物語のおわり (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 4063
感想 : 269
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648730

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】妊娠3カ月でがんが発覚した智子、娘のアメリカ行きを反対する水木……人生の岐路、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡されたのは結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。

感想・レビュー・書評

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  • 未完の物語が、北海道を旅する人から人へと渡り、それぞれの思いで完結していく連作短編集。

    短編ごとの主人公の価値観によって、違ったかたちで完結していく未完の物語には、その人ごとの思いが込められていてホッコリさせられ読後感の良い作品だった。

    しかしながら、どうやら私はそれを求めていない。

    喜怒哀楽の隙間にある湿った本意を、遠慮なく突き付けてくる、読み手胸中を平気にえぐってくる、湊かなえが私は好きだ。

  • まったく覚えていない。
    やはり
    インプットだけでは何も残らない〜
    だからこそ
    ブクログに稚拙ながら
    レビューを載せることにより、
    アウトプットの真似事で少なくとも記憶に残るし、また振り返れば読んだときの気持ちも思い出す。
    とにかく夢中で湊かなえばかり読んでた中の一冊!
    だからまた、これからも読んだらレビューを頑張ろう。

  • 小さな町のパン屋の娘「絵美」はこの町から出たことがない。。
    絵美の楽しみは小説を書くこと、そして心を寄せているパン屋の常連「ハム」
    さんに感想を聞くこと

    北海道大学へ進学したハムさんだったが、卒業後は地元に戻り、自身は教職員となり、絵美との結婚を約束する。だが、小説家になりたい絵美は誰にも内緒で東京へ行こうとする。が、駅にハムさんが待ち構えていたー

    と短い小説で終わる・・・この続きはご自身で考えてくださいと
    小説が北海道旅行へと旅に出るそこで出会った人々は?

    舞鶴からフェリーに乗っての北海道の旅。
    その旅の途中で手渡されるのが、この一つの『物語』。
    少女から、妊婦に。
    妊婦から、写真家志望だった若者に。
    若者から、テレビ番組制作会社に就職が決まった女子大生に。
    女子大生から、進路問題で娘と喧嘩をした父親に。
    父親から、今の自分の姿に疑問を抱く四十代の女性管理職に。
    そして、女性から『物語』を手渡された最後の人物は───。

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  • 北海道を舞台に繰り広げられる物語。
    夢を語る者、夢を追う者、夢を阻む者、壊そうとする者。それぞれのキャラクターが持つポジティブな部分とネガティブな部分と、全てとは言わないけれどわかるというか共感できるところがある。

    この共感する時に起きる不思議な感覚が、湊さんの作品には常に感じられる。旅先で出会っただけの関係、それはごくごく浅い関係なのに、そこに繋がるまでには実は色々な要素があって、ある種の必然性を感じる。
    これは物語だから、というフィクションの話ではなく、現実の世界にもある話だと思う。人の感情に届く喜び、悲しみ、痛み、と言ったものは、実は必然とも言える関係性があって、深いところで繋がっているのではないか、と感じてしまう。

  • この文庫本ではなく、単行本を読んだ時に書いたレビューです。ご容赦ください。<(_ _)>

    冒頭───
     あの山の向こうにはなにがあるのだろう。物心ついた頃にはすでに、わたしはぼんやりと遠い景色を眺めながら、そんなことばかり考えていました。深い山間の盆地にある、小さな町で生まれたわたしの目に映るのは、町を取り囲む大きな壁のような山とその上に広がる青い空ばかりです。両親は夫婦二人で小さなパン屋を営んでおり、午前二時に起きてパンを作り、午前六時から午後六時まで店を開け、仕込みを終わらせて午後九時には床に就くという毎日を過ごしていました。店の名前は<ベーカリー・ラベンダー>。しかし、父も母も生まれたときからこの町で過ごし、旅行に出たこともなく、紫色の花が絨毯のように広がっているという北海道のラベンダー畑など見たこともありません。
    ───

    湊かなえの一人称独白形式“ですます調”の語りを読み出すと、まだ物語の伏線も語られていないのに、何故か背筋がぞわぞわしてくる。
    まるで、パブロフの犬の条件反射みたいに。
    初めて読んだ『告白』の印象が強烈に残っているからだろう。

    イヤミスの女王、湊かなえ。
    その女王の作風がここ最近変わってきている。

    この前作の「山女日記」も嫌な読後感とは程遠く、爽やかな物語だったし、最新作のこの作品も、心がほのぼのするような物語だった。
    別にぼくは、これまで彼女のイヤミス作品を特に期待して読んできたわけではなかったから、作風が変わったからといって何の不満もない。
    それどころか、どんな作品でも書ける才能を持った湊かなえという作家に憧憬の念を抱くだけだ。

