EPITAPH東京 (文庫)

  • 朝日新聞出版 (2018年4月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784022648822

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】刻々と変貎する《東京》を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている筆者Kは、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが……。スピンオフ小説「悪い春」を特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 東京を舞台にした戯曲を書いている主人公(まあ恩田さんでしょう)が、その舞台となる東京を色々な角度から切り取って東京という街の実像に迫っていく過程を書き記したエッセイ、という感じでしょうか。東京のあんな点こんな点とかなり興味深い内容です、少し物知りになったような気がします。ただし、視点が途中で謎の男性が見る東京に変わったり、肝心の戯曲の冒頭場面や設定詳細が登場したりと、なかなかに全体像を理解するのが難しい作品でした。

    そして、頭に浮かんだのは「三月は深き紅の淵を」の〈回転木馬〉です。まさしくあれに似た構成。あの作品も章自体の全体像を理解するのに苦しみましたが、こちらはもう少し整理された印象を受けました。ただ、その肝心の戯曲の話題が途中でパッタリ止まってしまって、後半、話の展開がどんどん散漫になっていったのが残念でした。いきなり巨大生物襲来とか、少しかっ飛び過ぎて流石についていけない感が…。
    ただひとつ興味深い記述がありました。「筆者はここ数年、資料として大量のピアノ曲を聴いているのだが…」これは恐らく「蜜蜂と遠雷」に関係することなのだと思いますが、バルトークにも触れられています。まさかこんなところでこんな記述に触れられるとは思わなかったので、ちょっと得した気分です。

    あと、一点面白いなと思った点は、恩田さんが自身の書く戯曲について以下のような注意書きをしていた点でしょうか。
    「台詞は膨大な量になる予定」
    もの凄い納得感。流石、わかっていらっしゃる…。恩田さんの書いた戯曲に出演する役者さんは相当な覚悟が必要です。

  • うーん…ちょっとテーマが分かり辛かったかな。
    「エピタフ東京」という戯曲を書く筆者と、
    自分を吸血鬼だと言う男・吉屋。
    それぞれの目線からの文章。
    そして「エピタフ東京」の台本。

    筆者の方は、恩田さんのエッセイのような感じ。
    特に途中からそれを強く感じた。
    吉屋の方の話や、台本は意外に面白かった。

    最後にあるスピンオフ小説「悪い春」は、
    ちょっと恐怖を感じた。
    こんな世の中にならないよう祈る。

  • これは東京にまつわるエッセイだ。
    物語を期待したが、相変わらずチャレンジングな構成を
    試したがる筆者の趣味嗜好の本だった。
    ただ、エッセイとしては大変面白かったのだが…
    そういえば、戯曲EPITAPHは桐野夏生のoutを連想させた。

  • 恩田陸らしい作品だったなぁと。タイトルにある「東京エピタフ」の戯曲が彼女の「木曜組曲」の設定とほぼ同じで、その部分は嗤ってしまったけれども。

    このふあふあとしたとらえどころのなさが彼女のSFやホラーの楽しさなんだよなぁと改めて思う。

  • 何小説なんだろう、これは。この何者でもなさ、匂いのない乾いた質感が、都市東京ということなのか。

    過去の歴史と今の時点の東京を閉じ込めるように描写している。

    国民という単位で共有する記憶を、自分の言葉で記録する行為は業であると思う。いつもそのようなことを考える。

    「悪い春」が面白かったな。「春なのか?」という、終わらせ方が良かった。

  • 2015年発表の恩田陸氏の作品。

    作家Kが戯曲『EPITAPH東京』を書きあぐねつつ、東京を歩く、という話。作中、自分を吸血鬼と告白する吉屋の存在があったり、劇中劇があったり、恩田氏が志向してきたファクターが結構詰まっていると思います。ただこれ、一般受けはしなさそうというのが個人的見解。クセのある作風じゃないかと。

    ・・・
    細かく分かれた章が20超連なります。殆どが作家Kの視点です。幾つかは吉屋の視点。

    恩田氏は本当に想像力というか発想力がすごくて、おそらくKというのはご自身なのですが、一つの話を喋っていてそれを形容する言葉や類似の名詞などが出てくると、〇〇といえば、という風にどんどんと話が膨らみ、そして流れてゆくのです。

    なんというか、女性二人で大盛り上がりするとすごい盛り上がりと合いの手で、話題がどんどん展開するのってありますよね。あれを一人でやるようなイメージでしょうか。

    個人的にはそうした思考の展開の描写はいま一つ好みではなく、そういう意味では相性は良くなかったかもしれません。

    他方、東京の街に潜む謎や歴史みたいなものに節々で触れ、オカルトチックな話や背景の説明みたいな箇所はモダンホラー的な作品も書く恩田氏ならでは、でしょうか。一瞬だけ『帝都物語』を想起しました。

