物語のおわり (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.79
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本棚登録 : 991
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648730

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】妊娠3カ月でがんが発覚した智子、娘のアメリカ行きを反対する水木……人生の岐路、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡されたのは結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。

感想・レビュー・書評

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  • イヤミスの異名をとる著者のイメージを覆し、読後感は『山女日記』に類する作品。
    「空の彼方」という短編小説が、北海道を旅する旅行者の手から手へと渡される連作。
    大きな事件が起こるではなく、北海道の各地の風景描写がリアルで、主人公たちと一緒に旅をする気分になれる。
    一人旅の友としてこの小説を携えて、読者も主人公たちとともに、自らの来し方行く末に思いを致すのも一興か。

  • イヤミスの女王と言われる湊かなえさん
    でも、この本は読後感はとってもいい
    北海道は小樽に向かう船の中で物語が始まり
    富良野、美瑛、旭川、摩周湖、知床、網走、洞爺湖、札幌
    それぞれの場所に、色々なものを抱えて来た旅行者たち
    人間らしくていいなぁと思った
    こんなにうまくはいかない、やっぱり小説という気持ちもあるけど
    小説の中でくらい、うまく行ってほしいこともあるさ
    さっと読めて、楽しい時間だった

  • この文庫本ではなく、単行本を読んだ時に書いたレビューです。ご容赦ください。<(_ _)>

    冒頭───
     あの山の向こうにはなにがあるのだろう。物心ついた頃にはすでに、わたしはぼんやりと遠い景色を眺めながら、そんなことばかり考えていました。深い山間の盆地にある、小さな町で生まれたわたしの目に映るのは、町を取り囲む大きな壁のような山とその上に広がる青い空ばかりです。両親は夫婦二人で小さなパン屋を営んでおり、午前二時に起きてパンを作り、午前六時から午後六時まで店を開け、仕込みを終わらせて午後九時には床に就くという毎日を過ごしていました。店の名前は<ベーカリー・ラベンダー>。しかし、父も母も生まれたときからこの町で過ごし、旅行に出たこともなく、紫色の花が絨毯のように広がっているという北海道のラベンダー畑など見たこともありません。
    ───

    湊かなえの一人称独白形式“ですます調”の語りを読み出すと、まだ物語の伏線も語られていないのに、何故か背筋がぞわぞわしてくる。
    まるで、パブロフの犬の条件反射みたいに。
    初めて読んだ『告白』の印象が強烈に残っているからだろう。

    イヤミスの女王、湊かなえ。
    その女王の作風がここ最近変わってきている。

    この前作の「山女日記」も嫌な読後感とは程遠く、爽やかな物語だったし、最新作のこの作品も、心がほのぼのするような物語だった。
    別にぼくは、これまで彼女のイヤミス作品を特に期待して読んできたわけではなかったから、作風が変わったからといって何の不満もない。
    それどころか、どんな作品でも書ける才能を持った湊かなえという作家に憧憬の念を抱くだけだ。

    誰が書いたのか分からない男女のささやかな恋愛『物語』。
    何故かその話は肝心の結末まで書かれておらず、『物語』は途切れている。
    女性は夢を叶えるために東京に旅立つのか?
    彼女を駅前の停留所で待っていた恋人の思いとは?
    はたして、本当の結末はどうなったのか?
    そんな序章のもとに、この小説は始まる。

    舞鶴からフェリーに乗っての北海道の旅。
    その旅の途中で手渡されるのが、この一つの『物語』。
    少女から、妊婦に。
    妊婦から、写真家志望だった若者に。
    若者から、テレビ番組制作会社に就職が決まった女子大生に。
    女子大生から、進路問題で娘と喧嘩をした父親に。
    父親から、今の自分の姿に疑問を抱く四十代の女性管理職に。
    そして、女性から『物語』を手渡された最後の人物は───。

    いろいろな別れや後悔を伴った思い出を胸に北海道の旅を続ける人々の手によって、その『物語』は次から次へと受け継がれていく。
    この未完の『物語』を手にして読んだ人たちは、その人なりのエンディングを思い描くことで、自らの旅の目的に対する答えを見出す。
    それは、未来に希望に満ちた暖かな光が射し込むようなものだった。

    人生の曲がり角にはいろいろな選択肢がある。
    夢を抱きながら、その度々、誰もが迷い悩む。
    どちらが正解かなんて誰にも分かりはしない。
    でも、自分が本当に求めているのは何かを真剣に考えれば、それが結果的には正しい選択だったということになるはずだ。
    もちろん人間だから、後悔しない人生なんてありえないけれど。

    闇の中に一筋の美しい光が射し込んでくるような物語。
    ありきたりな言葉で締めくくりたくはないけれど、感動しました。

  • 病の宣告、就職内定後の不安、子供の反発…様々な悩みを抱え、彼らは北海道へひとり旅をする。その旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。そして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。

  • 201801/最初の章を読んでもやもやしつつ、バトン形式がやや強引に思える途中章もそうはいっても面白く、最後でこうきたかと、見事な構成。

  • こうしたい、ああなりたいと夢を持っている時に家族や身体や金銭のことで悩む。あるいは夢に向かって進もうとしている人に嫉妬して、それを阻もうとする。自分の方が人生経験があるからといって、子供の未来に賛同できず、反対する。
    どうすれば正解だったのか?
    そんな経験に思い巡らせながら読んだ。

    田舎でパン屋を営む両親のもとに生まれた絵美は朝の通勤通学前にパンを買いに来る繁忙時間にお店の手伝いをしていた。そのお客の中に隣町の高校に通う青年がいた。毎日決まって買うパンはハム入り。絵美は心の中でハムさんと呼ぶ。ある日お釣りを間違えたことから、ハムさんと会話をかわす。夢は小説家という絵美にハムさんは本を貸してくれることで急接近。
    北海道大学へ進学したハムさんだったが、卒業後は地元に戻り、自身は教職員となり、絵美との結婚を約束する。だが、小説家になりたい絵美は誰にも内緒で東京へ行こうとする。が、バス停にハムさんが待ち構えていたー

    物語はここで終わる。この後、2人はどあなった?どうなってほしい?

