ヤモリ、カエル、シジミチョウ (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 214
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648648

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】小さな生き物たちと話ができる幼稚園児の拓人の目に映る、カラフルでみずみずしい世界。ためらいなく恋人との時間を優先させる父と、思い煩いながら待ちつづける母のもと、そんな弟を懸命に守ろうとする姉と共に、拓人は日常生活を冒険する。谷崎潤一郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • これ素晴らしい。

    音、オト、言葉、気配、意識、声、気持ち
    どれも同じでどれと違うことがちゃんと表現されている

  • 虫や小型動物と話せる幼児「拓人」、その姉、母、父、近所の霊園の墓守、隣に住むテレビの音量の大きな独り言老婆、ピアノ教室の先生、その母、父の浮気相手
    それぞれの視点で描かれる日常の風景

    いや、もう感想は解説で書かれてあるところとほぼ一緒なので書かなくてもいいくらい

    特徴的なのは拓人のパートはひらがなで書かれてあるところ
    ただ、幼児の言葉ではなく大人のそれと同様の思考
    それでいて感覚は、「いる」「いない」の基準など拓人独自の感性で描かれる

    他者との関係性、生き物とのつながりによって自分の世界も変質していく様は読んでいて不安になるのと、逆に安心感もある
    特に最後の4行では「おいぃぃぃぃぃぃ!これまでのは何だったの?!」って思うのと、「普通じゃん!」って思う両方の感想

    しかしまぁ生き物の声が聞こえるなんて設定は辻仁成との企画みたいだね
    個人的にはファンタジー要素はない方が好きなんだけど


    そして周りの人たち
    姉はしっかりしすぎじゃない?
    小2というのは説得力がないなぁ
    でもまぁ拓人と同じように特殊な能力でもあるのかね?

    そして何より母の奈緒さんが怖い
    怖くしているのは旦那さんでもあるんだけど
    存在していないことにするという発想がアレである

    浮気相手の思考は、これまで読んできた江國香織の小説の登場人物の中と比べて違和感を感じない
    世間一般とは違うんだろうけどね


    この小説、万人受けはしないし、映像化すると絶対にどこか陳腐なものになってしまう気がする
    小説というカタチだからこそ良い作品

  • 淡々とした生活の中でちょっとずつずれていって泣きたくなって、あぁ江國さんだなあと思った。

    嘘をついてほしいというのも、嘘をつきたくないというのも、どちらも正直で苦しい。

  • 江國香織らしい世界。

    言葉の遅い男の子、たくとはムシやヤモリと通じ合え、言葉にしない人の気持ちを感じ取ることができる不思議な能力をもっている。
    ちょっと変わった子供たちと外に彼女がいるとわかっていても夫の帰りを待ってしまう母親。

    子供の頃のことを少し思い出しつつ、母親の気持ちもわかるような気がして、読みながらいろんな思いが錯綜したが、最後はたくとも普通の大人になったようで、意外とあっさりした終わり方。

  • 世の中には様々な人が暮らしていて、それぞれの日常を生きています。このお話も、ある家族とその周辺の人々の日常の一場面を切り取って、同時並行で進んでいきます。中でも気になるのが、幼稚園児の男の子。彼は人の世界にはあまり馴染めないでいるのですが、それでも五感で世界と繋がっています。もちろん、幼子がみなこのような感性を持っているとは思いませんし、むしろ小説の中の特殊な子供であるには違いありません。それでも、この男の子に心惹かれてしまいます。
    このお話の展開に、なぜこの子の存在が必要なのかを考えると、日常の些末な出来事など、どうでもよいことのように思えてきます。生き物としての幸福とは、いったい何なのだろうと考えさせられたりもします。人の世の喜怒哀楽なんてものより、もっと素直に世界と繋がることができれば、この世はとても美しいと感じられるのではないかなぁ、なんて。
    でも、現実の世の中は、いろんな人がたくさんいて、様々な感情を抱きながら、素知らぬ顔で日常を生きています。ありのままを受け入れることができれば、世界は思いのほか単純明快なのかもしれません。何やらややっこしくしてしまっているのは、人なのかも。人間って無駄に複雑で、素直な生き物じゃないですねぇ。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 2018/04/01
    言葉って何だろう。
    言葉は、果たして本当に意図するもの通りに伝わっているんだろうか。

  • 久々の江國香織.平仮名ばかりのページは効果的だけど読みづらい...
    奈緒の追い詰められていく感じがとても苦しい.
    育美と拓人が静かに成長していく様子に救われる.

  • 思ったより呆気ない終わり方。気がつくとひらがなだけの言葉が漢字が混ざって変わってしまったんだな、と思った。

  • 淡々と日常が描かれているんだけど、細かい心情が伝わってきて、気付くとあーこの感情。。と切ない気分になった。(不倫されている妻、している夫の心情なので)
    どうにもやりきれない切なさを感じつつも、純粋無垢な子供の世界観を思い出させてくれる。
    本当はどこにでもあるような日常を、やりきれない思い、言葉では言い表せない感覚を本にした感じ。

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プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。
1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。
代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。

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