聖なる怠け者の冒険 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648228

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】社会人2年目の小和田君は仕事が終われば独身寮での夜更かしを楽しみとする地味な生活。ある日、狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」との出会いから、めくるめく冒険の一日が幕を開ける。第2回京都本大賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • 単行本で読んでいたけど、メッセージカード欲しさに文庫を購入、そして宵山の土曜日に再読。祇園祭の宵山のある土曜日の話。主人公が大学生から社会人に変わってもモリミーワールドは健在、正義の味方ぽんぽこ仮面を巡る長くて濃い1日の話を堪能しました。宵山という非日常、幻想的な空間で展開する不思議な世界が愉しい。『有頂天家族』や『宵山万華鏡』とリンクしていて、宵山万華鏡でも印象的だった赤い浴衣の女の子が今作でも登場。下鴨幽水荘や閨房調査団が出てくるのもニヤリとしたところ。怠け者万歳!私も人間である前に怠け者です。

  • 2009年6月から2010年2月まで、朝日新聞の夕刊で連載していたものを、大幅に加筆修正(ほとんど長編丸々書き換え)して単行本化。さらに文庫化にあたって大幅にスリムにした作品。この文庫になるまでに、二度生まれ変わっているのが、この作品が難産だったことを言い表している。

    関西、とりわけ京都を舞台にした不思議物語において森見登美彦さんの右に出るものはいないと個人的に思っているし、森見さんファンの多くが同じ感情を持っていると思う。『聖なる怠け者の冒険』も例外なく、京都をふんだんにちりばめた不思議物語だ。

    ちなみに青春まっただ中ダメ男子学生を描かせても右に出るものはいないが、本作品に青春まっただ中ダメ男子学生はいない。いるのは怠け者たちと、土曜日をいかに生きるかに心血を注ぐ者だけ。

    物語は宵山の土曜日が舞台となる。

    ・主人公は怠けるためには手段を問わないという青年、小和田くん。
    ・小和田くんの知り合いカップルの恩田先輩と桃木さんは、土曜日をいかに充実させるかに命をかけ、スケジュール帳をまっ黒にしている。そしてそこに必ず小和田くんを巻き込もうとする。
    ・京都に現れる正義の味方「ぽんぽこ仮面」は日々人助けに暗躍する。しかし引退を考えているらしく、なぜか小和田くんに跡を継がせようと小和田くんを追いかけ回す。
    ・探偵事務所の浦本探偵と玉川さんは、依頼人からの指示で「ぽんぽこ仮面」の正体を暴くべく奔走する。そして「ぽんぽこ仮面」のしっぽをつかむために、小和田くんを尾行する。

    宵山の土曜日に起きる、怠け者の一日の冒険を描いた、不思議な夢のような作品。

    主人公は通常自ら動き回らないと物語が成立しないものだが、こちらは例外。小和田くんは自ら動かない。動かぬ主人公がどんな物語を紡ぎだすのか。

    森見さん自身があとがきや別のインタビューで、「難産だった」「暗礁に乗り上げかけた」などと話しているように、物語として成立させるのに大変な苦労があったようだ。主人公が何かを成し遂げたり、何かに役に立ったりするのではなく、ただ“聖なる”怠け者として何もなさぬままに冒険して、最終的にその物語が収束するにはどうすればよいのか。苦しみぬいてできたのがこの作品だ。

    「怠け者であることが冒険になる」というコンセプトのため、主人公が大活躍するような普通の盛り上がりを求める読者には、少々退屈かもしれない。

    特筆すべきはこの物語の語り手が「筆者」であること。筆者が登場人物たちを俯瞰し、時に応援しながら描写する様は、森見さんが登場人物に命を吹き込んでいる場を目撃しているようでとても新鮮だった。

  • 愛すべきアホウのお話し。やっぱり好きです、この空間。
    本当の京都にもいたらいいのに、ぽんぽこ仮面。探してみて、柳小路に本当に八兵衛明神があったのにはかなり感動した。雰囲気も大分リアルだったし。
    実生活が辛い時期だったので、このアホウな空気に大変助けてもらいました。ありがとう。

