私に似た人 (文庫)

  • 朝日新聞出版 (2017年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784022648488

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】小規模なテロが頻発するようになった日本。実行犯たちは一様に、冷たい社会に抵抗する《レジスタント》と称していた。テロに走る者、テロリストを追う者……それぞれの心象と日常のドラマを精巧に描いた、第151回直木賞候補作、待望の文庫化。

みんなの感想まとめ

多様な視点から描かれる小規模なテロが頻発する日本の物語は、現代社会の冷淡さや無関心を鋭く浮き彫りにします。登場人物は、一般人としてのリアルな感情や葛藤を抱えながら、貧困や格差に抗議するためにテロに関与...

感想・レビュー・書評

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  • 小規模なテロが頻発する日本を舞台に、様々な立場の10人の視点で語られる連作短編集。第151回直木賞候補作。

    10話が少しずつ繋がっていくので興味深く読み進めました。
    貧困や格差を生み出した利己的で冷淡な社会へ抗議するため、テロが頻繁に発生するようになったという架空の世界なのですが…
    コロナ禍や急激な物価上昇などで閉塞感が漂う昨今なので、余計に現実に起こり得るように思えてしまい怖くなりました。
    他人の痛みに無関心、事なかれ主義という日本人。
    色々考えさせられました。

  • 大きなものではないけれど、頻発する小口テロ。
    小口テロに関わる10人の目線から描かれている。
    人に無関心、でも関係のない人までを巻き込むテロ。
    貧富の差や日本人や国の変化。
    何か深い…ちょっと、考え込んでしまう…

    2020.9.16

  • タイトルから勝手にミステリー系を想像していたが、いい意味で裏切られた。

    物語の主軸には、個人を恨むではなく、普通に生活ができない社会を憎む貧困層によるレジスタンスとそれを使嗾するトベという存在。
    上手く生きていけないのは、社会が悪い、バブルの恩恵ばかりを受けて皺寄せを若者が被っているという漠然とした思想が中心の話だが、割とリアリティがあってゾクゾクした。

    私はあまり、そういう考えに至ったことはないが十分に納得できるし、それを一つ上の立ち位置から教唆する人々の構図も現実味を帯びていてゾッとした。

  • 貫井徳郎はあの言葉を僕に言わせようとしてくる。僕が嫌いなあの言葉。
    ー考えさせられるー

    なぜだろう。
    たぶん登場人物が一般人だからだ。

    一般人ぶった特殊能力持ちでも
    一般人ぶった実は殺人犯でもない

    正真正銘の一般人

    問題提起は読者全員に投げかけられる。

    それゆえ、考えさせられてしまう

  • 小規模なテロが頻発する日本が舞台。でも全然架空っぽくなくリアルな世界。組み立ても見事。そしてなによりこの小説にこのタイトルをつけたことが衝撃。

  • 複数の人物からのアプローチ、無関係と思われる人物らの意外な接点、点が徐々に繋がり線になっていく展開は著者の得意とする手法であり、本作でも持ち味が発揮されている。

    だが、部分的な繋がりを見せるが全てが完璧に絡まり合う事はなく、少しモヤモヤする章が多い。また似たようなエピソードがあり、必要性に疑問を持ってしまう章もあり後半で失速気味。

    また、物語の肝である「最初のトベ」が終盤で明かされるが、明らかに異質で違和感を覚える章があり、多くの読者は途中で気づくはず。

    消化不良の部分も多いが、テロを起こすレジスタントの行動心理には現代日本が抱える問題が数多く内包されており、フィクションと思えないほど真に迫った内容だった。



  • 就職難、相対的貧困で小口テロが頻発している日本。普通で正義感が強い人たちばかりが、テロに興味を示しまた実行していく。ただの社会派小説ではない。どこかの章の誰かに自分が重ね合わされる。

  • 麻衣子が最初のトベになった理由が、同僚のヘイトさんを満喫にいた人の無関心により失ったこと、というのは共感できなかった。小口テロに賛同はできないが、小村義博の派遣で働きギリギリの生活の唯一の潤いである公園のネコ、ちーを交通事故で失ったことがきっかけ、というのは理解できる気がした。
    選挙期間に読んだので考える事も多く、2017年発行当時より更に悲惨な社会情勢だと思う。
    こんな時代もあった、と読める時が来るんだろうか…

  • 誰が私に一番似ていたかな。なんて考えてみた。

    本当に今の世の中、生きているだけで偉いと思う。
    追い詰められた人の中で、犯罪行為を実行に移す人とそうじゃない人の違いってなんだろう。
    復讐する人としない人の違いってなに?
    些細なことで、運良くストップできたり、その人の生い立ちや人となりによるのかな。