    誰が書いたのか分からない男女のささやかな恋愛『物語』。
    何故かその話は肝心の結末まで書かれておらず、『物語』は途切れている。
    女性は夢を叶えるために東京に旅立つのか?
    彼女を駅前の停留所で待っていた恋人の思いとは?
    はたして、本当の結末はどうなったのか?
    そんな序章のもとに、この小説は始まる。

    舞鶴からフェリーに乗っての北海道の旅。
    その旅の途中で手渡されるのが、この一つの『物語』。
    少女から、妊婦に。
    妊婦から、写真家志望だった若者に。
    若者から、テレビ番組制作会社に就職が決まった女子大生に。
    女子大生から、進路問題で娘と喧嘩をした父親に。
    父親から、今の自分の姿に疑問を抱く四十代の女性管理職に。
    そして、女性から『物語』を手渡された最後の人物は───。

    いろいろな別れや後悔を伴った思い出を胸に北海道の旅を続ける人々の手によって、その『物語』は次から次へと受け継がれていく。
    この未完の『物語』を手にして読んだ人たちは、その人なりのエンディングを思い描くことで、自らの旅の目的に対する答えを見出す。
    それは、未来に希望に満ちた暖かな光が射し込むようなものだった。

    人生の曲がり角にはいろいろな選択肢がある。
    夢を抱きながら、その度々、誰もが迷い悩む。
    どちらが正解かなんて誰にも分かりはしない。
    でも、自分が本当に求めているのは何かを真剣に考えれば、それが結果的には正しい選択だったということになるはずだ。
    もちろん人間だから、後悔しない人生なんてありえないけれど。

    闇の中に一筋の美しい光が射し込んでくるような物語。
    ありきたりな言葉で締めくくりたくはないけれど、感動しました。

  • イヤミスの異名をとる著者のイメージを覆し、読後感は『山女日記』に類する作品。
    「空の彼方」という短編小説が、北海道を旅する旅行者の手から手へと渡される連作。
    大きな事件が起こるではなく、北海道の各地の風景描写がリアルで、主人公たちと一緒に旅をする気分になれる。
    一人旅の友としてこの小説を携えて、読者も主人公たちとともに、自らの来し方行く末に思いを致すのも一興か。

  • 初めて湊かなえさんの本を読んだ。
    せっかく読書を楽しむのだから、「読後、嫌な気持ちになる」と言われる作者を受けつけなかった。
    イヤミス嫌いな人にもおすすめ、のうたい文句に惹かれ、手にしてみた。
    結末の書かれていない未完の小説が、人から人へと渡り、様々な人に読まれていく『物語のおわり』。北海道を舞台に、それぞれ事情を抱えた旅行者の間を、1つの小説が巡っていく、8編のストーリーが収録された連作短編。
    読後感の非常に良い物語。重苦しい物語ではなく、爽やかで優しい物語が読みたい人におすすめです。

  • 8つの短編
    北海道とは縁も所縁もない”ベーカリー・ラベンダー”
    冒頭の「空の彼方」が小説として書き残される。
    結末は記されず、執筆に途中だったのか?読み手に想像させるのか?
    続く6編では各編の旅人が北海道を訪れて、その小説を手にして、自分の状況と置き換えて「物語のおわり」を考え、感じ、話を結んでいく。
    最終編で真相に迫る演出は見事ですね!心温まるお話です。

  • ~物語~
    それを語るには余りに永く、余りに短い物語。
    1人の人と人が交わるだけで物語は幾何学的なルートへと誘(いざな)わられる。
    そんな常世の美しさは紡がれていずれ一つになるだろう。

    当作品は連作短篇でありながらそれを感じさせない個々の人物へのコミットの仕方が何とも言えない技術が光る。
    全てが繋がっているようで繋がっていない。
    全ての物語はあえて完結させない形をとっており、読者の想像に委ねられる。
    勿論、あなたの物語も「ハムさんと私」をきっかけに動き出したはずだ。
    運命は自分の手の中に。
    の醍醐味を存分に味わえた。

  • 1つ未完の物語にいろんな人が関わって、それぞれの人生に照らし合わせ、結末を想像する。
    登場人物が多いので、間を開けて読んでしまった私には内容がごちゃごちゃしてしまった。
    少しモヤモヤが残る部分もあった。
    未完の物語の結末は最後に知ることができ、それは良かった。

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著者プロフィール

1973 年広島県生まれ。2007 年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビュー。本著は、「2009 年本屋大賞」を受賞。12 年「望郷、海の星」(『望郷』収録)で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16 年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞。18 年『贖罪』がエドガー賞ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門にノミネートされた。その他の著書に、『少女』『高校入試』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』『未来』『落日』『カケラ』などがある。

「2021年 『ドキュメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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