  • 今回も、やはりやはり不思議世界でした。
    最近、立て続けに森見さんの本を読んでいるので、他の本の話もちょこちょこ出てきて、ちょうどよかったです。
    絵も素敵で、特に「アルパカ」!
    素敵すぎます。
    ちょっとした推理?を働かせる場面もあり、題名にもあるように、怠け者が主人公というのも、ひねりがあって面白かったです。

  • 土曜倶楽部、下鴨幽水荘、赤い女の子、宵山。
    どこかで見たことのある言葉がたくさん出てきてちょっと楽しかった。

  • 今回も京都森見ワールド全開でとても面白かったです。内なる怠け者の声に負けて、休日をだらだら過ごすのも悪くないんじゃないかなとも思えるお話でした。
    ぽんぽこ仮面という名前がかわいすぎてステキでした。やっぱり森見さんの言葉選びは好きだなあと思ったし、玉川さんは最高にかわいかったし、宵山には是非一度行きたい!と思わせられるお話でした。
    どこまでが本当でどこから嘘なのかわからなくなる世界観はすごく好きです。
    そしてこのお話が、土曜日をどう過ごすかというただその一点のお話というのも面白かったです。

  • 休日。
    →休みの日。業務・授業などを休む日。

    休日の意味を調べてみた。当たり前ではあるが、ただの文字の羅列であって、無味乾燥な印象を受ける。
    だけど、休日という言葉にはもっと甘美な響きが備わっているように思う!!


    舞台はいつものように京都、それも宵山だ。
    その中でぽんぽこ仮面を中心にして、冒険的な土曜日が描かれている。
    積極的に休みを謳歌するものもいれば、週末怪人や週末探偵もいる。我らが主人公の小和田君は、だらんとした休日を送りたいと願っている。
    そんな個性的な面子が繰り広げる土曜日のお話だ。

    各人、いろんな休みの過ごし方があるだろうが、私は小和田君に一票。ぐでんとして眠りこけていたい。
    天気が良いから出かけなければいけないと、誰がいった!

  • 今回も京の都を舞台にしたヘンテコな小説でありタイトルの如く怠け者による冒険譚。聖なるかは知らぬ。冒険譚といえども正義という名の下、縦横無尽に暴れまわる大活劇ではなく、怠け者は怠け者らしく身分相応な小冒険活劇である。登美彦氏の作品の主人公といえば、他の作家の作品では類を見ぬ受動的で自らの意思で何かを得ようなど愚の骨頂と言わんばかりのスタンスを掲げている野郎ばかりであるが、本作の主人公である小和田君もこれまた、輪にかけて酷いものである。彼はこの物語を経て成長するわけでもなく、ただただ「のんびりした休日」を手に入れようとする怠惰な意思の下、物語が進むのである。それじゃあ物語なんかろくすっぽ動きゃしない。なんせ夢の中で夢を見て、さらにその夢の中で夢を見るような奴である。牛歩戦術もいいところである。そんなわけで読者諸賢には忍耐力と思いやりの心が必要とされる。冒険すぺくたくるを求める健全な好奇心や道行く人々がそっと赤らんでしまうな、らぶろまんすを渇望する破廉恥な思い等は捨てちまえ!それでは読者諸賢にとってよりよい無益で素敵な追体験になることを願って。なむなむ。

  • 社会人2年目の小和田君の前に狸の面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて…。宵山で賑やかな京都を舞台に、果てしなく長い冒険の1日が幕を開ける。筋金入りの怠け者は、はたして冒険者となり得るか?

    慌ただしくよく分からない感じに終わっちゃった…。
    そんな感じの森見登美彦。

  • 昔の語り口。
    江戸川乱歩風というのかな。
    京都の文化が頻出。
    おもしろいです。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ・とみひこ)
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。
2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。
2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。
『きつねのはなし』『新釈 走れメロス 他四篇』など、京都を舞台にした作品が多い。
2018年11月16日、『熱帯』を刊行。

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