    私も自分が追い詰められた時、自分でもびっくりしてしまう行動を取ったことがある。

    だから、全身全霊で自分の精神を安定させることにしたんだよな。
    だけどそれが不可能な環境もあるし。

    結末は、少しだけ救われた。
    本当に、そうであって欲しいと思った。

  • 社会に抵抗し周辺の何人かを巻きこむ『小口テロ』が頻繁に起き始めた頃。ネットで、加害者を励まし社会に抗議するレジスタントになれと唆した者がいる。その『トベ』が増殖している。被害者側、社会への怒りが募った側、励ます側、摘発する側など様々な立場の10人。

    自分と無関係な人には冷淡な日本人、弱者を無視し続けてきた社会に、命をかけてその存在を示す。ここにどれだけのリアリティを感じられるかで、恐い話/荒唐無稽な話、が変わるのかな。

  • 乱反射を思い出した。好きな貫井さんだった。

  • 最後が何となくしっくりこなかった。
    だから星一つ減らしたけど、重く興味深い話だった。
    今、現実に希望も持てないような貧困層の人がいるのかどうか、生まれてからずっと同じ層の人としか出会わないのかあまり実感として湧かないけど、確かにそんなニュースは聞いたりする。
    怒りは強大なエネルギーを持って、正義として行動を起こす原動力になるけど、冷静に周りを見て、その後のことと影響を及ぼすであろう関係者のことを想像することが、大切だなと思った。

  • 格差社会、事なかれ主義など日本や日本人の風潮がぎっしりつまっていて、様々な立場から考えさせられた。
    社会を恨んだ結果、起こした行動がテロというのは極端すぎるけど、どんな形であれ復讐が解決方法にはなり得ない。

  • 日本全国で小テロという自爆テロが頻発するわうになる。犯人たちは自分たちをレジスタンスと呼び、日本を変えるためと称して無差別殺傷事件を起こすが、特定の宗教や政党に属する集団ではない。彼らをテロに導くトダとは?その背後には何があるのか。

  • 再読 でも面白かった

  • 2023/06/26
    #私に似た人
    #貫井徳郎

    《感想》
    「私に似た人」っていう題名にあった通り、
    読者側も、小説内の主人公たちも「私に似ているかも」と思う内容。

    テロを、題材にして
    日本では貧困層が社会を変えるべく、
    中間層や富裕層に洗脳され小口テロを起こすという話。(テロの内容はトラックでビルに衝突や通り魔など。)

    日本人は家族や身近な周りの人に対しては親切で、
    想いやりがあるけれど、それよりも距離が離れると無関心になってしまう。

    そして、

    みんな行動が一致して、序列を乱さない律儀系な国と言うけど、それが正しいかどうか考えておらず、思考が停止してる証拠なのかもしれない。

    という内容が何回か本の中にも出てきます。

    一定数人間だけが豊かである=日本は平和な国
    というイメージですけれど、深く掘れば一定数の貧困者もいる。

    今自分が生活しているレベルが全員叶えられるとは限らないんだと思ったし、それもそれでおかしい社会だとも考えさせられた。

    現状に対して、忙しくてできないとか、貧困層で夢を持てないとかで、社会の歯車に回されるだけじゃなく、よく考えて自ら行動することが大切!

    頭で考えることは、無限に出来るけど
    行動に起こせるのはやはり一握り。

    文句ばっかり言ってても何も変わらないし、
    その文句につけ込まれてしまうかもしれない!

    ネットでのやり取りがメインの内容で、
    現実社会で本当にあり得る話をしているから、
    結構考えさせられる内容になってて、読むのは楽しかったです。

    最終的には、日本の性格を非難しながらも、
    日本人も捨てたもんじゃないと思わせる展開になってます!

    貫井徳郎は悲劇があったとしても、
    最後は希望を持たせて終わる所が好きです。

    後は、もっと一人一人の主人公が
    複雑に繋がりあってくれていたらよりのめり込んで読み進めれたと思いましたが、
    これは欲張りですね、、。

  • 流石です。

  • しつこいくらいに日本批判がちょくちょく出てくる。
    登場人物の行動や思考が短絡的に感じた。
    文章は読みやすいだけに勿体ない。

  • 10の短編で構成されていて10人の主人公が登場しますが、どの話にもすぐに引き込まれてしまいました。

    独立した短編ではなく、それぞれに関連性があり伏線も隠されています。

    そして「トベ」の正体が気になり一気に読まされます。

    テロはもちろん決して認めてはいけない行為だと思うけれど、ある主人公の言葉
    「他人の痛みが想像できない人を、私は絶対に認めません」は常日頃から私が感じている事なので共感出来る面もありました。

    エンディングもスッキリ、読後感も良かったです。

  • 社会への不満が小規模テロとなって続発。
    10人の登場人物が、連鎖し社会の在り方を考える。
    何がどう転んだってテロは悪。
    何がどう転んだって。
    そこへの感情移入は皆無。
    極論としての物語ではあるが。疑問ばかりで読了。
    おそらく小泉純一郎と竹中平蔵による
    エセグローバル主義を批判したいのだろうが
    感情的になりすぎているように思う。
    ラストのオチも唐突すぎて、置いてけぼり。
    (最初の1人、いらなくない?)

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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