    ・・・
    あと、戯曲を書きあぐねる作家が主人公ということで、劇中劇がありましたね。

    女性が6人で営む殺し屋という設定でしたが、個人的にはそちらの展開が気になりました。

    ・・・
    ということで、久しぶりの恩田氏作品でした。

    数えてみると読んだのはこれで40作品目でした。読むほうも読むほうだけど、まあ多産な作家さんですね。私は初期の青春系のテイストの小説が好きなのですが、最近あたるのは(まだ読んでいなかったのは)戯曲系が多い印象ですね。

    ゆっくり残りの作品も読み進めます。

  • うまいなー。
    とりとめもない話のようでいて、なんとなく面白い。私も大好きな東京の、いろんな横顔。
    一つの出来事、風景に対して、思うことはもちろん人それぞれで、共感したり、はたまた「えー、自分とは違うな」と思ったり。「物語のような」レールに、なんとなく載せられて、連れていかれる感じ。
    吸血鬼の友人が書いている章が時々出てくるので、また先を読みたくなるのも一興。こういう進み方の小説も、あるんだなぁと、初めて体験しました。
    好き嫌いは分かれるかもしれないけど、私は楽しみました。

  • 東日本大震災を経て変化していく《東京》を舞台にした戯曲『エピタフ東京』を書きあぐねている“筆者K”と吸血鬼だと名乗る吉屋。

    恩田陸さんのエッセイのような小説。特に最後の東日本大震災についての部分は恩田陸さんの気持ちがそのままな感じ。

  • エッセイを読んでいるようだった。街の風景の描写が心地よいが、主題が見えず、ずっともどかしい感じ。現実の出来事とリンクしながら、スピンオフではパラレルワールドにいた。よくわからない。

  • エッセイ集として読むもの

  • 6割ほど読んで挫折。一つひとつの章(ピース?)は短いので読みやすいけれど、場面や人物が繋がらなくてなかなか読み進める気力が続かず。淡々としており、先が気になるーー!ともならずに挫折。

  • 興味深い話は途中途中にいくつかあったが、連想ゲームのように話題が転々としていくので、全体の輪郭が掴めないまま読み終わってしまった。
    作中作は面白そうだった。

  • 電子版で読み始めたけど、やっぱり思い直して久しぶりに紙単行本で再読
    纏まりごとに紙の色もフォントも組み方も異なるのに、めくり心地は均一だから没入感がたまらない
    悪い春だけ文庫電子版で

    311を過ぎた後の東京が舞台の2015年刊行の本作だが、「必ずまた疫病は来ます。」などハッとさせられる文言はあるし、東京オリンピックへのネガティヴな印象は開催前後のドタバタを思うと薄寒くなる
    この本自体が東京の墓標になりやしないかと思えてくる

    幸いまだゴジラは上陸していないし、平和サポートボランティアは導入されていないけれど、きな臭い空気感に包まれている社会がそれを笑い飛ばせなくしていて気が遠くなる

  • もし可能なら単行本で読むのがおすすめかも。
    装丁が素晴らしくて、よりこの作品の世界観を感覚で掴みやすいです。

  • エッセイ風の物語+戯曲。とりとめのない東京に関するエッセイかと思いきや、突然シン・ゴジラになってしまった… 3.11とそれにまつわる様々な事が相当衝撃的だったんだろうなと思った。

  • 恩田さんなら戯曲でも一冊小説書けるのでは?
    筆者のエッセイかなと思う部分もあり。

  • なんとも不思議な構成の本。人を食ったような、ともいえる。作者が戯曲を書くために、東京のあちこちを訪れたり、思いをはせたりする。その戯曲もある程度は紹介されていて(戯曲のためのメモが面白かった。実際にこんな風に作られていくのかな?と思って)、でも未完。そして自称吸血鬼の不思議な男も現れる。なんだかよくわからないまま終わるのだけれど、そこは恩田さんの作品だから、で自分の中では解決してしまう。
    本の中にある東京は自分が知っているものとは視点が違って、今度東京に行ったときは改めて訪れてみようと思った。

  • 安部公房と九龍城は調べてみよう。

  • 一体何を読んだのかわからない

  • 戯曲を書く作者がストーリーを模索しながら東京をさ迷う連作短編集。
    同時に買った奥田英郎の著作だと勘違いして読んでしまい「頑張って恩田陸みたいな実験的な小説書いてるけど失敗だったなー」と思いながら読んでしまい、奥付きひっくり返して脱力した次第…

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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