ウエストウイング (朝日文庫)

著者 : 津村記久子
  • 朝日新聞出版 (2017年8月7日発売)
3.89
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648532

作品紹介

【文学/日本文学小説】設計事務所のOLネゴロ、絵が得意な小5のヒロシ、土壌解析会社の若手サラリーマンのフカボリ──3人の人生が雑居ビルの物置場で交差する。人が誰かとつながり、影響を与えあっていくことのかけがえなさを、圧倒的なディテールで明るく描いた傑作長編小説。

ウエストウイング (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • わーめんどくさっ!やっぱり進まなくって、でもだんだんなじみが出てくると、ふんふん、そんで?でもなんかペースおっそ!って進まない。
    けど我慢してるわけじゃなくて、流し読みせず「ちゃんと」読んでるだけ。
    面白い。

  • 繋がりそうで、なかなか繋がらない3人の時間。
    古い建物の、忘れ去られた部屋を人心地つく場所として同じように使いながら、部屋で出くわすことがないのがなんだか面白い。たとえばこれが連作小説なら、読み進めるにつれてあっ、ここで繋がるんだ、っていうポイントがあるものだけど、最初から繋がる場所は明確なのに肝心の人はすれ違う・・・というのが、新鮮だった。
    津村さんの小説はゆったり構えているようでいて、いつの間にかがっちり捉えられているみたい。後半はそれでどうなるの、と先が気になるのに地の文が多いせいでなかなかページをめくれないというもどかしい事態に・・・。
    ヒロシがすごく印象的。どうやら他の小説の登場人物らしい。子供が身近にいないのでわからないけど、小さくても色々考えてるのかなぁ、とちょっと恐縮する思いだった。

    明らかに梅田のスカイビルへ抜ける地下道をモデルにした、ゴムボートの浮かぶ道はつい先日一部が閉鎖され、地上に通路ができたらしい。地上の道なんて普通すぎてきっとこんな物語は生まれなかっただろうな、と思うと時代の移り変わりを目の当たりにした気分。

  • エブリシングブロウズのヒロシくんが小学生時代のお話。無力な人たちが、全力で知恵を絞り、最小限の勝利を勝ち取るところは、共通している。彼らは自分が弱いことを知っているから、人に寛容だし、力を合わせるすべも知っている。

    ばかにするやつのことは受け流し、自分が助けられる人がいれば助け、好きなことには正直に生きる。それでいいのだと思う。

  • 傑作『八番筋カウンシル』もそうでしたが、三者三様の日々を緩やかに、伸びやかに描いています。

    三人それぞれの日常に起こる出来事。それらを流れるように読ませながら、同時に鼓動の高まりを感じさせ、そしてあざとくない程度にきちんと着地させる技量には、毎回のことながら感服します。

    まさに解説にある通り、「津村氏の精度の高い文章の魅力」を存分に味わえます。

  • 津村記久子の書くこどもが本当のこどもなのかもしれないな…。

  • 女性事務員ネゴロ、塾通いの小学生ヒロシ、若手サラリーマンのフカボリ。
    同じビルに通う3人は、それぞれが息抜きにと密かに使っているビルの物置場で、書き置きメモのやり取りと物々交換から姿は知らぬまま繋がりを持つことに。
    梅雨時のある日、豪雨警報が流れー
    古ぼけた雑居ビルに集う見知らぬ者同士のささやかな交わり。


    なるようになるし、なるようにしかならない。
    考えてはいるけどなんとなく流されつつ日々を過ごしちょっとづつ前進している普通の人びとの話、なのに何でこんなに面白いんだろう?

    かなり冒頭の方でエッセイ集『やりたいことは二度寝だけ』にあった“妖怪や妖精とみなす”考え方を主人公のひとりネゴロがしていて、こんなところに!ゆるーくスペイン語習得行動も、ここにも!初詣についての雑談もあって、あぁあのエッセイのエッセンスがそこここに-と、面白くなりました。

    グァナバナナよりグァババナナのが言いやすいと思う-

    大雨の日の話が特に好き-台風の時のようなちょっと危ないかな-っていう非日常感
    が凄く分かるというか。
    でも構造上水没しないと知っててもトンネルをゴムボートで渡るなんてアドベンチャーすぎる-
    そして(労働に対価は必要だけど!)小銭稼ぎして良いのか?

    ヒロシのパートでは、子供の頃の方がなんか頭良かった感のある自分を思い出したよ-
    大人になると決まったことにしか頭使わないし、子供の頃思ってたより大人がアホなのを実感体験するからかな-

    家庭電気機器取扱協会のおっさん、が文中にいっぱい出てきてなんか可笑しくなりました-

    3人がちょっとづつ踏み出したり達成感じたり、先があるエンディングなのも良いと。

    自分の知らなかった言葉メモ…
    ・ブラック・アニス=スコットランドの妖精。人食いの老婆の姿をしている。
    ・カリアッハベーラ=スコットランド高地の冬の創造女神。病の女神。
    ベニエ=ドーナツに似た、果物を詰めた・生地を油で揚げたペイストリー。仏語で“揚げた生地”の意。
    ・杓子せんべい=広島・宮島の縁起菓子。杓子の形をしたせんべい。“敵をめしとる”。

    p.346の『血』のところに言ってくださいねー、は行っての間違い?

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