道然寺さんの双子探偵 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 227
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648181

作品紹介・あらすじ

消えた香典の行方、水子供養に隠された秘密。道然寺の若和尚・窪山一海が巻き込まれる謎の数々を先に解決するのは、人を疑うレン?それとも人を信じるラン?生老病死-いつの世も人は苦悩を避けられない。捨て子だった双子探偵は、様々な出来事をどう受け止めるのか。

感想・レビュー・書評

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  • “珈琲店タレーラン”シリーズの作者による、福岡県のお寺が舞台の日常ミステリ。
    道然寺の若和尚・窪山一海(くぼやま いっかい)の周りで起きるさまざまな謎の出来事を、中学生の双子・姉のランと弟のレンが推理する。
    一海は、真面目で考えも深いし、ちゃんと若和尚を務めているのだが、何かといじられてトホホな感じ。
    お人好しだからか。

    双子は、寺に捨てられていたという過去を持つ。
    そのせいか、レンは物の見方もシニカルで、人間の行動をナナメに見るきらいがある。
    ランは逆に、性善説にのっとって推理する。
    物の見方が逆ならば、推理も真逆。
    反対から光を当てることで、見えなかったものが見えてくるのが面白い。

    人気シリーズを持つと、“○○の方が良かった”などと言われがちだが、この作品は、一海さんのフラットな視線も良いし、双子や、お手伝いさんのみずきのキャラも良い。
    加えて、お寺という舞台は様々な人間模様が垣間見られそうだし、たくさんの檀家さんともかかわるし…シリーズとして続いてほしい気がします。
    キャラ達の、この後の成長を見たいです。

    第一話 寺の隣に鬼は棲むのか
    資産家のお葬式で、香典袋の中身が無くなる。
    若い後妻は、受付のお手伝いさんを疑うが…

    第二話 おばあちゃんの梅ヶ枝餅(うめがえもち)
    商店の子に生まれたことへの複雑な思い。

    第三話 子を想う
    水子供養をしたから新しい子を授かった、と吹聴する若い主婦の真意は?

    第四話 彼岸の夢、此岸(しがん)の命
    彼岸の入りの日、一海と双子たちの夢枕に女性が立つ。
    見知らぬ人が伝えたかった願いを解く。

  • 元々は捨て子で、寺に拾われて暮らす男女の双子、
    レンとランが探偵役。
    物語自体は、寺の若住職目線で進む。

    連作短編集で、寺の人や周辺人物が遭遇する
    大小さまざまな謎を、双子が解いて行く。
    が、この双子が、それぞれ「正反対の推理」をする(^ ^;

    「寺の隣に鬼が住む」を座右の銘とするレンは、
    いわば人間性悪説の立場から物を見るきらいがある。
    反対にランは「仏千人神千人」とよく口にする、
    若住職と同じくお人好しで情にもろい。

    この二人の「正反対の推理」が、それぞれ破綻無く
    「なるほど」と首肯できるよう構成された文章は、
    かなり緻密に練り上げられている。

    さらに一冊を通して双子や若住職の成長が描かれ、
    また双子の出自に関わる謎や、最後に新たな展開もあり、
    これは続編を出す気満々と見た(^ ^

    ミステリに分類したが、どちらかと言うと
    人情もの、ヒューマンドラマかも(^ ^
    GW中に一気読みしてしまいました(^ ^

  • なかなかよかった。あるときは性悪説でなされた推理を性善説で否定、またあるときは性善説でなされた推理を性悪説で否定する。人には両方の面があるということ。
    お寺さんが舞台ということで、どことなくほっこりとするお話になっています。仏教に関わる人全てがそうではないでしょうが、基本的にこの話でお寺に関わる人は心の優しい人ばかり。その点も、なんかほっとする。

  • 小説トリッパー2014年夏季号、2015年春季号〜秋季号の連載に加筆修正して、2016年6月朝日文庫刊。4つの連作短編。お寺に暮す中学生のランとレンの双子のコージーミステリー。1話めの解決が、スッキリせず、消化不良気味ですが、残り3話は、うまくできていて楽しめました。

  • 赤ん坊の時に捨てられ、寺に引き取られた双子・レンとラン。
    双子はずっと寺で育てられ、現在中学生だが、正反対の性格をしている。レンは性悪説を心情にするゲーム大好き今時男子。ランは性善説を信じる甘いもの隙のおっとり女子。寺の息子で若い住職である一海の周りで事件が起こるが、この双子のひらめきが謎を解くきっかけになる。

    一話目は、葬儀の最中に消えた香典の謎。
    資産家の老人がなくなり、その葬儀の最中に4人の子供たちが出した香典が消え、受付をしていたお手伝いの泰恵に疑いが向けられる。故人の後妻である幸代は特に泰恵を疑ったが、泰恵のアリバイは故人の4人の息子たちによって保障された。

    二話目は、寺になじみのある和菓子屋の孫娘が、急に店の商品である菓子を拒絶したという謎。
    孫娘は何故か最近早く登校するようになっていたが、その理由も分からない。

