聖なる怠け者の冒険 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 289
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648228

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】社会人2年目の小和田君は仕事が終われば独身寮での夜更かしを楽しみとする地味な生活。ある日、狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」との出会いから、めくるめく冒険の一日が幕を開ける。第2回京都本大賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • 登美彦先生らしい作品である。

    あとがきにも書いてあるが宵山万華鏡なんかと少し被ってたり。

    まぁとにかく期待通りのお話である。なむなむ。

  • 祇園祭・宵山の京都で、オモチロイ不思議な旅を。
    森見登美彦ワールド全開の奇妙な冒険。

    森見登美彦氏の作品と言えば、私の中で「京都の大学生を主人公にした話」というイメージ。
    今回は登場人物ほぼ社会人。
    「ぽんぽこ仮面」を巡って、祇園祭・宵山の京都を舞台に森見ファンタジーが大暴れ!
    ちなみに『宵山万華鏡』や『有頂天家族』とも関連しそうな小ネタが仕込まれていますが、未読でも問題ないようです。
    忙しい現代にピッタリな怠け者と反怠け者たちの冒険。

    皆さん、たまには内なる怠け者の声にも従いましょう。
    さすればオモチロク素敵な一日が過ごせるやもしれません。

  • プロローグ
    前作(と思っているのは私だけ、だけど)の「夜は短し歩けよ乙女」で、すっかりファンになったと思い込んでいる私は、本屋で平積みになっている本書(文庫本)を手にとって迷わず購入したのだけど、当の本書は時間の塵の中に埋れて玉川さんみたいに何故か迷子になっていた。それが2016年9月中頃。春が来た。一年ぶりに部屋の片付けを始めると、ラッキーにも未読の文庫本が発掘される。時は正に、ムービックスで「夜は短し歩けよ乙女」のアニメが公開されようとしていた。アニメの出来には期待は出来ないが、またまたそれでいっとき森見登美彦ブームになった私は、本書を読み始め、森見登美彦の危なイヤ怪しい世界が、私を連れて行こうとする。生来の怠け者である私は、p121の伏線を発見してあらあらと思った隙間に睡魔が滑り込んで来て‥‥。
    平成29年3月15日記入。

    エピローグ
    ‥‥おや⁈ふと眠りこけて何時の間にか一ヶ月以上経った。生来怠け者の私は、文庫の続きを読むこともせず、やおら起き上がり、ムービックスへ映画「夜は短し歩けよ乙女」を観に行く。偽電気ブランや閨房調査団や狸の置物を懐かしく眺める。そもそも原作のファンなのだから、その映画作品は観る前から気に入らない作品になることは「運命」つけられている。映画は掃けて、夜の四十万の帳の端を、小和田くんのように歩いていると、玉川さんのような可愛い女性がちょっかいを出してくる僥倖は、当然のことながら無くて、ふと所長のように死ぬ前に誰からも直接的にもっと感謝されたいと哲学的思考に陥ることも無く、この上ない「冒険」を歩いている自覚もなく、ただ歩いていた。そして何時の間にか、あの伏線はたいした伏線じゃなくて、それでもすべてのどうでもいい謎は解けて本書を読み終えていた。文庫本初回限定(って、初版だけなのかもっとなのかとてもわかりにくいけど)の「著者からのメッセージカード」は、私の人生座右の書として、本棚の奥に仕舞っておこうと思う。「僕は人間である前に怠け者です 森見登美彦」。
    平成29年4月17日記入

    あとがき
    私の拙い感想をお読み頂いてありがとうございます。感想をネットに載せるにあたり、(いろいろ推敲するのはめんどくさくて嫌いだけど)本文に手を加えました。ごめんなさい。
    2017年4月30日記入

  • 京の夏の風物詩・祇園祭の前夜祭たる宵山。しかも会社休みの土曜日。地元民かつ天性の怠け者にとってはエアコンのある部屋でグウタラするに限るそんな日に勃発した、狸のお面をかぶった正義の怪人「ぽんぽこ仮面」を巡る、奇怪で愉快で幻想的で、なにより疲労感と脱力感に満ち満ちた、たった1日の短い冒険の時を描いた作品。

