遠すぎもしない世界観、ゆっくり流れる時間、想像したくなるモチーフ、どれにもとても満足しながら読書時間を過ごせました。

  • 一心に耳を澄ます。
    ひょっとしたら今、減ってきていることかもしれない。

    それをとても大切にして暮らす、兄弟二人。
    狭くて、世の中の中心から少し離れてはいるけれど、静かで平和で穏やかな世界。
    もっと続いてもいいはずのに。

    もろさと哀しさがじんわりと胸にしみる。
    心に残る作品のひとつとなった。

  • どこまでも静謐でどこまでも切ない。少しずつ、静かに幕を閉じるような物語だった。
    この作品には小父さんの名前や住んでいる地名など、名前の記述が一切ない。
    でもその不完全さが想像力を掻き立ててくれる。

  • 読むのつらかったけど、なんか最後の50ページで全てがどうでもよくなった。この50ページのために読んでたんだと思ってたら、最初の数ページが全てだった……。

  • どこまでも優しい愛の歌が散りばめられている。なんともか弱く、なんとも愛らしい。週末は図書館へ足を運び、鳥の図鑑でも借りてこようかな。もちろん、返却は二週間後で。

  • 人の言葉とは違う小鳥のさえずりのような独自の言葉ポーポー語を持つ兄と、兄の言葉を唯一理解できる弟・小鳥の小父さん。
    二人の間に流れる静か時間。そこには他者を寄せ付けず小鳥のみ存在する。

    物語全体を覆う静寂、喪失、老い、孤独。
    「幸せ」とは他人によってあれこれと決めつけられる筋合いはなく、本人がどこまで満足して生きていけるのか、深く静かに問われたような気がした。
    小鳥の小父さんが最期まで共に過ごした一羽のメジロ。
    他の者と替えることのできない、たった一羽のメジロの言葉を理解し寄り添う人生…それもまた幸せなことだと思った。

  • なぜ不完全な体や精神に魅かれるのだろう。ことりというタイトルから想像ができない、いわゆる健康で明るい生活とはかけ離れた状況を美しく繊細なことばでつづらる静謐な世界。甘い紅茶を感じる。なぜこの中の人は(登場人物と表現するのは苦手だ)儚いものを好むのだろう。

  • 静かな作品。
    独自の言葉、それはポーポー語だと途中から勝手に思い込んでいたのだけど、を話すお兄さんと、そのポーポー語を理解しひっそりと兄に寄り添う弟の話。
    幼い頃住んでいた古い洋館のある街を思い出しながら読んだ。母は幼い弟を慣れない北の地で育てるのに必死で、私はいつも1人で本を読んでいた。図書館に行く途中、洋館のカナリアの鳴き声を聞きながら、つながれたブルドッグを撫でた。
    いつも静かな街だった。そんな景色と街の匂いを思い出した。

  • 『世の片隅で、小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生』

    小父さんも、その兄も、人間社会には馴染めない存在である。
    兄はポーポー語を話すけれど、人の言葉は話せない。かといって、ポーポー語を使って鳥の社会に踏み込むような不遜な真似も決してしない。
    結局、二人はどちらに属することもしないまま、だからこそ、二人の世界の無変化を大切にしてゆく。

    不思議なのは、どちらに属することも出来ない小父さんなのに、決して孤独になりきれないということだ。
    園長先生がいて、司書の女性がいて、青空薬局の店長がいて、子供たちがいて、メジロがいる。
    どちらの世界にもいる、普遍的なうつくしいもの、が彼の周りから消えてなくなることはない。

    だから、静かで淋しげな佇まいをしていても、いつも決して孤独ではない。

    そんな、ほんの少しの柔らかい陽光が、小川洋子の描く小説らしくもあり、小父さんのような存在が、この世界のどこかをほんの少し満たしている様子を想像してしまうのだった。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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