    三話目は、水子供養にきた女性の夫が、一海と妻の中を疑うところから始まる話。
    寺のお手伝いで、一海の縁者であるみずきは英会話教室に通っており、その生徒仲間の優奈から、寺で水子供養をしたいと依頼を受ける。
    みずきは一海に供養を頼み、それは無事に執り行われるが、後日優奈の夫・俊一が、一海と優奈の仲を疑って寺にやってくる。
    優奈は子供を持ちたいと思っていたが、その前に水子の供養をしにきたと言った。しかしその時点ですでに妊娠しており、それを夫に隠していた。夫は優奈の相手が自分でなく他の人なのではないか疑っている。
    そして優奈夫婦の背後には嫁姑問題も隠れていた。

    四話目は、一海と双子が、それぞれ似たような女性の夢を見たところから話が始まる。
    夢に出てきたのは双子を捨てた母なのではないかと考える。
    そんなとき、警察から引き取り手のない遺体の供養の依頼が来る。亡くなったのは女性で、35歳の女性。事故死だったが親に勘当されて身寄りがなく、遺体の引き取り手がいないとのことだった。
    そしてこの女性には出産の形跡があった。
    一海はこの女性がレンとランの母なのではないかと考える。

    推理物ではあるんですが、寺が舞台なだけあり、どれも人情味を大事にした話です。
    捨て子を引き取る、血の繋がってない家族になることの難しさが描かれているけど、それでも最終話で助けた赤ちゃんを引き取ることにしたという結末に心がジンワリしました。

  • 「寺の隣に鬼は棲むのか」
    消えた香典と虚偽の真実。
    傍からみたら尽くしていたのは彼女だったのかもしれないが、彼等は遠縁に住んでいる訳なのだから24時間全ての出来事は把握しきれてないだろうにな。
    歳の差が大きく病を患っている人間と結婚となると、どうしても愛情よりその後の遺産目当てではと勘繰ってしまうのだろうな。

    「おばあちゃんの梅ヶ枝餅」
    思わず投げ返した和菓子。
    今となっては意味の無い嫌がらせに一人でずっと戦ってきた彼女にとって、タイミング悪く渡された梅ヶ枝餅は悪意にしか感じなかったろうな。
    自分からアプローチをしていたのか、もしくは振られた後なのかは分からないが彼女に対し嫉妬し嫌がらせをするのは筋違いではないだろうか。

    「子を想う」
    勘違いし乗り込んできたのは。
    義母から護るまでは良かったが、一度妊娠し経過を知っているはずの彼には週数の知識を得る機会が無かったのか少し気になるな。
    宗教らしい物に感化された考えを持つ母親という事を知っていたのであれば、最初から安定期に入るまで伝えないという手もあったのではないだろうか。

    「彼岸の夢、此岸の命」
    夢の中に出てまで伝えたかった事。
    双子と彼の夢に出てきた人物が違っていたのは、互いに簡単な特徴を当てはめたからだろうが立っていた場所まで同じとなると少し引っかかるよな。
    貧困でDVを受けていても彼女はきっと必死に小さな命を育てるつもりだったのだろうが、彼女の身体は限界だったのだろうな。

  • 道然寺の住職の息子である一海さん視点の語りで物語が進みます。この寺に住む中学二年生の双子、ランとレンのふたりが一海さんの身の周りでおこった様々な出来事に対して推理をおこない事の真相を解き明かし当事者を救うという構成になっています。
    双子による推理は事件の性質と二人の性格とも相まって、片方の推理にちょっとした誤りが含まれており、もう片方の推理がそれを正すという構図なのですが、1~3話まではいわゆる”安楽椅子探偵”の様相を呈しており、後から語られるほうの(=真相を言い当てている)推理がなぜそのように行き着いたのかの手がかりが乏しい、あるいはラン or レンだけが知っている事実によって推理が展開されており、読者として作中に散りばめられたヒントを回収する(回収してもらう)機会がないのがちょっと残念なところ。
    が、最終話である4話だけは双子の生みの親かもしれない人物を巡って、赤ん坊の隠し場所や南京錠の番号など、事前のヒントを手繰り寄せながら読み手としても謎を解決してゆく楽しさを味わえる構成になっていました。1~3話を読んだ時点では二巻は読まなくてもよいかと考えていましたが、やっぱ二巻も読んでみようと思えた最終話の面白さでした。

  • んーーー。
    残念だけど、私には合わなかったみたい。
    お寺に子供を捨てるって、いつの時代だよってのは置いといても。
    双子たちの性格が、どちらも好きでない。
    中学生なので、子供っぽいのは当然かもだけど、あれはないわー。
    お寺の宗教法人だけど儲けてることをあまりに正当化するのにも違和感。
    さーて、次行こ。次。

  • 『娯楽』★★★☆☆ 6
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★☆☆☆ 4
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★★ 5
    「作家」★★★☆☆ 3
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》71 B-

  • 流行りの日常の謎タイプの作品ですが、お寺の住職が主人公になっていて、仏教の知識が散りばめられていることろにオリジナリティがあります。
    影の主役である双子が常に裏表の推理を展開していくパターン化された展開も、裏を想像する楽しみに繋がって良いと思います。

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著者プロフィール

岡崎 琢磨(おかざき たくま)
1986年生まれ、福岡県出身。京都大学法学部卒業。元々ミュージシャン志望であったが作家を志すようになり、大学卒業後に福岡県に戻って執筆を続け、第10回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が残った。手直しして刊行されたところ、大ベストセラーとなり第1回京都本大賞を受賞。のちに「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズ化された。
ほかにもミステリ作を多数刊行しており、新刊に『夏を取り戻す』『九十九書店の地下には秘密のバーがある』。

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