    超絶怠け者でどうにも冴えない青年主人公、それを取り囲んで厄介な騒動に引き込んでいくキャラの濃ゆい脇役たち、京の街の緻密な描写…と、とても森見さんらしい。

    果たして、怠け者の主人公小和田(コワダ)君以外のみんなが追いかけ回す正義の怪人「ぽんぽこ仮面」は何者なのか!?
    …なーんて、ミステリー要素は実はゼロで、割とさっくりあっけからんとネタあかしをされながら、途中からはぽんぽこ仮面の「中の人」の必死の逃亡や葛藤や悲哀(笑)も加えながら物語は展開していくのだけど、そのユルユルさがむしろ心地よい。

    盛夏に購入したのにうっかり晩秋に読み終わってしまったけど、小和田くんに負けない怠け者を自称する私としては、エアコンの効いた真夏の夜にグウタラしながら完読したかった。

    購入した本書に挟まっていた、葉書サイズの用紙に書かれた作中内の言葉が、これまた興を誘った。

    「役に立とうなんて思い上がりです 森見登美彦(+角印イラストスタンプ)」

    森見さんの直筆なのか、はたまた印刷なのかわからないようなつくりだけれど、そんなところも、いかにもご愛嬌で、まったりおかしな本作の内容によく似合っていた。

  • 森見さん3作目。今回もやっぱり京都を舞台にくだらない。しかしそのくだらなさが良い。
    キャラクター達が本当に個性豊か。全員キャラが濃い(笑)。
    「僕は人間である前に怠け者です」
    小和田くんの決めセリフ。ある意味真理を得ている。
    日常生活を送る中で変な思考のドツボにハマることがあるが、そんなとき森見さん作品はそのくだらなさで救い出してくれる。いつもお世話になってます。

  • クライマックスにかけての素敵な狂乱ぶりはさすが森見登美彦さん!何にも予定のない休日にグウタラうたた寝しながら読むのに最適な本。大冒険できました。充実した1日だった。
    ●まだ読んでない世界線のわたしへ
    ・夏の暑い時期の予定のない土曜日(もしくは次の日も休みの日)に読むと良い。かつ近くでお祭りがある日だと更に良い。
    ・できれば朝は早起きして、トーストのモーニングがある喫茶店で序盤を読む。
    ・お店が混んできたらどこかでマンゴーフラペチーノを買って帰る。無ければなんか南国っぽいやつ。
    ・お昼ご飯にお蕎麦が食べたくなるはず。材料を準備しておく。
    ・1つ目の文章で違和感を持たないなら絶対読むべき。お祭り行く気ゼロで読む本を物色してるあなたにピッタリの本です。

  • この作品は、森見さんらしさが満載で、とても面白かった。
    森見さんの、他の本との繋がりもあり、良かったです。
    ぜひぜひ読んでみてください。

  • 森見ワールドでした。
    終盤の八兵衛明神から逃げて歩いている京都の描写が京都の世界をぎゅっと濃縮させていて素敵だなー歩いてみたいなーと思った。
    ぽんぽこ仮面をめぐる騒動、たった1日の土曜日の出来事なのに色々ありすぎる。
    ちょっと長くて途中飽きてしまうところもあったけど、やっぱここまで京都京都してる作品は私の好み。

  • 森見登美彦さんの作品を読むときは、今回は京都のどの辺りが出てくるか楽しみになります。今回は祇園祭の日のお話。朝から夜まで、大忙し、てんこ盛りのお話でした。
    所長の充実した日を送らないと負債で人生終わってしまうという焦りは、共感できたが、私も小和田さんと同じく充実するために何か行動を起こすのは億劫。結論、私も怠け者なんですね(笑) 読書を楽しむ事だけは、怠らないようにしたい。

  • 独特の森見ワールドです。
    登場人物はみな自由に行動しまくる。
    それだけでわちゃわちゃして面白くなるのがこの著者のすごさだとおもう。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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