物語のおわり (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1078
レビュー : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648730

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】妊娠3カ月でがんが発覚した智子、娘のアメリカ行きを反対する水木……人生の岐路、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡されたのは結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭に出てくる物語。そして最後の結末。
    個人的には最後の結末はなくても良かったかな、と思ってしまう。
    同じ物語でも受け取り方は人それぞれ。
    そして思い描く結末も人それぞれ。
    だから良いのだと思える。

  • 8編の連作短編。
    「空の彼方」という物語が語られることから始まる。
    その物語は時間を超え、場所を越え、旅をする。
    妊婦と船の上で、プロのカメラマンを夢見た男とラベンダー畑で、自転車乗りの若い女性と湖で。
    色々な境遇の人たちと出会い、何かを与えては次の人へ。
    物語はこうして「連綿と」繋がって行くのだ。

    ハムさんと絵美の物語から全ては始まる。
    その物語はぶっつりと途切れてしまう。
    悲しい結末も、幸せな結末も、どちらにも転びそうな。
    でも、私たちの人生だって、いつもどこかでブッツリと切れている。
    あの日別れた友達、恋人、ずっと思い出すこともなかった彼らのことをふいに思い出す。
    幸せでいてほしい、そう思うことの方がずっと多いはずだ(もちろんそうでない場合も多々あるけれど)。

    この物語は、ぐるりと大きく大きく巡って、もう一度、ハムさんと絵美の物語にたどり着く。
    ミステリー、そう区分するには謎解き要素は少ないけれど、人生はミステリーといってみたらどうだろう?
    湊かなえだもの、なんだか心がざらつき、ひりつくに違いない、そんなふうに思っていたから、おもいがけず柔らかいガーゼで包まれたような展開には驚いた。
    こんな優しい終わり方もあるんだ、それがいちばんの驚きだった。

    今は旅行シーズン。
    ここで描かれた町を訪ねてみるのも、大切な人に会いに行くのも、オススメだ。

  • 書きかけの物語が様々な人の手に渡り、それぞれの境遇に合わせて解釈されていくのは新鮮だった。一周回って戻ってくる構成も見事。舞台が北海道でその情景も浮かび上がってくるような描写が美しい。

  • イヤミスからちょっとシフト変更チャレンジ中なのかな?山女日記に続いてほっこり系。北海道の感じとか悪くないんだけど、やっぱりそのリレー、特に最後のバトンの行き場所なんかは出来すぎな感じは否めないなあ。

  • 北海道が舞台。つい北海道へ思いを馳せてしまった。最後のつながり方が花の鎖ほど鮮烈な衝撃はなかったけど、穏やかで温かい作品だった。

  • ひとつのもの・ことをきっかけに関係者たちのその後の人生が変わっていく、という物語はたくさんあるけれど、別々の人生を歩んできた人たちがひとつの未完の物語を読み、己の境遇と重ね合わせることでそれぞれ別々の解釈をし、物語の続きを想像する。一人の作者が7人それぞれの視点での解釈ができる、その視野の広さに脱帽です。
    会社の人から借りて読みましたが自分でも買おうかな。

  • 病の宣告、就職内定後の不安、子どもの反発…様々な悩みを抱え、彼らは北海道へひとり旅をする。その旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。そして本当の結末とは。

  • 【Entertainment】物語のおわり/湊かなえ / 20180606 / (34/702)<294/97568>
    ◆きっかけ
    ・オフィス近くのコンビニで発見

    ◆感想
    ・構成が秀逸!短編集だと思ったら長編。人から人に手渡される原稿の結末が胸を打った。

    ◆引用
    ・BOOK 氷点、三浦綾子
    ・ここでは楽しそうに過ごしているが、大半は社会の中に身を置き、体をすり減らし、心をすり減らしながら懸命に生きてるはずだ。だからこそ、同期生と顔をあわせる場に出席できる。そうして、苦労話を笑い話へと変えながらまた逢う日まで頑張ろうと、もとの暮らしに戻ってく。

  • 北海道に行きたくなるような作品でしたね。

    短編毎の繋がりが見事でした。

  • 北海道本!拓真館いってみたい。

    少女を主人公とした一編の未完の小説が、北海道を訪れた老若男女様々な旅行者の手から手へと渡っていく連作集。
    旅の道中だからこそ、たまたま出会った人からおもむろに手渡された原稿に感じいり、また次の人へと繋いでいくという流れが程よくロマンチック。
    旅行中に知り合った当人の連絡先より、その人から未完の小説を渡される方が楽しい思える人向きではないかと思う。
    作中の中心となる未完の小説は、十代の頃描いた夢を掴みとる、諦める、あるいは応援する、認めない。
    という間口の非常に広い話なので、変につかえることなくすんなり読める。
    四十代独身キャリアウーマンが読み手となる「湖上の花火」がよかった。

    読み終わってから冒頭に北海道の地図が載ってたことに気づいた。
    美瑛がどの辺りか調べる必要なかったじゃんね。
    ページはゆっくり捲るようにしたい。

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プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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