    読むべき機会を与えられた旅人たちが、それぞれに出した答え。私も旅人となって、原稿を受け取った気分になり、考えさせられました。
    イヤミスではありません。

  • 最高の愛の物語
    それぞれの迷いに 想いを巡らせ 愛を感じた
    一気に読み終えた 素晴らしい

  • ほっこりした。
    北海道に行きたくなる一冊。

  • 未完の物語が読み手によって全く違う展開になっていくけどどのストーリーも前向きでいい雰囲気。そして最終章はこの物語の本当の結末や未完の物語がどうしてこんな運命をたどることになるのかも想像してなかった展開でミステリーではないけど驚く結末でした。道産子にとっては北海道の魅力を紹介してくれるうれしい内容でもあります。

  • 夢を追い求める人。
    夢をあきらめる人。
    夢を手助けする人。
    夢を妨害する人。
    アプローチはそれぞれで
    結果も違うことはわかってるけど
    それでも
    夢に向かっていく物語は
    どれひとつ“おわり”になんてならない。

  • 夢を追い求める人。
    夢をあきらめる人。
    夢の手助けをする人。
    夢への歩みをを見守る人。
    夢を見つけようともがく人。
    夢が見つかるまで
    静かに、ただひたすら静かに
    一歩一歩を踏み出す人。

  • 結末のない短編作が読み継がれていくお話。登場人物のつながり方が絶妙。最後には,短編作の結末も明らかになって,すっきりした。

  • 物語のタイトルが「物語のおわり」とあり、また第一話目の終わり方を見て、何となく結末を明確にかかない作品なのかと思ったが、最後まで読んだらすべてが繋がっていた。面白い作品だった。

  • 未完の私小説。その小説が、北海道を旅し、出会う人たちに渡り読み継がれるといった短編小説めいた本作。一体どんな趣向の何の話?しかし、そこは湊かなえ作品ならでは。やはり最後にその意味が隠されていました。祖母と孫娘のお話。そして、巻末の解説は、北海道が舞台の作品ゆえに、「水曜どうでしょう」のディレクター藤村氏が担当。

  • 文庫『物語のおわり』刊行記念 湊かなえさんサイン会 北海道・東北で開催!
    https://publications.asahi.com/news/803.shtml

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    妊娠三ヶ月で癌が発覚した智子、父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする拓真、志望した会社に内定が決まったが自身の持てない綾子、娘のアメリカ行きを反対する水木、仕事一筋に証券会社で働いてきたあかね・・・・・・人生の岐路に立ったとき、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは――。あなたの「今」を動かす、力強い物語。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19614

  • 【Entertainment】物語のおわり/湊かなえ / 20180606 / (34/702)<294/97568>
    ◆きっかけ
    ・オフィス近くのコンビニで発見

    ◆感想
    ・構成が秀逸!短編集だと思ったら長編。人から人に手渡される原稿の結末が胸を打った。

    ◆引用
    ・BOOK 氷点、三浦綾子
    ・ここでは楽しそうに過ごしているが、大半は社会の中に身を置き、体をすり減らし、心をすり減らしながら懸命に生きてるはずだ。だからこそ、同期生と顔をあわせる場に出席できる。そうして、苦労話を笑い話へと変えながらまた逢う日まで頑張ろうと、もとの暮らしに戻ってく。

  • 北海道に行きたくなるような作品でしたね。

    短編毎の繋がりが見事でした。

  • 北海道本!拓真館いってみたい。

    少女を主人公とした一編の未完の小説が、北海道を訪れた老若男女様々な旅行者の手から手へと渡っていく連作集。
    旅の道中だからこそ、たまたま出会った人からおもむろに手渡された原稿に感じいり、また次の人へと繋いでいくという流れが程よくロマンチック。
    旅行中に知り合った当人の連絡先より、その人から未完の小説を渡される方が楽しい思える人向きではないかと思う。
    作中の中心となる未完の小説は、十代の頃描いた夢を掴みとる、諦める、あるいは応援する、認めない。
    という間口の非常に広い話なので、変につかえることなくすんなり読める。
    四十代独身キャリアウーマンが読み手となる「湖上の花火」がよかった。

    読み終わってから冒頭に北海道の地図が載ってたことに気づいた。
    美瑛がどの辺りか調べる必要なかったじゃんね。
    ページはゆっくり捲るようにしたい。

  • ある短編小説をめぐる物語

    その原稿が様々な人の手に渡って
    その人たちのそれぞれの思いが描かれる…

    というだけでも割といい作品だなと思ったのですが

    最後の章でこの小説を書いた人と関係者が登場
    やっぱりそうか
    いつか出てくるかとは思ったけど…

    ここはあってもなくてもよかったけど
    まあ読んだら読んだで後味は良かった

    同じ物語でも
    年齢や境遇や経験や性格で
    どれだけでも感じ方が変わって
    別のものになる

    それはここ「ブクログ」のレビュー見てても思うな〜

  • 人の数だけ物語があるという事でしょうか。まったく同じに思える物語も最後のひと場面が違うだけで大きく違ってきますものね。湊さんには珍しくどの終わりも前向きに生きるイメージでしたね。

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